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思いだけではどうにもならない。だけど、なんとかしたい気持ち、持ち続けたい。映画メモ『花束みたいな恋をした』
映画『花束みたいな恋をした』を鑑賞しました。
現代に生きる人々を描いた、2人の5年間
本作は、脚本家・坂元裕二さんの
オリジナル脚本作品で、
主人公の男女による5年間を描いた内容。
坂元さんは、この作品について
「憧れでも懐かしさでもない、
現代に生きる人々のための
ラブストーリーを描きたいと思った。
この物語は2人の男女がただ恋をするだけの
映画であるが、出会った2人の5年間の
恋模様を純粋に描き出したつもりだ」
と語っています。
詳しくは以下、作品の公式サイトも
参照いただければと思います。
純粋だけど、単純じゃない
2015年の終電後の東京で出会い、
好きなものが一緒なことから
恋に落ちた男女の5年間。
こう書いてしまえば確かにそうなのですが、
それだけじゃない、今の世の中で
いろいろな思いを抱えながら
現実と向き合い生きる人々の葛藤。
ひとりで生きているわけじゃない。
だからこそ悩む。
その中で、思いと現実のはざまで
どう折り合いをつけて生きていくか。
純粋だけど、単純じゃない。
そんな作品として受け取りました。
「普通」が難しい世の中で、生きる
大学生から社会人になり。
友人が結婚して。
「好き」で一緒になったけど、
この世の中で生きていくために
大切なものすらも失ってしまう。
「好き」で一緒にいれたら。
「好き」が認められて、
それで世の中のためになれたら。
これ以上のしあわせはないのですが、
ただ現実はそれだけではどうにもならず、
結局は、抗えない社会の構造に
飲み込まれてしまう。
ステータスを気にして
マウントを取り合う大人がいて。
社会人としての責任を問う世の中があって。
資本主義の世の中なので、
生きていくためにはお金も必要で。
現代の世の中で「普通に生きる」ことの
ハードルがものすごく高いことと、
一方で楽しいものや心躍るものが
日常の中にたくさんあること。
そしてそれを共有することの尊さも
作品の中のさまざまなシーンから
感じさせてもらいました。
2015年からの5年間という時代や
作品内でのやりとりなども、
現代に生きる私たちにとって
身近なものを感じました。
変化が激しく、新旧の価値観が交錯し
ますます難しくなる「普通」
思いだけではどうにもならない
世の中なのは百も承知だし、
じゃんけんのルールの理不尽さもわかる。
それを、しょうがない。ではなく
それでも、なんとかしたい。
この思いだけは持ち続けていたいと思いました。