味付け
大人になることの本当の意味を知ったのは、つい最近のこと。
今この瞬間という、時間の尊さを学び、人間として生きる上で乗り越えなければならない辛いこと、幸せなことの意味を知り、世界で、宇宙で、自分という存在がどれほどちっぽけなものなのか思い知らされる。
時間は有限であるから、この世にあるすべてのものが歳をとる。
ものはそのうち使えなくなり、
ひとは少しずつ元の赤子に戻っていく。
辛いことがあるからこそ、幸せなことの良さが引き立つ。
山を越え、峠をこえ、自分の足で力強く進んだ先には、絶景がある。
足場が悪ければ悪いほど、その景色はより鮮やかに目に映る。
人間はどれほど小さい生き物なのだろう。
人が一人いなくなっても、世界は回る。けど、誰かが消えることで、
誰かの日常が止まる。一生消えることのない恋しさを抱えて過ごすことは、どんなに深い傷を負っても、その恋しさに勝ることはない。
時間が経つことを恐れる日もあれば、受け入れたくなる日もある。
前に進むのが怖くなる日もあれば、前に進みたくなる日もある。
自分の存在を受け入れられない日もあれば、自分を愛する日もある。
人生により深い味付けを。