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第22回 校歌に山とか川の名前【朽羊歯ゾーンのWoundTube】

【朽羊歯ゾーンのWoundTubeとは】
朽羊歯ゾーンが一日一回何かを書くシリーズです。しょうもない発見や考えを真面目くさった文章で書く、1000~1500文字程度のエッセイくずれの文章が多いですが、そうではないときも多いです。どこから読んでも構いません。WoundTubeとは「巻かれた管」=「くだを巻く」という意味です。


まずはこちらをご覧ください。

田舎あるあるとして、「校歌に山とか川の名前」というものが紹介されている。

……そうなの?!

小学校時代を千葉と宮城、中学・高校時代を香川で過ごしたが、校歌に地名が入っていないことはなかった。ビルもないが森も田んぼもない、住宅街である。千葉の小学校など7組まであった。

特に印象深かったのは、宮城の小学校である。校外学習のスキー(雪の降る地域にはそういう校外学習がある)や、林間学校のときくらいしか行かない、車で30分はかかるような山の名前が校歌に入っていた。しかも、設立から10年も経っていない、新しい学校だ。

そうまでして入れる、しかも時代は関係ない。私の脳裏には、「山はノルマ」という言葉が刻み込まれた。

それが、田舎あるある……?!


しかし、この動画が間違っていると決めつけるのはまだ早い。

上に書いた話を知人にしたのだ。「校歌に山や川の名前が入ってない学校なんて、きっと東京の中心部くらいですよね」と笑った。そうしたら、知人が言ったのだ。

「山や川の名前なんて、入ってます……?」

彼の校歌には、入っていなかったのだ! 山や川の名前が!

話を聞いてみると、東京の学校に通っていたということがわかった。「30分先に山はないんですか! 東京砂漠極まりない!(意訳)」と聞くと、「そんなことしたらどこにでも山はあるでしょうけど……そこまでして入れないでしょう」とのことだった。

私の中の「山はノルマ」説が、がらがらと崩れ落ちた。

ちなみにその後、お互いの通っていた全ての学校の校歌を検索する流れになった。ずっと東京で過ごした彼の出した答えは、「あ。『富士』なら入ってます」だった。もっと遠いやんけ!!

さらに後日、別の人にも同じことを聞いたところ、「東京の学校にいたときは入ってなかった。でも『富士』はあった」とのことだった。


これを踏まえての、今の仮説。

校歌には、自分の住む地域の代表として敬意を表する(というか、パッと思いつく)山や川の名前が入っている。

多くの人は、「山といえば?」と質問された場合、有名な山を答えるだろう。「富士山」や「エベレスト」などといった答えももちろんあるが、住んでいる地域に有名な山があって名前を繰り返し聞かされている(ローカルなニュースやイベントなどにおいて名前が出がちだ)場合、それを答える可能性も高い。

山が近くにない地域の人に質問した場合はどうだろう。私が通っていた宮城の小学校の周辺住民に、「山といえば?」と質問すれば、車で30分かかる地元の山の名前を挙げる人が現れる。距離はあっても、繰り返し聞かされるタイプの地名だからだ。

それすらない地域(東京の中心部など)の人に質問したら、「富士山」「エベレスト」が大多数を占めるだろう。山自体は探せばあっても、馴染みがないのだ。

馴染み深く、地域を代表すると思われる山が、校歌に入る。距離は重要ではない。東京の人にとって、最も馴染みがあるのは「富士山」なのだ。しかも、「日本」という広い場所の代表なので、「当たり前すぎるから入れない」という選択肢も存在する。


気になるのは東京以外の都市である。愛知は富士山が近く、京都は山が多いとしても、大阪や福岡はどうなのか。「富士」の場合の違和感が、「地元っぽさ」が極限まで0の東京より高まる気がする。

東京は街自体が「日本代表」という顔をしているため、同じく「日本代表」という雰囲気の富士山と相性がいいのかもしれない。

特に気になるのは、宮城県仙台市の中心部、一番ビルが多かったあたりの学校だ。私が住んでいたのも仙台なので、地域の代表的な山は同じだろう。

「富士」になるのか、私の学校と同じになるのか、気になる。

でも調べるほどではないし、このへんで筆を置くか~。

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