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画家業への道のり•ほぼ自己紹介

私は抽象画家。
とはいえ自営業者でもあり、大人向けの抽象画クラスを主催している。今は兼業。

2023年に画家として日本橋で初の個展をして、2枚でたしか40万円くらいになったと思ったけど、絵が売れた。個展後にもう2枚小さいサイズの絵と、3部作1セットが売れて、この1年で絵の売り上げは専業とはほど遠いものの、ようやく60万ほどになった。
ここで大事なのは、決して安売りしなかったこと。妥協しないで60万円を売り上げたことで、もう少し頑張ってみようと思うに至った。

画家として食べていくのは大変なことなんだと思う。
画家と言えども教員やってたり、大学教授やってたり、割とお堅い仕事してる人が多い印象。本格的な絵画に取り組もうと思えば思うほど堅い仕事へ流れていくのかな。わからないけど。

私はむかし教員とかそういう柄じゃなかった。
鹿児島で美術コースがある高校を出てから、私大は親から無理って言われたので国立大学の教育学部の美術科へ進学した。
学生時代から絵を描きながら、これこのままだと教員かデザイナーになるしかないんでは?と思ってたけど、卒業してから「やっぱそうだよね」ってなった。
教育学部の同級生はけっこう教員になってった。デザインをやってた同級生はそのままデザイン会社へ。
画家とそういうの全然違うじゃんって思ったし、なんかやだな~って、説明できない嫌さかげんで就職しなかった。

当時の私は絵を描くことが経済と一切結びついてなかったので、学生時代の終わりとともに絵を描くのをやめた。あの頃なら、売ろうと思ったら描けなくなってたんじゃないかと思う。

それから時は経って、30代後半に自営業者になり、たくさん失敗しながらも四苦八苦して商売とは?何かを売るとは?を実践で学んだ。
世の中とはこういうことになってんのかと知っていった。自営業をしなかったらいろんなことを全然知らなかったかもしれない。
絵からすっかり遠ざかって長い時間が過ぎ、このまま商売人として生きてくのかと思ってたんだけど、転機はあるとき否応なくやってくる。

何気なく描いた絵を、目利きが何人かとてもいい絵だと言ってくれたのをきっかけに、だったら絵も売ってみたら面白いんじゃないかという好奇心がむくむくと。
それは、信用してる目利きの評価だった。人が違ったら思い切らなかったかもしれない。それで再び本格的に描くことに。

目利きとは絵の良しあしを目利きできる人のこと。

https://note.com/_kiteretsu/n/n1e2dbe187475


描き始めてみると、ゼロから仕事を立ち上げることで培ったノウハウが、絵の描き方をまったく変えてしまった。
昔習ったセオリーがなんだか手に馴染まず、それらを意識するとうまく描けなくて、えーいもう全部無視だって描き始めたらたいそう面白かった。ブランクがなかったらこういう現象は起きなかったかもしれないと今は思う。

それから2年は描き続けた。ブランクを埋めるかのように描いて描いて、たまったら個展、の繰り返し。手を解凍するのに1年ほどかかった。

最初は画家?ほんとに?って感じで緊張して作品を露出していたけど、これまた商売のおかげでオートでやるようになってた情報処理がおおいに役に立った。露出するごとに分析すべきことが膨大。癖でどんどん分析してしまうことが続いた。
そうこうしてるあいだに、なるほどしっかりしたマーケットがなくてもこうしていけば売れるのかもと「絵を売るまでの道筋」がおぼろげに見えた。まだ50%くらいの視野ではあるけど、始めたころは視界ゼロメートルだったのでだいぶマシ。

絵の描き方はそれがいいか悪いかはさておき教えてくれる人がいたけど、絵の売り方はだれも教えてくれなかった学生のころ。そりゃそうだよね、ジャンルが違いすぎる。

私の生まれ故郷の鹿児島は、いい仕事、地道な仕事、真面目に続ける仕事、を育むのに必要な環境を与えてくれた。
いい物を作れば売れるはず、みたいな感覚が私にもあったし、この感覚のおかげで物つくりには強いこだわりがある。
だけどこれは、私が東京で生き延びるために経験したことを踏まえて考えると、2つの武器のうち1つしか持ち合わせていない状態。売るには、それがどんなにいい物でもそれなりの知恵がいる。

こうして結びつけるのが困難だった画家と商売人という人格が、50歳手前で合体。別々の環境で育った2つの人格が1つになろうとしてる。
ただし同時には存在できなくて、絵を描く期間とPRの期間はまっぷたつ。PRモードの時は絵はおやすみ。

画家が商売人ってなんだかなって感じだけど、日本で無名の画家の絵を売ってくれる人はいないっぽい。どこかにいるのかもしれないけど私は知らない。
ではどうする?ってなると、大抵は権威性にすがるのだろうけど、なんとか展みたいなものは賞という名誉をくれるだけで売ってくれるわけじゃない。まれに賞金をくれるかもしれないけど大抵は参加料やら描き手が支払うことも多い。ギャラリーも販路を持ってるというより場所を貸す業態が主ではと思う。画商には会ったことがない。

それらを受け止めやってく様を、メモ的に記録していこうと思う。書くといろいろと気が付くしね。おもしろいなと感じるうちは続けてみようと思う。

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