映画「ガザの美容室」を見て
映画「ガザの美容室」を見た。
ガザは地名。
ガザは、地中海の西の沿岸、パレスチナ自治区のエジプト国境に近いところ。
隣国イスラエルから無差別攻撃を受けているTV報道もあるから、ガザという地名を聞いたことがあるかもしれない。
ガザはいま現在もハマスとイスラエルの衝突の主戦場だ。
そのガザにある美容室を舞台にした物語。
私たちはTV報道で無差別攻撃を受けるガザの現状を知ることが出来るが、戦場の肌身の感覚を感じ取ることは難しい。映画「ガザの美容室」は、私たちに戦場の肌身の感覚を伝えようとしている。ガザの戦場の有様を伝えるのは、この方法しかなかったという監督の覚悟が伝わってくる。
場面は女性店主とアシスタントと10人の女性客がいる小さな美容室。客それぞれの深刻なエピソードのやり取りや電波障害や停電。美容室の外は男たちが繰り広げる収まらない爆撃。息苦しいほどの室内劇だ。その息苦しさこそが、イスラエルに取り囲まれているパレスチナ自治区の閉塞感を表す。この閉塞感がガザの閉塞感そのものなのだろう。
2015年公開だが、現在の状況は、さらに悪化しているのではないか。ハマスは人質を解放せず、イスラエルはハマスへの攻撃を続け、パレスチナ自治区の壊滅が近づいているかのようだ。
パレスチナ問題の悲劇は、多民族との同化を諦めたユダヤ教徒がユダヤ教徒だけの国を作ろうというシオニズム運動を唱えパレスチナ人が住んでいる土地を強制的に奪うことから始まった。ユダヤ教徒はパレスチナ人から奪った土地にイスラエルという国を建国し、今なお土地の強奪は続いている。ハマスとイスラエルの戦闘も、過去のイスラエルの土地強奪事件の延長線上に起きていることを忘れてはならない。単なるハマスによる人質事件に対する報復ではない。とは言え過激なハマスの手法を手放しで賛同することは出来ない。「ガザの美容室」の女性の「私たちが争ったら、外の男たちと同じじゃない」の言葉は重い。女性たちはハマスも素直に受け入れていないのだ。
この映画によってガザの閉塞感を感じることでも、パレスチナ問題を考え始めるきっかけになればと思う。
映画「ガザの美容室」公式サイト
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