心ときめくお買い物体験とすこやかな消費
先日、ひさしぶりに心が弾むお買い物体験をした。
初めてInstagramで見つけたときから、その色使いに惹かれてずっと気になっていたブランドのPOPUPに行く機会があったのだ。
目の前に広がるブランドの世界観は、それだけで胸が高鳴った。けれど、実際に製品に触れた瞬間、その心地よい肌触りに驚いた。
写真ではディールの表現は難しい。それは私が写真を撮る立場だからこそ、とても感じる。気になる製品の色味を実際に確認できれば、という軽い気持ちで訪れたが、その触り心地にすっかり虜になってしまった。
また、スタッフのお姉さんのほどよい距離感が心地よかった。
商品を眺めていると「よければ試着してみてくださいね」と優しく声をかけてくれ、合わせ方や特徴もさりげなく教えてくれる。もちろん、こうした接客はどこのショップでもあるが、その日感じた距離感は私の中で絶妙だった。
販売員の雰囲気が購入を後押ししたということも過去には何度もある。ブランド愛に満ち溢れながらも押し付けがましさはない。長く居ても焦らせるわけでもない。それがよかった。
お目当ての商品の購入を決めてからも、画面越しで見ているブランドの世界観そのものな空間を充分に堪能できた。一緒に行ったパートナーはあまりよく知らないながらも、新商品を気に入って購入を決意していた。私と同様に肌触りやスタッフの雰囲気に惹かれたようだ。
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今はオンラインでの買い物が主流になってきていて、実物を見なくても簡単に商品を手に入れることができるようになった。もしかすると、商品画像をみて「なんかいいな」と思ったら即座にカートに入れ、そのまま決済するような買い物をしている人も少なくないはず。
確かに、日用品などどこで購入しても同じ商品は十分だ。重いものはむしろ有難い。だけど、服や家具などサイズやディテールも重視したいものは、私は実物を見ずに買うのは避けたいと思っている。
どれだけ美しい画像で雰囲気があって魅力的に見えたとしても、「思っていたものと違った」とがっかりすることや質がいまひとつだったという経験は珍しくない。
「ハズレ」を引かないようにレビューをチェックしたとしても、自分の感性にびびっと刺さるものかは正直微妙だな、と思ってしまう。
喉から手が出るほどほしいと感じていたものでも、購入までの風船のように膨らんだ期待は、開封してしまうと急激に萎んでしまうこともある。余程、良いものでなければ購入直後の高揚感はいつしか薄れてしまい、数か月もすると、また別のものに心を奪われてる自分がいる。
店舗で購入するというのは「ものを手に入れる」という行為だけでない。店員さんとのやりとりやお店の雰囲気を楽しむひとときも含まれている。
先日、私が経験したような空間や手に取ったときの肌触りや心の動きなどは、画面越しでは決して味わうことができない。特に思いが詰まっているブランドはその空間に訪れてこそ感じる魅力があるだろう。
自分の目で見て、手で触れて、「これだ」と思う瞬間は胸がときめく。その胸の高鳴りや、お店の方とのやりとりでアイテムのストーリーや新たな視点を知るのも「物を買う」という時間がより豊かになる。
そんな体験を通して手に入れたものは、帰ってからも特別感が続く。目にするたび、初めて出会ったときの高揚感が思い出される。
買い物は「ものを手に入れる」だけでなく、その背景にある手の中に収まるような私だけの物語も持ち帰ることなんだと思う。
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物質的にはとても豊かになった現代で、それでも人が物を買う理由が「足りない」という感情だけではとても寂しいなと思う。
もし、心が満たされるような体験を買い物から得られたら、「足りない」という気持ちに終止符が打たれ、もっと今あるものを愛せるのではないだろうか。
大量生産・大量消費の世の中でなく、すこやかな消費を選ぶ人がもっと増えたらな。そんな輪が広がったらいいな。
私の夢がまたひとつ湧き上がった体験だった。
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愛おしい日々のキロク
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心地よい暮らしのつくり方
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