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最近の記事

フルタイム会社員を辞めました

10月から週5日フルタイムで働く生活を改めることにしました。 時間と労力に「スラック」ができる分、副業(複業)の量と種類を増やしたり、色々なことの勉強をしようと思っています。 私は、コロナ禍前は「時短」勤務でした。高層ビルが並ぶ東京の都心へ週3〜4回通勤をしていました。2020年、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、リモート勤務に切り替わりました。 その後の詳細についての説明は省略しますが、ご縁があり、単年度更新の時短勤務(リモート)から、別の組織でフルタイム(リ

    • 教育学の課題と展望

      教育学では研究テーマを設定するときその「問いの立て方」を問題とする。その理由は、研究する者の立場や問題意識を根本的に問うからであり、と同時にまたその価値の前提を問い直すからである。この問い直し作業が永続する根源的な問いへ導くのだが、それが「一人合点」の抽象論に陥らないように図るためには調査法を習得することが課題となる。調査では教育事象を表す具体物や要因関係を扱うので心理学や臨床心理学と一定の共通基盤に立つことができる。 教育意図は目的や目標のレベルだけでなく、教育の手段(計

      • 臨床心理学における「あいだ」

        クライエントの抱える問題の多くは、「関係性」に起因する。多くは、人と人であり、人と組織などでもあり、その対象者との「あいだ」を改善することにより、問題解決につながることが少なくない。 対象者との「あいだ」を作ったり、離したり、繋いだりすることを援助しておくのも、心理臨床における仕事のひとつ。 「あいだ」は、健康的に生きていくために、なくてはならない存在である。あいだがあることによって、二者の関係を眺めることができ、関係が展開し、ほどよいあいだが生まれていく。 接近し過ぎ

        • 心理的ケア

          臨床心理士の勤務領域は、医療・保健が最も多く、次いで教育、大学・研究所、福祉と続く(第7回「臨床心理士の動向調査」より)。 医療・保健領域の中では、精神科、心療内科で働く心理士が多い。しかし、心理士の活動領域はあらゆる身体科の領域に広がっている。医療現場での臨床心理士の仕事は、多岐にわたる。心理療法・カウンセリング、心理検査、家族ケア、カンファレンスなどがある。アプローチも、仕事の内容も、多様化してきている。 医療チームでの心理士には、心理士個人が多面的な視点を持ってクラ

          共感的理解

          カウンセラーによってクライアントの潜在的な心理的苦痛がある程度、的確かつ共感的に理解されることが、カウンセリングのファーストステップであり、ラストステップである。 カウンセラーがありのままの自分を受け入れてくれるとか、理想的な親のように見守ってくれると感じると、多くのクライアントの心の中に、これから自分にできそうなことで、しかも、さしあたりなすべきと感じられることが浮かんでくる。 心理的苦痛の深刻さをありのままに確かめるために、以下のようなポジティブ・フィードバックが有効

          共感的理解

          箱庭療法

          砂の入った箱とミニチュアのおもちゃを使って、なんでもいいから作らせる。 箱庭には、「心の中に湧き上がってきたもの」が表現される。 例えば「戦い」の箱庭は、心の中の葛藤が表現されていると考えることができる。しかし、その解釈が正しいとは限らない。 箱庭を製作する過程で、自分自身の無意識層との接触が促される。自分に足りないものの気づきが得られたり、自己理解、自己実現の傾向が現れてくること。 箱の大きさは、内法が57cm x 72 cm x 7cm(子どもが全体を見渡せる大き

          「一瞬とは、どのくらいの長さなのか?」

           国際基督教大学(ICU)のウェブサイトには、「リベラルアーツ教育を体験する」仕組みが用意されている。体験用のページでは、「一瞬とはどのくらいの長さなのか。」と問われ、考える時間が10秒間与えられた。10秒後に表示されるページでは、「教授陣による回答」として、中国の故事やアジア通貨危機(1997年)などの様々な専門分野の情報に基づいて、「一瞬の長さ」について論じられていた。例えば、「アジア通貨危機」から「一瞬」を考えた場合のページでは「時の刻み方の感覚を共有するのは困難である

          「一瞬とは、どのくらいの長さなのか?」

          通信制大学に対する社会人学生からの潜在的需要について

          研究背景 通信制大学の一つである早稲田大学人間科学部e-スクールの2019年度の入学者データによると、いわゆる「社会人」である「会社員・銀行員・教員・公務員・個人営業・自由業」の入学者が全体の約6割を占める。早稲田大学の人間科学研究科から日本教育工学会論文誌に発表された学術論文「オンライン大学で学ぶ学生の自己調節学習方略及びつまずき対処方略」の研究では、基礎教育科目「スタディスキル」と専門科目「生涯学習と成人教育学」の受講生を対象にアンケート調査が行われた。その研究報告による

          通信制大学に対する社会人学生からの潜在的需要について

          「臨床心理学と心理療法」(『心理と教育へのいざない』)

          概要臨床心理学は、人間が抱える様々の苦悩・問題・課題と実際に関わる心理学である 心理療法(カウンセリング)の特徴は、その営みが、最初から最後まで、一定の「器」の中で行われることである 目次1 心理療法 (1)心理療法と「器」 (2)変容のプロセス 2 心理療法についての学 3 事例研究法

          「臨床心理学と心理療法」(『心理と教育へのいざない』)

          「見える」から「見る」へ:心理学と臨床心理学 (『心理と教育へのいざない』)

          概要心理的体験である知覚について、以下のアプローチが紹介されている ・実験心理学、知覚心理学:外的刺激との関係から体験を考える ・パーソナリティ心理学、臨床心理学:観察者の心理的属性が与える近くの歪み ・病態心理学、異常心理学:病理的な知覚体験 目次1 はじめに 2 ものはどうしてそう見えるのか:知覚心理学 (1)ゲシュタルトの原理ー心理的世界と物理的世界 (2)誤った知覚ー恒常現象と幾何学的錯視 3 人にはどうしてそう見えるのか:近くの歪み (1)知覚に及ぼす欲求の影響:

          「見える」から「見る」へ:心理学と臨床心理学 (『心理と教育へのいざない』)

          「対人認知:社会心理学」(『心理と教育へのいざない』)

          概要・社会心理学とは、社会(他者の存在)によって影響を受ける人の心の働きについて調べる学問である ・社会心理学のなかで、「私たちが他者をどのように認識しているか」というテーマは対人認知の研究として行われてきた ・対人認知は決して正確なものではなく、様々な歪み(バイアス)を伴っている 目次1 社会心理学という学問 (1)人間は社会的動物である (2)オルポートによる社会心理学の定義 (3)社会心理学における対人認知 2 対人認知とは (1)物の認知と人の認知 (2)対人認知の

          「対人認知:社会心理学」(『心理と教育へのいざない』)

          「赤ちゃんの心:発達心理学」(『心理と教育へのいざない』)

          概要・発達心理学は、受精から死に至るまでの人間の心身の変化とそのしくみを研究する学問分野である ・発達は子どもだけのものではなく、大人をも含むものと考えられている ・子どもがアタッチメント(愛着)を形成していくことは、乳幼児期の知的・情緒的・社会的発達の基盤となる 目次1 生涯発達と赤ちゃん (1)発達の道筋 (2)赤ちゃん研究の歴史 2 胎生期の発達 (1)卵体期 (2)胎芽期 (3)胎児期 (4)出生前後のリスク 3 乳児期の発達 (1)受信と応答 (2)発信と引き寄せ

          「赤ちゃんの心:発達心理学」(『心理と教育へのいざない』)

          「大人が学ぶ理由:生涯学習」(『心理と教育へのいざない』)

          概要・大人になってからの学習には、異なる2つの側面がある ・側面のひとつは自らの人生の充実と意味付ける個人的欲求である ・もうひとつは、学習を通じた地域の人々とのつながりや信頼の形成により社会の維持や発展を促す社会的要請である 目次1 大人の学習の特徴 (1)学習の目的 (2)子供と大人の学習の相違 (3)自己決定による学習 2 大人になってから学ぶ理由 (1)変化する社会に対応する (2)困難か経験から人生を学ぶ (3)自分の人生を意味づける 3 生涯学習への誘い 演習

          「大人が学ぶ理由:生涯学習」(『心理と教育へのいざない』)

          「記憶のしくみ:教育心理学」(『心理と教育へのいざない』)

          概要・手続き的記憶とは、ものごとのやり方に関する記憶であり、言語によって説明することが難しい知識を指す ・一旦身につけた手続き的記憶は、意識せずとも自動的に再生されることから、潜在記憶の一つとみなされている ・たくさんの情報を効率よく覚えるための記憶方略には、リハーサル、体制化、干渉の最小化、検索手がかりの活用などがある 目次1 記憶とは (1)記憶の働き (2)記憶のしくみ (3)ワーキングメモリ 2 記憶の内容 (1)手続き的記憶 (2)宣言的記憶 (3)スキーマとスク

          「記憶のしくみ:教育心理学」(『心理と教育へのいざない』)

          「学校教育」(『心理と教育へのいざない』)

          概要・近代学校教育制度の成立とともに、教育課程が整備され、教育方法が発展してきた ・教育行政と学校経営、教師研究、教育方法や授業研究、生涯学習と社会教育といった領域では、研究目的を達成する上で理論と実践の間を往来することが頻繁に行われる ・学校研究の大きな課題は理論と実践をどうつなぐかという問題である 目次1 学校教育の成立とその発展 (1)定型型教育としての学校の成立 (2)国民国家と学校教育の機能 (3)ポスト・モダン社会と学校の問い直し 2 組織としての学校と文化 (

          「学校教育」(『心理と教育へのいざない』)

          「教育と行政」(『心理と教育へのいざない』)

          概要・教育行政とは、政治(国会、地方議会)によって決定された教育政策(目的)を、法制度に基づき、教育行政機関(文部科学省、教育委員会等)や教育機関(学校等)とその執行実務に携わる(教育)官僚・教職員集団の管理・経営を通して実現する総体である ・教育行政研究(学)は、教育の政策、法・制度、管理・経営という3つの領域に分けられる 目次1  教育行政研究(学)の特徴と研究領域 (1)教育行政の定義と教育行政研究(学)の対象 (2)教育行政研究(学)の研究領域ー政策、法・制度、管

          「教育と行政」(『心理と教育へのいざない』)