削ぐ。
個展用の、素地を作っている。
最高の直感を引き出す為に。
練りに練り剥がし、練ってははがし。
捏ねて肉付けする作業は、
苦しみがあった夏とか、
色んな物を無に帰して、素地がなりたい様に為らす作業なんだって思う。
藝術の勉強なぞしていないし、ゴッホやルノワールは一度見ただけだが、
まだまだ孤独が足りないんじゃないか、途端立ち止まる。悠久みたいな時間を一瞬過ごして、線をみる。面を撫ぜる。
心の中心が沸騰したみたいだ。
湧き上がり水柱を上げた私の内部は、うねる波のまま渾々として逆さまから空を仰ぐ。閃光が夏は脳裏を刺し続けるね。
雲は流転であって、その形のまま落ちてはこない。でも、雨を降らす。雲も、きっと哀しみを抱えているだろう。
なら、水柱を高くあげて、削いでみようじゃないか。この雲は欲しい、この雲は空のまま、この雲をこうして…
触れる。掴む。捉えた!
奇跡みたいに浮かび上がる必然を捕まえる。水柱は鋭利に輪郭を捕まえては逃し、また捕まえては受け入れて。雲は粘土や味噌と似ているのかもしれない。
素地とは、人間の精神だ。
哀しみや喜びのようなものを迎え入れて、新たに光を放つ為にタネを植えつける躰、どこよりも綺麗でないと咲かないし、水がよくても、土が悪くてもダメだ。如何に素直にまっすぐで曲がりながらかなあ、紆余曲折で、ひび割れていて。凸凹が最高!
だから素地、と書くのだと思った。
逆さまから見ているレース越しに、青栗が見える。空はにわかに雨が降る。
夏は佳い、なあ。
ゆるくはやい扇風機が、少し熱くなった此処のところを冷やす。
夏は藝術を!
ありがとうございます! 創造したい!!