ひっくり返る愛のマーク
私には大好きな子がいる。私がこの子と初めて話したのは去年の10月28日だ。この日は何の日なんだろうと思って調べたら「空前のパンダブーム到来」の日らしい。最高過ぎないか?私達が出会った日からちょうど50年前に、パンダは中国から友好の印として日本に送られたらしい。ちなみに私はパンダが大好きだ。モノトーンだし、実は肉食なのに笹食ってるし、優しそうに見えるのに野生だと意外と凶暴だ。人間に合わせて優しいフリをしてくれてるのかななんて思ったりする。私はパンダについての知識が皆無だから、全部私の妄想かもしれないけど。
私達が大好きな軍艦という芸人がいる。出会いのきっかけもその軍艦の仁さんの「俺の描いたまるちゃんのタトゥーを入れたファンがおる。」というツイートだった。内心「おおっ!?」と思ったけど、海外バンドのタトゥーを入れたりする人を見てきた私にとって、「ああこの子にとって仁さんはめちゃくちゃ大事な存在なんだな、身体に入れて人生を共にしたいぐらいなんだな。」と思った。それと同時に、Britney Spearsが来日した際にブリちゃんに腕に書いてもらったサインをファンがタトゥーとして入れていたことを思い出して、「仁さんってブリちゃんなんやね。」とかなんとか私が呟いた気がする。そこから私達は知り合った。ありがとう仁さん。ちなみにその約7ヶ月後に、私も軍艦の宣材写真のタトゥーを腕に入れた。既に入っていた大好きな映画のセリフのタトゥーの横に入れてもらった。この映画と軍艦の2人は、去年私が人生のどん底にいたときに何度も何度も見たものだから、これからの人生でまた辛いことがあったときにも何度も見返せる位置に入れようと思った。今、私からよく見える利き手の右腕の位置にこの2つのタトゥーは入っている。
Twitterでしばらく話した後、私達はInstagramをフォローし合いたくさんDMをした。この子はめちゃくちゃ誤字が多い。私を励ましてくれたとき「のぞみさんは頑張っているんどすよ……。」みたいなメッセージをくれた。申し訳ないけどめちゃくちゃ笑ってしまった。なんやねんどすよって。女将が襖締めながら励ましてくれてるやん。そこまでホスピタリティある旅館、みんな行きたくなるやん。星野リゾートも顔負けやん。とかどうでもいい妄想が止まらなくなって、悩んでることなんかどうでもよくなってめちゃくちゃ元気が出た。あとしょっちゅう「のぞみはん」と送ってくれているから、これはこういう呼び方なのかな?と思ってたら普通に誤字らしい。誤字が全て京都弁なの、はんなりしすぎている。
知り合って約8ヶ月が経ち、ついに私達は直接会って遊ぶことになった。まじで楽しみでしょうがなかった。お母さんにも「まるちゃんのタトゥーの子がね!!大阪に来てくれる!!」とずっと言っていた。私は母親とハチャメチャに仲が悪い割に、自分の嬉しいこととか嫌なことは、全部ちびまる子ちゃんのまるちゃんが学校終わりに台所で報告する様に母親に逐一話してしまう。もう24歳にもなるのに、私の精神年齢は9歳で止まっているのか。大好きな軍艦のライブを2人で観に行く予定だったから、軍艦にも「来月一緒にライブ行くんです!」と報告した。「おーありがとう。」と2人は言ってくれた。まじで楽しみだった。
この子がおすすめしてくれた曲のプレイリストを作って、嫌なことがある度にそのプレイリストを聴いて「あと◯◯日で会えるから。」と思い自分を励ました。私は人から勧められた音楽はあまり聴かないけれど、この子がおすすめしてくれた音楽ならいくらでも聴けた。この子が好きな曲は、私も全部好きになれた。
かつての同居人にもこの子のことを話していた。同居人も私がすごく楽しみにしているのを知っていた。それなのに前日同居人と大喧嘩した。喧嘩が増えてきたから改善する為に話し合おうとしたが、話し合いにもならない上になかなか寝させてくれなかった。時計はもう午前2時を過ぎていたし、正直めちゃくちゃ寝たかった。「こういうところ治してほしい。」と言っても「いや俺悪くないもーん。」の調子で朝までいきそうだった。私はついに爆発して、「大好きな子に会うって前から言うてたやんな?!それをあんたは知ってるのに、その子に会う為に私は完璧に準備せなあかんのに、なんでこんな意味の無い話に付き合わされやなあかんねん!」とヒステリックに泣き叫んで言った。そうすると普段の彼からは信じられない様な言葉と行動が返ってきた。大好きな子は関東から新幹線に乗って大阪に来てくれるのに、私はもう耐えきれなくなって、会う約束をしている当日の朝4時頃にこの子に電話をかけてしまった。初めての電話が同居人との喧嘩の相談なんて情けないし、電話の向こうで鳥がチュンチュン鳴いてるのが聞こえるぐらいめちゃくちゃ非常識な時間だしで、まじで申し訳なかった。初めての会話はもっと楽しい話をしたかった。「軍艦のネタで何が好き?私はやっぱり鬱ハムかな〜でも富士山のやつもキャッチのやつもカニのやつも好きかも、まあ結局全部おもろいんよな。」とか、そんな話がしたかった。初めて電話越しに聴いたその子の声はとても優しくて、うんうん話を聴いてくれて、私の気分も落ち着いた。軍艦の話を少しして、楽しみだね、もうすぐ会えるねと言って電話を切った。
色々あったけど支度をして当日この子に会うために待ち合わせ場所に向かった。前日私に「俺が見てきた人間の中で1番ブス。」と言い放った元同居人は、大好きな子に会うためにバチバチにキメた私に向かって「可愛いよ。」と言ってくれた。もう正直しんどかったので、軽く「ありがと!」と返して家を出た。そしてこの日私は有り得んぐらい遅刻してしまった。まじでほんとに申し訳なかった。
私達2人が大好きな金属バット友保さんが愛するインド料理屋に行ったり、私が大好きで約4年通っているシーシャ屋に行ったりした。その後2人で私達が大好きな軍艦と金属バットが出ているライブを観た。まじで楽し過ぎたし、その日のコーナーは奇跡的に軍艦をフューチャーしたコーナーだった。コーナーの中の仁さんの言葉が美しくて、しかもそれを大好きな子と観れてるんだとか、色々考えたらもう嬉しくて泣いてしまった。本来笑う場所であるマンゲキで泣くやつ、我ながら怖すぎる。
終演後まさかの金属バットの友保さんに会えた。「と、ともやす!?」となった。マンゲキに何度も行っているけど、生で友保さんと話せたのは初めてだった。友保さんは多分急いでたんだろうけど、お話してくれて、写真も撮ってくれて、めちゃくちゃいい人だった。友保さん、あの日はご迷惑だったらすみません。めちゃくちゃ嬉しかったです。ありがとうございます。初めて友保さんに会えたのが、大好きな子と初めて会った日と同じなんて、まじでめっちゃ良ない?過ぎるだろ。
私達が大好きな軍艦にも会った。私はまじで軍艦が好き過ぎるあまり、彼らを前にするともう緊張して全然話せなくなる。そんな自分が彼らにどう見えてるかわからないし、大好きなこの子に「絶対痛ファンって思われてると思うんよ。迷惑やったらどうしよう……。」と相談した。この子は「のぞみさんの軍艦に対する気持ちって、リアコとかじゃなくて尊敬とかだから、すごい嬉しいって2人はきっと思ってくれてるよ。」と言ってくれた。そうかな、そうだったら嬉しい。まじで私は軍艦が大好きです。
その後嬉しすぎて割と大声でスピッツなんか歌ったりしてじゃんぼ酒場に行った。その道中でめちゃくちゃ仁さんに遭遇した。その度嬉しくて私は膝から崩れ落ちる等の奇怪な行動を取ってしまった。怪しすぎる。私みたいな奴が某掲示板で吊るし上げられてるんだろうかと思うし、もう怖いから私は最近掲示板を見ていない。私と会う前にこの子は「私あんまり人と目を見て話せない、ごめんね。」と言ってくれていた。でもじゃんぼ酒場で唐揚げを一緒に食べているときはめちゃくちゃ私の目を見て話してくれていた気がする。それが私はめちゃめちゃ嬉しかった。
じゃんぼ酒場でこの子から誕生日プレゼントを貰った。可愛い虎のタンクトップと手紙が入っていた。手紙を読んだらボロボロ泣いてしまった。この手紙、いつでも見返せるように写真を撮って携帯に保存してある。やっぱりいつ見ても泣いてしまう。目薬さすより目が潤う。
次の日も2人で軍艦がYouTubeで行っていたインド料理屋に行ったり、ともこ弓さんがインスタのストーリーに同期と行ったのを投稿していた心斎橋PARCOにあるどんぐり共和国に行くなどして、私たちが大好きな芸人の聖地巡礼ツアーをした。2人で歩いた大阪はいつもの大阪じゃないみたいだった。難波なんかしょっちゅう行くから私にとっては全てが当たり前の景色なのに、見慣れた光景がまるで私も観光に来たのかと思うぐらい新鮮だった。
この子と会った2日間が、今のところ私の中では今年の幸せの絶頂だった。その後私は無職になったり、同居人とのルームシェアを解消したり、実家に戻ったけど母親との不仲が悪化しLINEでしか会話できなくなったりと散々な日々を送っている。
ルームシェアを解消する前、1番辛かった日に外出したときにこの子に貰った虎のタンクトップを着た。少しだけ元気が出た。元気が出たからその日は元同居人に宛てた手紙を書いた。一瞬捨てられたかもと思ったあの手紙は、結局は今も彼の家の本棚に大事に飾られている。でも彼は割とすぐ物を捨てるので、もうすぐあの手紙も捨てられるのかなと思うと、正直不安で怖くなる。
私達が過ごした2日間はまじで最高の2日間だった。不謹慎だけど「今日死んだら楽しいまま一生が終わるのにな。」と思った。これからまたどうせ嫌なことがいっぱいあるとわかっていたし、その連続にもうこれ以上耐えられないと思った。でも私が大好きな子は「のぞみさん、生きてたらね、こういうもうこれ以上楽しい日がない!て思うことがあと何回もあるよ。だから大丈夫だよ。」と言ってくれた。今めちゃめちゃしんどいし、正直死にたいとたまに思ってしまうけれど、あの日みたいな最高な2日間がまた来ると思ったら死ぬに死ねない。
仕事も失って、持病も悪化して、今はほとんど外に出られずほぼ寝たきりの日々なので、漫画でも読もうと思って図書館でこの子が大好きなちびまる子ちゃんを4冊借りてきた。結局まだ読めてないけど、返却日は8月2日だったから、それまでには読めていたらいいなと思う。返却日までに私の人生も少しはよくなっていたいと願うし、その為にこれから色々行動するつもりだ。出身地も育った環境も年齢も違う私達だけれど、何となく似ている部分がたくさんあって嬉しい。私達が出会う50年前にパンダが対をなして日本に来たぐらいだから、きっと私達はなんか繋がってるんだろう。こんなこと言ったらキモイかな、ごめんね。私あなたが大好きだよ、また会おうね!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?