初夏の味覚を楽しむ、6月の一皿
今月は、6月のコースメニューの中から、イリゼスタッフの独創的なアイデアが込められたグリーンピースを取り入れた一皿と、鳥取県境港産の貴重なクロマグロを使用した一皿について、イリゼスタッフや生産者の方の想いをお伝えいたします。
―グリーンピースー
5月から6月にかけて旬を迎えるグリーンピースを使った一皿です。 スタッフは大地から力強く芽生える新芽をイメージし、この一品の構成を考案しました。グリーンピースと組み合わせたのは、同じく旬を迎える果実、すももです。 グリーンピースとすももを組み合わせることで意外性を演出し、料理に驚きをもたらします。緑豊かな風景を思わせるグリーンピースに、鮮やかなピンク色のすもものガスパチョを添えることで、視覚からも食欲を刺激する一皿に仕上げました。 グリーンピースはその独特の青臭さから苦手とする方も多い食材です。そこでスタッフはグリーンピースの青臭さを和らげ、全ての食材と調和させる工夫を凝らしました。食べ終えた後には口の中にほのかな甘さが残るように計算されて作られたこちらの一皿は、グリーンピースの新たな魅力を引き出しています。 また、イリゼでは「食材を無駄にしない」ということも大切にしており、料理に使用するすももの皮を煮出してソースの色付けに活用しています。 独創的なアイデアで驚きがありつつも、食材の全てを余すことなく大切に取り入れた一皿です。
―マグロー
続いては、日本一の水揚げ量を誇る鳥取県境港産のクロマグロを使用した一皿です。こちらのクロマグロは、毎年漁獲枠が設定されており、その制限に達すると漁が終了するため、貴重な食材とされています。一般的なマグロよりも赤身の味わいが深いのが特徴で、フランス料理でクロマグロを使用することは難しいとされています。しかしスタッフは、フランス料理としても美味しく食べられることをお客様に伝えたく、工夫を凝らしながら今回の料理を創作しました。 こちらの一皿に使用している醤油は、「片上醤油」と呼ばれ、奈良県産の貴重な大和大鉄砲大豆のみを用い、手間を惜しまず作られたものです。熟成には吉野杉の桶を使用し、まさに地産地消を実現しています。 イリゼのスタッフも、生産者の方々と共に醤油の種まきから収穫に至るまで参加しており、実際に扱う食材に触れることで、日々の料理づくりへのヒントを得ています。生産者の方々との関わりを大切に、地元の貴重な食材を組み合わせた一皿になっております。
今回は6月のコースメニューから、工夫が凝らされた季節の素材を取り入れた一皿と、生産者の方々とのつながりが感じられる、こだわりの食材を使用した一皿を取り上げてまいりました。 次回は、7月のコースメニューから2皿を取り上げ、お料理に込められた工夫や、食材への生産者の方々の想いをお伝えする予定ですので、どうぞお楽しみにしてくださいませ。