誕生日近いね。
誕生日、もうすぐだね。
あんなに仲良かったのに、
もう赤の他人になって、
それでも私はそんな人たちの誕生日をいまだに覚えてる。
「誕生日近いね。」
心の中で唱えてる。
「今年はどんなふうに過ごすのかな?」
考えたくなんかないし、関係ないのに、
そんなふうに思う。
「昔はおめでとう。って毎年言ってたよなぁ。
懐かしいなぁ。」
そう思うだけにとどめておく。
本当は、溢れ出る行き場のない言葉が、
心の中でいっぱいになってるのに。
テキトーな箱に全部その言葉たちを詰めて、
見なかったふり、気がつかなかったふりをする。
それが今私のできる精一杯。
いつか歳を重ねたら、
きっとあなたの誕生日なんか、
私にとって普通の日になって、
すっかり忘れられると信じて。
私だけが、あなたの誕生日をいまだに覚えてる。