【巡礼の旅】day8 四国を北から南へ〜霧の四国カルスト
早起きして、名残を惜しみながら道後温泉を後にし、南へずっと降りていく。今日は今までの1.5倍/日くらいの距離を走る。いよいよ目的地は四国カルストだ。
朝の予報では、四国カルストは晴れているようだった。目的地に向かって山のなかを淡々と走り続ける。巡礼、という言葉が改めて頭をよぎる。
だが、徐々に雨が降ってきて視界が悪くなってきた。買ったばかりの雨具に着替えて先へ進むが霧は濃くなっていき、目的地の姫鶴平に着くと…真っ白な風景が広がっていた。
本当に白。ベタ塗りしたみたいだ。目の前に白い紙を置かれたような感覚に陥る。あまりの視界の悪さにかえって少し笑ってしまった。
周りをみると他にもライダーがいて、同様に困惑しているようだ。ここまで来て何も見えないのは悔しいから少し待つことにして、スマホをいじっていたが、1時間たっても霧は晴れない。
もう帰ろうかなと思ったが、アイスを買った移動販売車の店主が優しそうなおばちゃんだったことを思い出し、最後になんとなく話しに行った。
「ここでよく売られているんですか?天気ってけっこう変わるものでしょうか」
すると
「ほぼ毎日来てるんですけど、5分くらいでも変わりますよ。もし時間があるなら少しだけ待ってみてほしい!」
と返ってきた。
覚悟を決めて文庫本を取り出し、待つことさらに1時間。少しずつ少しずつ視界が広がっていき、ついに日差しが差した。
雲のヴェールを外した姫鶴平は、たしかに絶景だった。遠くまで連なる山々、白い斑点のような石灰質の岩、なだらかな丘陵。黒く小さく牛の群れも見える。粘りに粘って見えた風景だけに、感動もひとしおだ。
振り返ったら遠くに山々がそびえ、山を登ってここまできたのだと改めて気づいた。
しばらくぼーっと眺め、おばちゃんに「見えました!」と報告へ。
そのとき教わったおばちゃんおすすめの近隣スポット(少し歩くけど、という言葉は嘘だった…山道で大変だった)へも足をのばした。
その後も徒歩で歩き回ったり、バイクで丘を廻ったり。
なんだかんだたっぷり半日使い、四国カルストを満喫した。
夜の部は…次回に続く。