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幸福のために内面の富を築こう

幸福でいたいという命題は人類に通底する欲であると思う。今回はこのテーマについて少し。どうしたら幸福でいられるか?というちょっと怪しいテーマ。でもショーペンハウアーが言ってたんだから間違いない。

幸福の状態と享楽の種類

幸福であることをここでは「享楽」がしきりに繰り返されること、と定義してみる。その享楽を人はどうやって得るのか。

享楽には2つある。刹那的享楽と精神的享楽だ。

たとえばお金を稼ぐこと。これは刹那的享楽。一時的な享楽のために人は富を積むほうに千万倍の努力を捧げている。
しかし刹那的享楽は本当の幸福感にとっては影響の少ないことばかりで、その富を維持するための心労で疲弊してしまうのが世の常だ。お金持ちが幸せとは限らない。

もう一方の精神的享楽とはなにか、の前に認識の話。

自分は世界をどう見るか

自分の生涯にどういうことが起きるか、に関心を寄せることは多い。人が占いをしたがるのはその現れだろう。

しかし大事なのはそこではない。目の前に起きたことをどう感じるのか、という物事の感受力が幸福に生きるうえでは重要なのだ。

人は自分の意識のなかだけで生きているにすぎない。

いっさいの事物は、直接的には人間の意識のなかに存在し、意識に対して推移進展する。意識のなかに現れる事物の姿よりも、意識の性質状態のほうが物をいう。

いまの自分の状況がどれだけ恵まれているかを自覚できる能力もまた、感受力の豊かさである。

人のあり方の本質的なもの

人のあり方、つまり健康・力・気質・知性は自然が設けた性差であり、人間の生き方にとって主要なものであり、本質的なもの。これは個性だ。

個性によって人間に与えられる幸福の限度は決まってくる。限界が狭ければ、動物的な幸福の程度以上に引き上げるのは難しい。動物的幸福は刹那的享楽と言い換えられる。

たった1人になってもつきまとい、誰からも与えられたり奪われることのないものこそ、本人にとっては本質的。それに目を向けること。

感受力を鍛えるにはどうすればよいか

人の幸福度の直接的な要因が個性であり、物事の感受力であるのはわかった。具体的にはどうすればよいか。

状態としては、心を朗らかでいること。上機嫌でいることが大切で、その朗らかさが感受力の性質と強度をよくする。

どうすれば朗らかさを保てるか。人類の歴史を振り返ってみると、その昔ヒトは狩猟採集生活をしていた。走って、常に移動をしながら。つまりヒトという構造物は運動を前提としたつくりになっている。どこまでも身体的な存在である。

人は運動する生き物であるとすれば、現代人の座りっぱなしの生活は自然に反しているあり方だ。身体は動くためにできているのに、動かない状態でいると、身体は健康でいられなくなる。

まず運動せよ。運動して健康を維持すること。健全な身体に宿る健全な精神が、幸福のためには第一の重要な要素

逆に言うと、健康を犠牲にする行為は、最大の愚行。意識したいところ。(さっそくランニングをした。全身バキバキだが気持ちいい)

われわれの見方に映じた事物のあり方が、
われわれを幸福にしたり不幸にしたりする。

幸福に対するキラー概念「苦痛」と「退屈」

人間世界は、苦痛だらけ。いつの時代も苦労は絶えない。わたしたちが人間世界に生きている限り、あらゆる困苦欠乏はつきまとう。

あらゆる手段をつかって人間世界を逃れても、その先に待っているのは内面の空虚さを写す「退屈」である。

人類が働くなくて済み、直面する問題はこの「退屈さ」であろう。現にコロナウイルスの影響で仕事が止まったり自宅待機を余儀なくされ、退屈に直面した人も多いではないだろうか。退屈は苦しい。

そこで多くの人は退屈しのぎに浪費をする。浪費をすることで精神的刺激を満たそうとする。しかし浪費は空虚であり、有限。その浪費を防ぐのが「内面の富を築く」ことだ。さきの”精神的享楽”を得る、と言い換えてもよい。

3つの人間の生理学的能力

人間には3つの生理学的な根本能力がある。そのうちどれが内面の主流をなすかによって、享楽のなかから自己に適したものを選ぶ。

再生力…飲食・消化・休息・睡眠
刺激感性…運動競技・戦争
精神的感受性…考察・芸術行為・読書・瞑想

このなかでより人間的で高尚な能力はどれか問われると、他の動物にマネされない点でいうと③の精神的感受性。

あなたの内面の富を築く能力はどれだろうか。考察・芸術行為・読書・瞑想…
内面の富は、あなたに合った能力を用いて、繰り返し享楽に励むことによって、形成される

普段の生活に加えて「知的生活」を営む

多くの人は普段の生活(現実生活)を生きていて、そのものが目的となっている。

知的享楽をたのしむために、「知的生活」を並行して営んでみよう

知的享楽を本来の目的とすることで、現実生活は手段になる。
知的生活は苦痛を伴わず、ハツラツとした仕事と慰安を与えてくれる。
それは退屈の予防になり、退屈の生ずる有害な結果の予防となる。

自己の精神的能力を磨きあげて、内面の富を楽しもう。
そのための自由な余暇をつくることを意識しよう。

自己の精神の足跡を全人類のうえに刻みつけることを使命とするとき、自己の素質を完全に伸ばして作品・事業を完成することが幸不幸を決める1つの要因だ。

種類の如何を問わず自己の特技を何ものにも妨げられずに発揮できることこそ究極の幸福である byアリストテレス

まとめ

運動しろ!そんで機嫌よくいろ!
時間をつくって自分に合った精神的活動しろ!
それを使命として生きてみろ!

という具合でしょうか。ショーペンハウアー『幸福について』を途中まで読んでいろんな気づきがあったのでnote書きました。最後の「使命感」は別の著書でも思索していたところなので並行して深堀してみたい。また書くかもしれません。

しかし古典は気づきが多すぎる!難しいけれどとっても楽しい。古典を読むことについてのnoteもいずれ書きます。

おすすめの1冊なので読んでみてください。それでは。


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