「#マンガ感想文」マンガ「約束のネバーランド」ネタバレなしで魅力を伝えるぞ
「約束のネバーランド」さー褒めまくるぞー!
一言で言おう。
無理ゲー脱出マンガである。
無理ゲーなのです。
主人公たちの置かれている状況が。
どーひっくり返っても無理じゃね?
読書にそう思わせる状況を作っていくのが物凄く秀逸なのだ。
そんじょそこらの無理ゲー感ではない。
アリ地獄に捕まったミジンコ。
アナコンダに睨まれたダンゴムシ。
みたいな絶望感。
その絶望感をトコトンまでに演出し、無理ゲー中の無理ゲーからのーーカタルシス。
そりゃードーパミン ドバドバ出まくりますわー。
カタルシスは読者を世界の中に引き摺り込む強力な魔力を持っている。
快感や多幸感を感じるドーパミンはその瞬間に大量に放出されるのだ。
このマンガの設計者はドーパミンを射出させるにはどうしたらいいか!?
から逆算して物語を組み立てているようにさえ思える。
そのくらいロジカルで、細いながらも決して折れない丈夫な一本筋を感じるのだ。
八方塞がり状況に置かれた時の知恵と勇気。
難題を克服していくたびのドバドバ。
しかもそれは雪崩のように次から次へと襲ってくる。
物理的にも精神的にも圧倒的な包囲網が敷かれ、読んでいる読者さえも絶望感を禁じ得ない状況。
とは言え、ねー。少年誌だしー。
ハッピーな方に進むんでしょ?
なんて思って読み進めても幾重にも折り重なるような包囲網が敷かれていき、あー。これはもう無理だなー。
と私も思わされた。
この無理だなー。
と思わせることが如何に難しいか。少年誌で友情努力勝利が頭に染み付いている人間から「あ、無理やん。オワタ」と思わせるまでのロジックの組み立てが素晴らしいのだ。
そしてまた、主人公達が年端もいかない子供達だからこそ、困難さとのギャップが際立つ。
少年マンガでありながら、その似つかわしくない世界観で少年ジャンプに風穴を開けたマンガと言えるだろう。
ある意味で少年漫画誌のターニングポイントとなるような物語。
そんな風にも感じることができた。
ドス黒い世界観に浸り、キャラクター達と絶望感を共有しながらのめり込むように楽しめる極上のエンタメに仕上がっている。
まだ完結していないが、急速に世界を広げている物語の続きを楽しみに待ちたい。
兎にも角にも「約束のネバーランド」激賞に値するマンガである。