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第24回 妖怪の話ぱらぱら【朽羊歯ゾーンのWoundTube】

こんな動画を見た。

うわん!
懐かしい響きである。

子供の頃家にあった本に書かれていた。突然「うわん!」と言ってくる。それ以上のことは知らない。

最高である。なんだその言いたくなる言葉は。ものかげからきゅうにとびだしてひとをおどろかせるときにはっするこえは「うわん!」でありたい。

動画ではゆっくり言っているが、私としては一音で言いたい。「わ」を母音とみなして二重母音にしたい(音声学的にめちゃくちゃなことを言ってたらごめんなさい、しかしそういう感覚で一音にしたいのである)


妖怪で語呂がいいと言えば「ぬっぺふほふ」である。肉塊のような見た目の妖怪で、名前の言いづらさ、見たことのない文字の並びが魅力だ。「ぬっぺっぽう」という別名もあり、これはひたすら言いやすい。こんなに変わることがあるのか。

こういうこともした。


うわんと名前が似ている妖怪として思い出すのが「さとり」だ。似ているといっても、ひらがな3文字というだけだが。

あれは怖い。思考を読んでくるのだ。そして賢い。性格がいいなら腹を割った付き合いができそうで良いが、悪かった場合が最悪である。

対処法として、なるべくグロテスクなモンスターを思い浮かべる練習をしておくべきだが、妖怪に効くのかは定かではない。しかも、さとり側がそういう顔の奴と知り合いだった場合、仲間を侮辱されたと怒るかもしれない。


怖い妖怪といえば、豆腐小僧である。豆腐を持って道に立っているが、その豆腐を食べると全身にカビが生える。

食べなければいいだけの話だし、食べたとして死ぬわけでも末代まで呪われるわけでもない。ただ全身にカビが生えるだけだ。

しかし、日常と地続きに想像されることの中で最大の気持ち悪さ。「死」などという、経験がないゆえに想像で補うしかないものの怖さを、そのインパクトで超えてくるのだ。

私は、人の死なない(または死が怖さの本質ではない)ホラー小説が好きだ。人が死んで怖いのは当たり前だからだ。それよりも、意外で奇妙な設定と、不気味さや気持ち悪さを煽る描写を読みたい。

「身体中にカビが生える」というのは、意外さと嫌な想像を掻き立てるパワーを兼ね備えた、素晴らしい設定だと言える。

ちなみに、豆腐小僧もうわんと同じ本に載っていたのだが、弟もめちゃくちゃ怖がっていたことが大人になってから判明した。

小田急だか江ノ島だかのスタンプラリーのチラシにいたのである。「なんちゅうセレクト!」と弟に連絡し、そこで知ったのだ。


好きなYouTuberの動画で出てきた妖怪として思い出すのは、「ぬらりひょん」だ。

この動画では、「妖怪の総大将」と呼ばれている。

また、全然別のチャンネルの動画では、「おうちの人が忙しくしているときに、勝手に上がり込んで茶を飲む」「めっちゃバカやん!」「何その悪さ!」と言われていた。(ネタバレ防止のため動画は貼りません。見たい方はこちら)

妖怪の総大将のする悪さ、かなりゆるい。デリカシーに欠けるが憎めない、近所の裏ボス的なおっさんを妖怪扱いしたら、うっかり伝承になったに違いない(この人のことは「おじさん」ではなく「おっさん」と呼ばせてほしい。絶対に)。私はそういうおっさんが好きだ。

ちなみに、両方とも作業用BGMにしている好きな動画である。

オチはない。以上。


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