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2022.12.1

数週間前にちょっと大きい街で紀伊國屋に行った。あの名作の英題にほほーとうなる。未だに、ナルシストのカリスマはこじらせやろうたちの心の拠り所だな。

***

青い生臭さと塩辛さが鼻をつつき、水は鰓から身体に入り込み全身を駆け巡る。ガラス越しに見える物体を横目に私は尾鰭をひたすら休みなく動かす。前に進まなければならない。真っ直ぐ先にあるはずの、今ここではないどこかを目指して。そんな自分に酔いしれながら動き続ける。休むことなくはやくはやくはやく動き続ける。周りには、私と同じなりをした奴が微動だにせず居る。いや、実際は動いているのだ。私と同じ速さで、動いている。

連なる尾鰭の動きはその速さにもかかわらずねっとりと艶かしく、鈍く輝く幻想を生み出す。水中に舞う幻想のベールは幾重にも重なり厚みを増して不安にまみれたものたちを覆い囲み呪文をかける。
“Every man has a property in his own person. This nobody has a right to, but himself.”
ああら、不思議。
未来の所有へとみな駆り立てられていくではありませんか。

ガラス越しに見える物体の口元が動く。

“We have been NO LONGER HUMAN.”

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