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往診系ウクレレyoutuber

激動の2020年も師走に入ってしまった

子どもの在宅医として小児がんの専門医として
たくさんの医療的ケア児に加えておうちに帰って家族と過ごすことを選んだ小児がんの子どもと家族に関わらせてもらっている

自粛期間はおうちで療養する子どもと家族にとても残酷だった
ささやかな楽しみや夢を叶えるチャンスが奪われたから
おうちにお邪魔する一医療者として、その無力感の日々の中で
なにかできないものだろうかと考えてきた

ひとのせい、社会のせい、コロナのせい、それを一緒に嘆いて悲しむことは簡単だけどそれはとてもつまらない
どうにか笑顔を、エンタメを届けることはできないだろうか、と考えていた

その頃在宅医の先輩があるとき唐突に
「うたえば?」といった
最初は、何いってんだか、と思った
でもそのことばは実はぼくに刺さっていた

いろいろあったけどそこは省略する

ある日、毎週往診にいっていた子どものおうちに
我が家で放置されつつあったウクレレを持っていってみた
ちなみにウクレレを購入したのは自粛期間が終わるころで
ぼくは楽器弾けないし楽譜も読めないってことを申し添える

真面目に診察して、点滴替えて、お話して
そして勇気を振り絞って言ってみた

「ちょっと今日歌って帰っていいですか?」

戸惑う家族、そりゃそうだ

「はい、ぜひ」

でもすでに笑ってくれている

結果そこにはささやかだけどあったかい笑顔があった

それからぼくはときどきyoutubeで曲を仕入れながら
ウクレレ片手に往診するようになった

そしていまや小児がんの子どもたちだけでなくて
喜んでくれそうなおうちでは勝手に歌ったりしている
みんな大笑いしてくれてときどき泣いちゃうひともいて
またやってくださいと言ってくれる

我ながらそりゃオモロイよと思う
さっきまで真面目な顔して話してたお医者さんが
たどたどしくウクレレ弾きながら
下手くそな歌を一生懸命うたうんだから
オモロくないわけがない笑

初めてウクレレうたった子のお母さんが
「先生は往診系ウクレレyoutuberですね」
と命名してくれた
(実際は限定リンクでしか動画はあげていないけど)
その子のおうちでは毎週歌ってみんなで笑って
みんながぼくの成長を楽しんでくれた

次はもっと上手に弾けるようにせんせいがんばるね
がんばれじゃなくて がんばるね またきいてね
そう言えること
それがとってもうれしいことだってことを知った
おおげさでおこがましい気もするけど
自分が 希望 というもののかけらに
なれたのかなと思えた

彼らの日常のなかにものすごい小さいけど
一瞬でも明るくてあったかい光を灯せること
それはもしかしたらディズニーランドや旅行みたいな
そんなでっかいセレブレーション、非日常よりも
あったかくておおきなエンタメになるときだってある
今はそう思っている

だいぶはやいクリスマスをお届けします🧑‍🎄