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noteは足跡。
先輩との出会い
告知後間もない頃、私が最も欲しかった情報は「甲状腺がん経験者の声」でした。一般的な経過や治療についてではなく、経験したからこそ分かることを聴きたい。調べてもなかなか分からないような細かいことについて教えてほしい。そんな気持ちで甲状腺がん体験記を探していました。ところが、なかなか見つけられませんでした。経験者をなかなか見つけられないことが、孤独感を増強させました。
自分では見つけられなかったので大学の先生に相談してみると、なんと甲状腺がん経験者とつないでもらえました。医療福祉系の学部に通っていることが幸いしました。ひとりは連絡先を教えてもらい、もうひとりは直接会って話を聴くことができました。「Youtubeでも体験談は探せるよ!」と先生に教えてもらい、早速見てみました。紹介してもらったのは、がんノート。
動画を見ると、私はひとりじゃないと感じることができました。遠く離れた場所にいても、一度も会ったことがなくても。この世界のどこかに、私と同じように闘う人や甲状腺がんを経験した人がいる。それをはっきりと理解できたことで、気持ちが楽になりました。
「結」はどこなのか
私が甲状腺がん経験者に聞きたかったのは、術後の体調についてでした。就職に大きく関わるからです。どのくらいで体力が戻るのか、どの程度休職したのか。人それぞれなことを理解したうえで、知りたいと思っていました。体験記で取り上げられるのは告知から治療がある程度終了するまでで、復職まで細かく残されたものは少ないのではないかと感じています。起承転結でいうと、治療終了を「結」とする人が多いのでしょう。でも私にとって「結」は社会復帰、私の場合では就職です。手術の後、どうなるかについて聞ける人がいたのは、本当に幸せなことでした。
私の足跡を残したい
がん経験者が100人いたら闘病体験は100通りあります。同じ検査や治療を受けても、考えたり感じたりすることはひとりひとり違う。完璧に同じ経験は存在しません。だからこそ、経験者の声が貴重なのだと考えるようになりました。
就職直前に甲状腺がんが見つかって治療を受けることになった私だからできること、私にしか分からないことを伝えたい。私の後にがん患者になった人の役に立ちたい。私を支えてくれた先輩方のように、私も誰かの力になりたい。
そう思う一方、経験を書くことで「私ががんになったこと」に意味を持たせて自分を納得させようとしている部分もあります。病気になってからのことについて色々書いていますが、がんを受け入れられた訳ではありません。むしろ、受け入れられていない。まだまだ難しい部分があります。書くことは、私がもがいた時間を残すこと。noteは、私が苦しみながら闘ってきた証。がんになったことを、無かったことにしたくない。そんな気持ちもあります。
嬉しかったこともつらかったことも、全部私の足跡です。noteを続けていくために、発信しようと思った原点を振り返ってみました。私のために、誰かのために。今の私にできるのは、足跡を残すこと。