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いつかの洗濯機革命

私が小学生だった頃、家の洗濯機は二層式だった。
洗濯が終わると脱水層に入れ替えないといけなくて、たまに手伝ったりしたけど割りと大変な作業だった。
(古い記憶過ぎて捏造してるかもしれないけど、たぶん、手伝った。)

そんな洗濯機がある日突然、
全自動洗濯機になった。

大人たちの中では長い協議の期間があったのかもしれないけど、そんなことを知らない子供の私にとっては本当に突然のことで大革命だった。雷が落ちた。

突然我が家に鎮座したそれは、ボタンがいくつも並んでいて脱水まで放っておいてもできるらしい。
ボタンをひとつ押せば後は機械が全部やってくれるなんてすごい、すごすぎる。
洗濯物を入れるところは当然のようにひとつしかなく、立ち姿もなんとも凛々しい。
そんなことを思いながら静かに目を見開いてしばらくの間一人でしげしげと眺めたんだった。

この洗濯機革命の衝撃は強かった。
高校3年生のとき、家電のマイコンを作りたくて進路を決めたし、就職をする時も生活に根ざした家電、いわゆる白物家電が作りたくて会社を決めた。

結局のところ白物家電の事業部配属ではなかったから家電を作ってはないんだけど、あの時の革命があったから今モノづくりをしていることには違いない。
そしていつしか『何を作るか』より『誰と作るか』が自分の中で大きくなっていて、家電を作りたかったことを忘れていた。

先日新入社員の自己紹介を聞いて、そんな20何年も前のいつかの洗濯機革命を思い出した。
懐かしいけれどリアルにあの時の衝撃は思い出せる。

◇◇◇

今や洗濯機は乾燥までするようになり、しゃべって洗剤も自動投入するようになった。
何より洗濯機がしゃべるとは。
予期せぬ進化を遂げている。

思い返せば私が社会人になった時に持っていた携帯電話はJ-PHONEだったけど、Vodafoneになり、Softbankになり、SIMフリーになった。(ごめんね、Softbank。)
同時に2.5Gだったケータイがスマホになって5Gが到来している。
これだけの変化があるほどに時が流れた。
令和になったしね。
洗濯機がしゃべったっておかしくない。
そのうち服を着せてくれるかもしれない。
なんなら人丸ごと洗うか。
いや、それより洗濯物を人毎に分別して引き出しにしまってくれんかな。

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