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三好達治『測量船拾遺』 単語集

先日まとめた『測量船』の単語集に合わせて、『拾遺』のちょっと難しい単語も調べました。単語内容は『測量船』と重複するところもあります。
ちなみに『拾遺』とは、「漏れ落ちたものをひろって補うこと。また、そうしてつくったもの。」という意味です。

※1996年発売の講談社文芸文庫版を元にしています。
※解説・画像はあらゆるサイトから適当にそのまま引用しています。あくまで参考程度にご覧ください。

玻璃盤の胎児

はりばん【玻璃盤】 コロタイプの旧称。コロタイプとは、写真製版の一種。ガラス版を原版にした、精巧な複製法。↓

こんこん【昏々】 意識のないさま。ぼんやりしているさま。うつらうつら。
しゅせい【酒精】 エタノールのこと。アルコールの一種。 揮発性の無色液体で、特有の芳香を持つ。
アラビア【亜剌比亜】

王に別るる伶人のうた

れいじん【伶人】 雅楽を奏する人。楽人(がくじん)。
さらさ【更紗】 インド発祥の木綿布のこと。↓

みゆきする【御幸する】 行くことを敬っていう語。 特に、天皇の外出をいう。 行幸 (ぎょうこう) 。
はし・はねばし【撥橋】 城門などの要害に設け、通行しないときは綱や鎖などでつり上げておけるように造られた橋。
くるる【枢】 開き戸を開閉するため、扉の回転軸の上下に設けた心棒の突起。また、戸締まりのため、戸の桟から敷居に差し込む止め木。↓

夕ぐれ

しぬびか【偲びか】 ひそかに思い慕うこと。

ニーナ

ニーナ【Nina】 ヨーロッパ、特に中東欧の女性名。
つつましい【虔ましい】

私の猫

はまぐり【蛤】 マルスダレガイ上科マルスダレガイ科に分類される二枚貝の1種。食用として一般的な貝類の一つである。

失題

めしうど【召人・囚人】 そばで召し使う女性。または、捕らえられて獄につながれている人。
はげたか【兀鷹】 ハゲタカ。コンドル。
はぎ【脛】 ひざからくるぶしまでの部分。すね。
ばれいしょ【馬鈴薯】 ジャガイモの別名。中国から来た呼び名。
ふるえる【顫える】 震える。
ものうい【懶い】 おっくうで気が進まない。なんとなく心が晴れ晴れしない。だるくておっくうである。

黒い旗

きゅうりゅう【穹窿】 弓形をしたもの。
そびえる【聳える】 
う【鵜】 ペリカン目ウ科に属するみずどり。鵜飼に利用される。↓

かまきり【蟷螂】
おどろく【愕く】
しんとう【滲透】 しみこむこと。浸透。
こうもり【蝙蝠】
なぎさ・みぎわ【汀】 波が寄せるところ。みずぎわ。
おうし【横死】 殺害されたり、不慮の災難にあったりして死ぬこと。 天命を全うしないで死ぬこと。 不慮の死。

昨日はどこにもありません

たんす【箪笥】
ひきだし【抽出し】

水のほとり

しょうけい【小経】 二人以上並んでは通れないほどのこみち。
ふところで【懐ろ手】 手を懐に入れていること。また、人にまかせて自分は何もしないこと。
ふきさらし【吹曝し】
こやがけしばい【小舎掛芝居】 芝居や見世物のためにつくられた仮小屋で、芝居をすること。↓

夕ぐれ

しまかげ【島蔭】
ほうらつ【放埓】 勝手気ままにふるまうこと。きまりやしきたりに従わないこと。また、ほしいままにふるまって酒や女におぼれること。

くさむら【叢】
ふうが【風雅】 俗でなく、みやびやかで趣があること。
かんがん【宦官】 去勢された男子で宮廷や貴族の家に仕えた者。

おしろいとんぼ【白粉蜻蛉】 シオカラトンボの地域名・方言か。シオカラトンボは、湿地帯や田などに生息する中型のトンボ。日本では最もよく親しまれているトンボの一つである。雄と雌で姿が異なる。↓

ひもすがら【日もすがら】 朝から晩まで。 一日じゅう。終日。ひねもす。

消息

およぎ【游ぎ】

れいろう【玲瓏】 玉などが透き通るように美しく輝くさま。また、 玉などの触れ合って美しく鳴るさま。

あおさぎ【蒼鷺】 アオサギは、鳥綱ペリカン目サギ科アオサギ属に分類される鳥類。↓

ボナパルト

ボナパルト【Bonaparte】 「皇帝」とあることから、フランス革命期の軍人、革命家ナポレオン・ボナパルトのことか。ちなみに「センチメンタル」とは弱々しい感情に走りやすいさま。感傷的。

いんぎん【慇懃】 人に接する物腰が丁寧で礼儀正しいこと。また、親しい交わり。

こしょう【小姓】 貴人のそば近くに仕えて、身の回りの雑用を務める役。
そらざま【空ざま】 空の方。あおむけ。
すいばん【水盤】 陶器製・鉄製の浅く広い容器。いけ花などに使う。↓

きんしん【謹慎】 この場合は、言葉や行ないをひかえめにすることか。また、つつしみぶかいさま。

ある日

こだま【谺】
さざんか【山茶花】 ツバキ科ツバキ属の常緑広葉樹。↓

やなぎ【楊】
かささぎ【鵲】 鳥綱スズメ目カラス科の鳥。↓

はし・はり【梁】 家の棟をささえる横木。または、はし。かけはし。

島の話

かいふく【恢復】

梅の実

りんかく【輪廓】
とんぼ【蜻蛉】
ごいさぎ【五位鷺】 長五五~六〇センチメートルの中形のサギ。↓

祖母

あかだな【閼伽棚】 仏に供える水や花を置くたな。

暗い城のやうな家

たたく【敲く】

囁き

せきれい【鶺鴒】 セキレイ科に属する鳥の総称。日本ではふつうキセキレイ、セグロセキレイ、ハクセキレイの三種をさす。↓

かじか【河鹿】 かじかがえるの略。カジカガエルは、両生綱無尾目アオガエル科カジカガエル属に分類されるカエル。清流の歌姫と呼ばれ、とても綺麗な鳴き声で鳴く。↓

ふな【鮒】 コイ科の淡水魚。日本の湖沼・河川で最も一般的な魚。↓

らくだ【駱駝】

Enfance finie

アンファンス・フィニ【Enfance finie】 フランス語で、子ども時代の終わり。過ぎ去った幼年時代。
しぼむ【凋む】 
ゆくえ【行衛】

日記

りんう【霖雨】 何日も降りつづく雨。ながあめ。 
こおろぎ【蟋蟀】
はれる【霽れる】

故き胡弓

こきゅう【胡弓】  広義には東洋の弓奏弦楽器の総称、狭義にはそれらのうち日本で用いられているものをいう。↓

たに【谿】
なわ・つな【索】
はだら【斑】まだら。
かつ【戞】 堅い物の触れ合う音がするさま。また鶴など、鳥の鳴き声がするさま。
こうようりらく【黄葉離落】 黄色にかわった葉が落ちるさま?
しょうきん【小禽】 ことり。
いわがね【巌が根】 岩の根元。どっしりと根を据えた大きな岩。
とち・くぬぎ・つるばみ【橡】 とちはトチノキ科の落葉高木。くぬぎはブナ科の落葉高木。どんぐりの実をつける。つるばみはどんぐりの古名。
そばづたい【岨伝い】 険しい山道を伝って行くこと。また、道が険しいがけに沿っていること。
くき【岫】 山の斜面やがけにあるほらあな。岩穴。
ばくしゃ【幕舎】 屋外に設けたテント張り・幕張りの営舎。
ろうぜき【狼藉】 物が散らされていること。乱雑な様子。ちらかった様子。また、乱暴なふるまい。
テンポ?【転歩】
いと・げん【絃】

白い橋

しゅんじゅん【逡巡】 決断できないで、ぐずぐずすること。しりごみすること。ためらい。
もたせる【凭せる】 寄りかからせる。 支えさせる。もたれかかる。
こわれる【毀れる】
かさ【暈】 太陽または月のまわりに見える輪のような光。↓

じゃくまく・せきばく【寂寞】 ものさびしく静まっていること。
いななく【嘶く】 馬が声高く鳴くこと。
はける【馳ける】 走る。 駆ける。はせる。
ぐまい【愚昧】 ばかで、物の道理がわからないこと。

ひなうた

つゆくさ・ほたるぐさ【露草・蛍草】 蛍草は露草の別名。ツユクサ科ツユクサ属の一年生植物。日本を含む東アジア原産で、畑の隅や道端で見かけることの多い雑草である。↓

やまかひ【山峡】 山と山とが近づいている狭い谷間。やまあい。
なるかみ【鳴神】 かみなり。もしくは、歌舞伎十八番のひとつ。

他をいふ

せんぎ【詮議】 評議して物事を明らかにすること。評議。
ムシュ・ケペレッツ【ムシュ・ペケレッツ】 よく分かりませんでした…。ムシュ(ムッシュ)は中世フランスにおいて閣下を意味する語。三好の詩には時々フランス語が登場するので、それ関連?
へそ【臍】

写生

すいきん【水禽】 水上生活をする鳥。みずとり。

岬の話

ばしょう【芭蕉】 ばしょう科の大形の多年生植物。中国原産。バナナとは似て非なるもので、実は食用には向かない。↓

たんぽぽ【蒲公英】
ぐんき【軍紀】 軍隊の風紀や規律。
みだす【紊す】
るいるい【累々】 積み重なっているさま。

蝙蝠と少年

あさぎいろ【浅葱色】↓

はんしょう【帆檣】 帆柱 (ほばしら) 。一般に、船のマスト。
かくし・いのう【衣嚢】 食糧や衣類を入れて背負ったり肩から掛けたりする袋。ポケット。

うかぶ【泛ぶ】 
やぐら【櫓】
くちばし【嘴】

島国

おうむ【鸚鵡】

五月の郊外

きりばた【墾畑】 山の斜面などを切り開いて、新しく開墾した畑のことか。
はだ【坡陀・原文では陀の左が土】 高低起伏してつづくこと。坂。
ロンド【rondo】 主題が、異なった楽想の挿入部を挟んで何度か繰り返される形式の楽曲。
ふち【布置】 物を適当な所に置き並べること。配置。
きり【桐】 シソ目のキリ科キリ属の落葉広葉樹。↓

くろつち?【黝土】 黝とは、黒い/うす暗い/あおぐろ/あおぐろいなどの意味をもつ漢字。
あいせつ【哀切】 哀れでもの悲しいこと。哀れさに胸がしめつけられるさま。
しょうけい【小径】 二人以上並んでは通れないほどのこみち。

詩集『雪明りの路』

よるうぐいす【夜鶯】 サヨナキドリのこと。サヨナキドリ は、スズメ目ヒタキ科に属する鳥類の一種。「ナイチンゲール」と呼ばれることもある。↓

うりひめ【瓜姫】 「うりこひめとあまのじゃく」という日本の昔話のひとつ。地域によって展開が大きく異なる。東日本では姫は外敵に殺害される一方、西日本では姫は木に縛られたりはするが、助けられる。
てんが【典雅】 整っていて上品に美しいさま。
おしょろ【忍路】 北海道西部、小樽市の1地区。 1958年小樽市に編入。
チエホフ【チエホフ先生】 ロシアを代表する小説家のアントン・チェーホフのことか。代表作は『かもおめ』『桜の園』『三人姉妹』『ワーニャ伯父さん』など。
えんせい【厭世】 この世・人生をいやなものに思うこと。
しばしば【屡々】
さいり【犀利】 刃物などの、堅くて鋭いさま。転じて、才知が鋭く、物を見る目が正確であるさま。
おんしゃ【温藉】 あたたかく心がひろいこと。 また、そのさま。
いたどり【虎杖】 タデ科の多年生植物。 山野や道端、土手などのいたるところで群生し、草丈は1.5メートル ほどになる。↓


もたらす【齎す】

太郎

まいづる【舞鶴】 京都府の北部に位置する市。
ひはく・かすり【飛白】 絣(かすり)の模様。また、その織物。

春秋

せいきょ【栖居】 居住すること。すみかとすること。また、そのところ。住居。
まいばら【米原】 滋賀県の北東部に位置する市。
ひこね【彦根】 滋賀県東部に所在する市。両市の位置関係は以下の通り。↓

ならひ【慣ひ】 しきたりとなっていること。ならわし。習慣。くいな【水鶏】 クイナ科の鳥。 全長29センチくらいで尾は短い。冬に湿地や水田でみられる。↓

新秋の記

とうもろこし?【唐玉蜀】 「玉蜀黍」で「とうもろこし」を意味するので、その別名か。後に「南蛮」とも言及されているが、これもとうもろこしを意味する。

秋夜弄筆

ひょうれい【飄零】 風に吹かれておちること。また、さすらうこと。さまよい歩くこと。

公園

たのしい【怡しい】 
とばり【帷】
さっさつ【颯々】 風が吹くさま。風の吹く音の形容。同じ漢字を重ねることで、語調を整えて意味を強めた表現。
とばしり・ほとばしり・とばっちり【迸り】
かっぱつ【活溌】
しゅうせん・ぶらんこ【鞦韆】
のがれる【遁れる】

失題

せきとめる?【堰める】

『昆虫記』を翻訳しながら

くくりまくら【くくり枕】 そばがら、茶がらなどを入れ、両端をくくりとめて作った枕。箱枕、木枕などに対していう。↓

よし・あし【蘆】 いね科の多年生植物。水辺にはえ、形はススキに似る。茎を編んですだれにする。↓

はう【爬う】 
マッチ【燐寸】 軸木の先に発火剤をつけた、摩擦によって火をつける道具のこと。
しさいらしい【仔細らしい】 事情があるように感じられるさまである。 わけがありそうである。もったいぶっている。
さき【尖】
ふてい【不逞】 快からず思うこと。満足しないで不平をいだくこと。また、不平をいだいて無法なふるまいをすること。
じゅんぼく【醇朴】 すなおで飾りけがないこと。人情が自然のままで偽りがないこと。


『測量船』本編の単語集はこちらからどうぞ。