母親である私が応援しなかったことで息子が身につけた才能
今回は、「野球選手になりたい」という息子を、私が応援しなかった話の続編です。
「少年野球のチームに入りたい」という息子(第1子)の願いを叶えなかった私ですが、そこに後悔はありません。
そう断言できるようになったのは、自分の認知がガラリと変わったからです。
ですが、数年前まではそんなふうには思えませんでした。
「息子に悪いことをした」と思っていました
小学校高学年になった息子に
「ずるい!」
と本気で言われたことがあります。
「ママは、なんで妹のバレエにはついて行くん?
ぼくが野球をしたかったときには、無理!って言ってたのに」
ドキッとしました。
当時の私は月に3回、娘のバレエ・レッスンにつき添っていたんです。
往復2時間の教室に電車で行き、現地で1.5〜3.5時間(個人レッスンの順番次第による)。
「無理」と言っていた週末に、妹と一緒に家を空ける母親を見て、息子が「ずるい」と思うのも無理もありません。
なぜ私は、息子の野球にはつきあえないと思っていたのに、娘のバレエなら苦もなくできたのか?
それは、私が野球にそれほど興味がなく、バレエが好きだったからです。
つまり、私のワガママ、ですよね。
「娘にはできることを、息子にはしてあげられなかった。
私のワガママから、息子に悪いことをした」
息子に「ずるい」と言われたころ、私はそんなふうに思っていました。
やりたいことをできなかった息子の欠落感
もしかすると、当時の息子の胸には、
・ぼくが「やりたい」ってあんなに言ったのに、ママは応援してくれなかった
・ぼくには「無理」って言ってたのに、妹のバレエはいいなんて、ママは嘘つきだ
・ママは妹のほうがかわいいんだ
・ママはぼくのことが嫌いなんだ
といった思いがあったかもしれません。
「やりたい」とあんなに願ったことが「できなかった」。
息子は大きな《欠落感》をもっていたことでしょう。
あなたにも、ありませんか?
「やりたかったのに、できなかった」
「ほしかったのに、手に入れることができなかった」
といった「なくて嫌だった」ことが。
欠落感から子どもがとる行動は?
8-9歳くらいまでの子どもは、《欠落感》を抱くと、
それを補う
そこから逃げる
いずれかの行動を必ず取ります。
人間行動学の権威、Dr ジョン•F•ディマティーニは、この幼いころの《欠落感》こそが、人生で最も価値をおくもの《最高の価値観》をつくりあげた、と言います。
「足りない!」と感じる強烈な《欠落感》から行動すると、《最高の価値観》を満たすことになり、独自の才能を磨いていきます。
ディマティーニ自身、「本を読むこと・話すことが難しい」という強烈な《欠落感》がありました。
その欠落感は、「教える・研究する・旅する」という彼の《最高の価値観》と表裏一体の関係になり、今では200以上の学問分野を修め、世界中で講師・講演家として活躍しています。
(詳細については、後日ご紹介する予定です)
息子の場合は、「野球がしたいのに、できない」という《欠落感》から、次のような行動をとり、独自の才能を磨いていました。
・休み時間や学童保育で野球をして遊ぶ
(例)少年野球チームに属していなくても楽しめるようルールを工夫し、年下の子どもたちとも仲良くなる
➡︎ 創意工夫ができる、「みんな」で遊べる、年少者をサポートできる
・野球に関連する本や漫画から様々な情報を吸収して、野球談義を楽しむ
(例)友達はもちろん、野球場で隣りになった見知らぬおじさんとも話が弾む
➡︎ 野球以外の話題も豊富、大人ともコミュニケーションがとれる、ものおじしない
・野球以外に楽しみを見つける
(例)公文での先取り学習などを生かし、学校で勉強が得意なポジションをとる
➡︎ 自分の得意を見極めて伸ばすのが得意、「苦手なことはやらない」選択眼も豊か、人の得意なことを伸ばすのも得意
欠落感から得られた才能があるから人生を楽しめる
大学生になった息子は……
・子どもたちが「自分でできる」と思えるサポートがしたくて学部を選択
・小中高生のキャンプリーダーとしてのボランティア活動を継続
・野球以外のチーム競技を楽しみ、仲間との絆も強い
(高校時代の部活仲間が帰省するたびに、みんなで遊びに行っています)
・高校の部活のコーチとして活躍
どの行動も、とても彼らしくて、私まで嬉しくなります。
こうした才能を伸ばして、豊かな人生を送っているのは、幼いころの《欠落感》があればこそ。
もしも私が、嬉々として少年野球チームに入った息子を応援していたら、今の彼の才能は育まれなかったのです。
だから、私は「息子に悪いことをした」と後悔していません、と断言できるんです。
*
今回のエピソード、あなたはどんなことを感じましたか?
もしも、
「子どもに我慢させた」
と思うことがある場合は、
「やりたいのにできないという《欠落感》から、子どもは何をし、どんな才能を得ただろう?」
と思いを馳せてみてください。
ご自身の幼いころのことを思い出すのも、いい方法です。
必ず、独自の才能が見つかります!
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