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【建築ツアーレポート】 松濤美術館 01

0.はじめに

2022年1月30日まで東京都渋谷区立松濤美術館で開催中の「白井晟一入門」展では、建物内部を解説付きで見学できる建築ツアーが催行されています。実際に参加してきましたので、概要とそのレポートを公開します。テキストによる解説ではありますが、ツアーに参加したような感覚を伝えられれば幸いです。

1.白井晟一と松濤美術館

白井晟一(しらいせいいち 1905-1983)は、昭和初期から後期まで住宅や公共建築を手がけた設計者です。建築の専門教育を受けずに設計活動を行なっており、建築に対する個性的な思想や表現で知られています。

松濤美術館(しょうとうびじゅつかん 1980-)は、瀟洒な住宅街である渋谷区松濤2丁目に建てられた渋谷区立の美術館です。地上2階、地下2階で中央に噴水を持つ吹き抜けがあり、曲線や曲面を多用した有機的な造形が特徴の建物となっています。

白井晟一の作品群の中での松濤美術館は、最も後期の作品の一つです。なお、平成25(2013)年におもに設備関連の更新のため改修工事が行われましたが、竣工当初からの意匠を極力維持するように配慮されているとのことです。

2.建築ツアー概要

約40分間のツアーは「白井晟一入門」展の担当学芸員の方が解説されるため、案内に従って館内を回るだけでも楽しめます。また、深い内容の質問に対しても密度の濃い回答を提示してもらえます。このあたりは、他の美術館などで一般的なボランティアが解説する建築ツアーとは一線を画しています。

なお、今回の「白井晟一入門」展での建築ツアーは、通常行われているものとは異なります。企画展の展示物がほとんどないため、建築空間そのものをより体験しやすい環境が用意されています。また、B1Fの第1展示室では作品展示用に設置されていた壁が撤去され、中央の吹き抜けまで視線が通る状態になっています。

館内に主に10か所ある「見どころポイント」で、立ち止まって解説が入ります。これは、館内で配布されるリーフレット(A3両面)の「推奨ルート」部分にも簡単な記載があるため、ツアーに参加しなくても、このリーフレットを参照しながら館内を巡ることで十分楽しめる工夫がされています。

推奨ルート


  1. 美術館正面(1F)

  2. エントランス(1F)

  3. ブリッジ(1F)

  4. 回廊(1F)

  5. ロビー(1F)

  6. 螺旋階段(大)(1F > B1F)

  7. 第1展示室[主陳列室]

  8. 螺旋階段(大)(B1F > B2F)

  9. 茶室(B2F) 

  10. エレベータ(B2F > 2F)

  11. 第2展示室[サロンミューぜ・特別展示室](2F)


※次回は実際の建築ツアーの参加レポートを掲載します。

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