見出し画像

FN2 カプラとオーディオとUSB電源と

20Aヒューズを一つ飛ばしました。こちです。

いろんな機器でUSB電源が使われる今日では、クルマの中でもUSBポートが必要になることが多いですね。昨年末にクルマをFN2(ホンダ シビックタイプRユーロ)に乗り換えた際に、車内でスマートフォンを充電するなどの目的で必要になり、運転席足元にあるヒューズボックスの電源オプションカプラから電源を取りました。この記事は、その際に考えたこと、調べたことのメモです。目的など1から解説していますが、カプラからの電源取り出しの話題は後半にあります。

はじめに

車内で電源が必要になったとき、もっとも手っ取り早いのは既存のシガーソケットから+12Vを取り出す方法でしょう。シガーソケットに差し込むタイプのUSB充電器を購入すれば、それだけで済むのでとても簡単です。私の場合も基本それです。が、なるべく考慮したいことがありました。それは、配線のスマートさを重視したいということです。

必要な配線は、最低限かつ安全な範囲でなるべく自作したいと考えました。つまり、市販のグッズを使った延長や、分配に次ぐ分配などでゴチャゴチャさせたくないということです。(かつて乗っていたクルマではムダに長い分配用の配線を隠すのに苦労していました。)

もともとの車内の設備

・シガーソケットがあるのは、センターコンソールのサイドブレーキの近くに1つと、アームレストボックス内に1つ。つまり、インパネ近辺ではシガーソケットのような簡単に電源をとれる設備がない
・オーディオにBluetooth機能がなく、別の機器への交換もできない。ただし、AUX(外部入力)端子がアームレストボックス内にある。

FN2はオーディオが特徴的です。AM/AFラジオやCD、メモリ内のmp3/wmaを再生するためのUSBポートはありますが、欲しかったBluetooth接続機能がありません。また、エアコンルーバーと一体のパネルとして組み込まれており、1DIN、2DINのオーディオ機器、ナビなどへの交換ができません。

画像2

その代わりに、運転席と助手席の間にあるアームレストボックスの中に、AUX(外部入力)端子と前述のmp3データ用USBポート、そして電源取り出し用のシガーソケットが1つあります。

要望、やりたいこと

・インパネ運転席側でのスマートフォンの充電
・前方ドライブレコーダーへの給電
・オーディオ用Bluetoothレシーバーのへ給電
・ジムで使用するワイヤレスイヤホンの充電
・他の機器の使用、および同乗者がスマートフォン充電等に使用するためのUSBポートを常に複数空けておきたい

方法を考える(アームレストボックス側)

まずはアームレストボックス内、オーディオ関係の要望から。

スマートフォンと接続して音楽を聴けるよう、アームレストボックス内のAUX(外部入力)端子にBluetoothレシーバーを接続することにします。これはUSB電源で動くものを使用するので、USBポートが1つ必要になります。

また、アームレストボックス内に置いておきたいワイヤレスイヤホンを充電するのにも1つ必要。ということで、合わせて2つのUSBポートが必要になります。

これは、アームレストボックス内のシガーソケットに、2口タイプのUSBポート充電器を一つ差し込むことで解決です。とてもシンプルでコンパクト。収納や見栄えの点でスマートです。

方法を考える(インパネ側)

つづいてインパネ側、スマートフォンとドライブレコーダーの電源です。要望をおさらいします。

スマートフォンのホルダーをインパネ付近に取り付けたいので、そこで同時に充電もできるようにしたいと思いました。USBポートが1つ、必要になります。

また、以前から前方撮影に使用していたドライブレコーダーを新しいクルマに付け替えました。これに+12Vの電源が必要で、シガーソケットを1つ使用することになります。

さて、電源を取り出せるシガーソケットは、センターコンソール上に1つ残っています。しかし、これを利用するとなると、2口に分配するソケットを差し込み、その配線を足元を這わせて、インパネ運転席側のスマートフォンとフロントガラス上部のドライブレコーダーまで伸ばすことになります…。

最も乗員の手元近くにあり使い勝手のよいこのシガーソケットは、できれば塞がずに空けておきたいと考えました。同乗者がスマートフォンを充電するために電源を必要とする機会も少なくありません。そもそも、ここから常時ケーブルが伸びているのは見た目にスマートではありませんし、ゴツい分配ソケットなどが挿さっているとシフトやサイドブレーキ操作と干渉する可能性もあります。

よって、シガーソケットが存在しないインパネ側、足元付近にて電源を確保し、これをスマートフォン充電用とドライブレコーダー給電用とすることが必要という結論になります。

ここからが本題

おそらくどんなクルマでも”電源をシガーソケット以外から持ってくる”という要求に対しては数種類の答えがあるのだと思いますが、今回は運転席足元のドア側側面にあるヒューズボックスの、電源オプションカプラから取り出すことにしました。

ヒューズボックスの左上にある6端子のカプラが、それです。

画像4

この方法を採ることにしたのは、電源取り出し用ヒューズで狭いところから電力を取り出す方法や、ケーブルに分岐用のクリップを直に挟むような破壊的な改造ではなく、カプラに接続して取り出すのが、形としてスマートだろうと思ったからです。

とはいえ、電源オプションカプラは特殊な形状をしており、差し込むハウジングを簡単に自作できるようなものではありません。そこで今回は、FN2の電源オプションカプラ対応の変換ケーブルを作成、販売している個人の方から購入しました。様々な車種用の変換ケーブルを作成、販売しているらしく、とても助かりました。

カプラの形状も車両のメーカーや車種によって様々なのですが、取り出せる電源の種類も車種ごとに微妙に変わってきます。このあたりが、よく調べなくてはいけないことであり、この記事に残したかった本題でもあります。

カプラから取り出せる電源の種類と意味

FN2の電源オプションカプラには6つの端子があります。2段になっており、下段には2つ(ヒューズボックスに向かってから端子番号を1, 2とします)、上段には4つ(から端子番号を3, 4, 5, 6とします)の端子があります。

画像5

取り出せる電源について、一つずつ見ていきます。なお紹介しているケーブルの色は、先述の変換ケーブル独自のルールに基づくものです。

・端子1)下段 左(黄) 常時電源(要ヒューズ)

バッテリーの+端子からダイレクトにつながる+12Vの端子です。エンジンがかかっている/かかっていない、キーを挿している/いない、またキー位置の I(アクセサリ)、II(イグニッション)に関わらず、常に+12Vが現れる端子です。

ただし、唯一この端子については、カプラがあるヒューズボックスの27番に20Aのヒューズ(平型、低背タイプ)を挿しておく必要があります。(最初はヒューズは取り付けれられていません。)

ヒューズがないと、この端子に電圧は現れません。逆に、27番にヒューズを挿した瞬間から、端子はバッテリーと直結になりますから注意が必要です。この端子を使用するのであれば、必要な配線が終わってからヒューズを挿すほうが安全です。

この端子は盗難防止目的の装置などを駐車中にも使用したい場合などに使うのでしょうか。常に大きな電力を要するものを接続するのはバッテリーがあがってしまいそうで怖いですね。

・端子2 )下段 右(茶) イグニッション

キー位置が II(イグニッション。エンジンを始動する際、またエンジン稼働中のキーの位置)の時に+12Vが現れる端子です。スモールランプの点灯/消灯やシフト位置に関わりません。ただし、エンジン始動時(セル回転中)は一時的に電圧が低下します。

似たものとしてキー位置が I(アクセサリー)の状態というものがあります。既存のシガーソケットでは、このキー位置で電源が取り出せますが、この端子についてはキー位置が I では+12Vになりません。FN2の電源オプションカプラでは、キー位置 I で電源を取り出せる端子がないのです。

・端子3 ) 上段 右から1つめ (橙) イルミネーション(+)

スモールランプを点灯しているときに+12Vが現れる端子です。キー位置、エンジンがかかっている/かかっていない、シフト位置に関わりません。ただし、エンジン始動時(セル回転中)は一時的に電圧が低下します。

・端子4 ) 上段 右から2つめ (緑) イルミネーション(-)

プラズの電圧が現れる端子ではなく、バッテリーのマイナス端子、つまりGND側の端子です。ショートしてしまうので、プラスの電圧が現れる端子1, 2, 3, 6とは直接、接触させてはいけません。

この端子はスモールランプの消灯時、点灯時で動作が変わる、少し複雑な仕様の端子です。

まず、キー位置が0の時、 I(アクセサリ)の時、スモールランプが点灯していない時。いずれの場合もこの端子は常にGND、つまりマイナス極になります。この端子を通じて電流が抜けていく(バッテリーへ戻っていく)出口のような存在です。この場合、イメージとしては、電流が出口へ出ていく栓が全開になっている状態です。

一方、キー位置がII(イグニッション)で、かつスモールランプが点灯している時。この時もGNDとして機能するのですが、電気の出口の栓を絞ることができ、流量を調整できるのです。具体的には、メーター類の明るさを調節する調光機能と連動しています。

スモールランプを点灯する主に夕方以降の暗い時間帯に、眩しくないようにメーター類の明るさを暗くできるできるよう、調光ダイヤルがあります。このダイヤルでメーター類を暗く調整すると、この端子のGNDにもPWMが介入するようになります。(ハイインピーダンスとGNDでPWMとなる。)

例えば、端子1の+12Vから電球やLEDを通して端子4につないだ場合、スモールランプ消灯時には常にMaxの明るさで電球が点灯します。端子4の出口が絞られていないからです。

一方、スモールランプを点灯しているときに、メーターの明るさを暗く設定していると電球も全開ではなく、暗く光るようになります。メーターの明るさ設定と連動して端子4の出口がPWMで絞られているからです。

繰り返しになりますが、連動するのはスモールランプを点灯している時だけです。スモールランプを消灯していてもメーターの調光は可能ですが、この端子のGNDにはPWMが入らず、常に完全なGNDとなります。

・端子5) 上段 右から3つめ なし

5番目のこの端子からは何の電源も取り出せません。またGNDでもありません。いわゆるハイインピーダンスのようです。なので今回使っているカプラでは、この端子に相当するケーブルはありません。

・端子6 ) 上段 右から4つめ (紫) リバース

この端子は、キー位置が II(イグニッション)かつシフト位置がリバースの時に+12Vが現れます。キー位置が0、I の時にシフトをリバースに入れても+12Vは現れません。

・各端子の状態のまとめ

画像1

キー位置、エンジン停止/稼働、シフト位置、スモールランプ消灯/点灯の各状態に対する端子1~6の状態を表にまとめました。

キー位置 I の状態については キー位置 0 と全く同じですし、キー位置が II であればエンジンが停止しているか稼働しているかは関係ないことが分かります。

シガーソケットへのケーブル作成と接続

使用したい機器はドライブレコーダーとスマートフォンの充電用電源です。よって、今回取り出したい電源は、端子2から取得できるイグニッション電源でよさそうです。また、ヒューズボックスのすぐそばのボルトがフレームにつながっていることが分かったので、そこをGNDとします。

茶色のイグニッション電源ケーブルからシガーソケットパーツの+側へ。シガーソケットパーツの‐側からGNDへ通じる配線のセットを2つ並列につなぐよう作成します。スマートフォンの充電用のソケットは、USBチャージャーを挿して運転席側へ配線するので短くてよく、ドライブレコーダー用のソケットは助手席側まで配線したいので、長めに作りました。

運転席足元は運転操作に重要なペダル類などが多く、万が一にもそれらに干渉することは許されません。注意しながらも見た目に注意しながら配線をすれば、すべての作業が完成です。

画像3

まとめと追記

・FN2では電源オプションカプラからキー位置 I でONになるアクセサリ電源は取り出せない。キー位置 II でONになるイグニッション電源は端子2 から。
・端子4のイルミネーション(-)はキー位置 II でスモールライト点灯のときにだけメーター調光に連動するようにPWMが介入するGND端子。それ以外のときは常にGND。なお、メーターをめいっぱい暗くしても、完全に流れなく(ハイインピーダンスに)はならない。
・端子6はシフト位置リバースでONになるが、キー位置 II のときだけ。
・最初は空のヒューズボックス27番に20Aヒューズを挿すと端子1には常に+12Vが現れるので注意。
・やりたいことが全てできたのは、電源オプションカプラ用ケーブルを幅広く各車種用に作成、販売してくれていたおかげ。感謝。
・27番以外にもう1つ、ヒューズボックスには何の目的にも使われていないとされる空のソケットがある。そこにヒューズを挿せば、端子5に何かが起きたりして。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?