Adobe Encore CS6 2021年も現役。
DVDオーサリングソフトであるAdobe Encoreは最新バージョンがCS6。記事投稿時点で9年も前のソフトですが、まだ十分使えます。2層DVDを初めて作成しました。
DVDをオーサリングするのにAdobe Encoreが存在しなかったらと思うと、ゾッとします。こちです。
はじめに
CS6なだけあって、発売されたのは2012年とAdobe製品としては遥か昔ですが、私の職場の環境では未だに現役です。とはいえ、なぜこの記事をこのタイミングで残そうと思ったかというと、これまでずっと避けてきた(避けてこれたのが不思議ですが)2層DVDの作成の必要に迫られ、あれこれ試すことが必要になったためです。結論から言えば、問題なく作成できました。
Encoreを使用している人なら、Encoreで2層DVDを作成できること自体は知っていると思います。と同時に、どうもうまく焼けないことが多いらしいということも話に聞いているかもしれません。焼けはしたけど、再生できないとか、2層目へ移るレイヤーブレイクポイントがどうだとか。1層のなんてことないメニュー付きDVDを作るだけでも意味不明なエラーでビルドが中断され、新規プロジェクトから組み直すようなことを経験している私としては、2層DVDには手を出してはいけない気が何となくしていたのです。
作成したDVDの仕様
・タイトル:3本 (1時間45分、2分30秒、4分)
・メニュー:あり(3枚)
・チャプター:1時間45分のタイトル内に18のチャプター
・ディスク:DVD+R DL
使用した環境
・PC:Windows10(64) メモリ16GB プロセッサ Xeon 3.00GHz
・エンコード:TMPEGEnc Video Mastering Works 5
・メニュー作成:Adobe Photoshop CC2018
・オーサリング:Adobe Encore CS6
・ライティング:Windowsのライティング機能
特筆すべきことはありません。TMPEGEncやPhotoshopが微妙に古いことも、2層DVDが作れる、作れないには関係ないと思います。が、Encoreを使っている人が見て気になるとしたら、エンコードとライティングをEncoreやMedia Encoderに任せていないということでしょうか。
はっきり申し上げて、この記事はここで終わってもいいくらいなのですが、なぜそうしているかをメモとして残しておきます。
エンコード
エンコードをどのソフトウェアで行うかは、2層DVDを作成することとはあまり関係がないと思います。Encore自身にもエンコード機能はありますし、Media Encoderを使用することもできます。
そんな中でTMPEGEncを使用しているのには理由があります。ビットレートを、動画容量:DVD容量の程度と画質のバランスを考えて調整、決定できるメリットがあるからです。
DVDの容量いっぱいに収まるギリギリのビットレートにまで上げたほうが画質はよくなりますが、よりディスクの外周まで記録することになり、エラーが増える可能性が高まります(ホントに本当かどうかは検証していませんが、よく言われていることだと思うので)。ちなみに今回は、8,200Kbpsをターゲットに2パスでエンコードしました。8,200Kbpsもあれば1パスでもいい気もしますが。
また、近年では素材にHDサイズの動画を受け取ることが増えています。今回もそうでした。インターレースだったり、59.94fpsだったり。そういった素材の状態に柔軟に対応できることや、別のPCでエンコード作業だけ並列的に進められることなどから、TMPEGEncの使い勝手のよさが重宝します。
ただし、エンコードをTMPEGEncで行うのであれば、エンコードを開始する前に考慮しなければいけないことがあります。オーサリングでその動画内にチャプターを切るつもりがあるかどうかです。
エンコード済みのmpg素材をEncoreへ読み込んで使用する場合、チャプターを切れるフレームはIフレームのみに限られます。1枚のフレーム(画像)情報として完全ではないPフレームやBフレーム上にはチャプターを打てなのです。そのため、あらかじめTMPEGEnc上でチャプターとしたいフレームにキーフレームを打っておき、「キーフレーム設定をIピクチャとしてエンコードする」にチェックして書き出す必要があります。
ライティング
Encoreには、DVDを焼くライティング機能が組み込まれています。オーサリング作業が済んでいれば、ドライブに空のDVDを入れておけば、あとはビルドの流れで、ディスクに焼くところまで面倒を見てくれます。これは本来、とても便利でありがたい機能なのですが…どうも信用できません。Encoreのライティング機能は安定性が低いようです。
具体的に私が今回、2層DVDを作成するにあたって経験したことを残しておきます。レイヤーブレイクポイントを指定した上で、なるべく低速で焼こうと考えました。
・x2.4で焼いている途中、全6.5GBの1GBを焼いたあたりで失敗。
・x4、1.7GB付近で失敗。
・x8では全部焼けたのですが、レイヤーブレイクポイントがうまく設定されておらず(自動的に適当なところに設定されてしまっていた)NG。
・再度レイヤーブレイクポイントを設定してのx8、書き込み開始直後に早々に失敗。
レイヤーブレイクポイントの設定が正しくできていた、できていなかったこととの関連についてはこれだけでは不明ですが、とにかく、一度もまともに焼けませんでした。
一方とてもありがたいことに、Encoreでは直接DVDに焼いてしまう方法以外に、isoイメージファイルとして書き出すという選択もできます。
いきなり物理的なDVDディスクに焼くのではなく、一旦ファイルとして保存るこの方法は、必要なだけライティングソフトで複製できるというメリットもあります。1層DVDを作成する場合にも、そもそも私はこの方法を採っています。
今回まずこの方法を試さなかったのは、2層DVDを作成するのに、この方法が何も考えずそのまま適用できるのか分からなかったからです。Encoreのライティング機能ならではの、レイヤーブレイクポイントを意識した2層DVDの焼き方というものがあるのかな?と思ったのです。結果、どうやらそんなものはなかったようです。
というわけで、出力先のisoファイル名を指定しビルド。出来上がったisoファイルをWindows標準のライティング機能でDVD+R DL ディスクに焼きました。失敗は一度もなく、焼く工程も順調に進みました。ベリファイには、なぜか思いのほか時間がかかりました。
再生テスト
パナソニック製のBDレコーダーで再生し、問題なくディスクがかかることを確認できました。問題のレイヤーブレイクポイントでは、0.5秒ほどフリーズしましたが、正しく指定したところでのことなので、これは仕様としてOK。ちなみにPC上でVLCメディアプレーヤーを使用してDVD再生(動画ファイルを直接開くのではなくメニュー操作などを含めDVDプレーヤーとしての動作をする)すると、なんのフリーズも起きずにスムーズに再生されました。
というわけで、初めてまともに2層DVDをEncoreで作成しました。考えていた通りのものができてよかったです。
まとめと追記
・エンコードはともかく、ライティングはEncoreには任せられない。1層、2層を問わず、迷わずisoイメージ出力にすべし。isoファイルのライティングは、速度など詳細は設定できないもののWindows標準のライティング機能で問題ない。メディアはDVD+R DL。
・レイヤーブレイクポイントの手動設定は、ビルド開始後に尋ねられる。これは、収録される各タイトルの尺を考慮してディスク内の配置が検討された後に、どのタイトル内のどのあたりで切る必要があるかが確定してからでないと設定できないため。
・レイヤーブレイクポイントの存在がチャプターのような映像コンテンツの切れ目になってしまうことはない。例えばチャプター3の中盤にレイヤーブレイクポイントが来る設定の場合、チャプター3の冒頭付近を再生中に次のチャプターへスキップすればチャプター4へ飛ぶし、チャプター3の終盤を再生中に前のチャプターへ飛ぶようスキップをすれば、レイヤーブレイクポイントではなく、チャプター3の頭へ戻る。ただし、これについては否定する証言も散見されるため、DVDプレーヤーに依存するのかもしれない。
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