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夏の夕べ

そんで、半袖のセーラー服を着てみたら、去年の夏の匂いがくっきりしてきて、震え。ぇー。全部置いてきました。わたし。
全て、思い出しました。

ちょうど一年前の夏のはじまり、わたしは景色を撮ることを辞めて、自分の顔しか撮らなくなった。なんてあほらしい話。
歩きながら考えたことをメモに残すことも忘れて、自撮りばかり。
バカバカしいな。

今日はね、少し悲しいことがあった。
泣きたい時に涙が出なくなってしまって、私はいつからヒロインじゃなくなったんだろう。って思った。
わたし、あんなに主人公だったのになあ。

今日は悲しいことがあったから、立ってるのがやっとだった。
悲しいことがあったから、何だか、街灯も家のあかりも、電線も空も、日没後の小学校の校舎も、全部悲しいくらいに綺麗だったよ

スマホを取り出して、今日はカメラの向きを切り替えて、外の世界を写してみた。

中学校に行かず家の周りを歩いて、写真を撮りまくってた頃のことを思い出した。
あのころは今よりずっと悲しくて悲しくて今よりずーーっと綺麗な世界にいた。その頃の写真を見れば一目瞭然、すぐ分かる。

そういうことを全部、忘れてたな。
悲しみなんて要らないよ!
悲しみなんて諦めたのに、今日は悲しいことが起こってしまった。
でもカメラを構えながら歩いて、自分のタイミングでシャッターを切るうちに、ようやく、ようやく、心が楽になっていった。

白い紫陽花がぽんぽんそこらで咲いている。紫陽花みたいな白い犬が2匹、私の前に飛びだしてキャンキャン吠えていた。とても救われた、ようやく家に着きそうだ


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