先輩の結婚式で相撲とった話
2023年6月は先輩の結婚式で相撲をとったのでそこを振り返りたい。
前半まで続いていた日記は6月10日に途絶えてしまい、今こうして6月のことを書いているのは7月25日である。本当にこの継続力のないことをどうにかしたい。何か良い方法があればぜひ教えてほしい。生活リズムが良くなく、たまに2日間寝ずに遊び続けるということもあるので、そう言ったタイミングでどうしても日記が溜まってしまうことが一つの原因だと考えている。良い方法を模索しているがまだ見つけられていない。
また日記にチャレンジしていきたい。
6月は1日に財布を失くし、その翌日に野毛で飲み記憶をなくし、始発に乗って茅ヶ崎に帰ったはずなのに目を覚ますと宇都宮で目を覚ましたところからスタートした6月だが、本当に素敵な月となった。冒頭にある通り、先輩の結婚式で相撲をとった。NETFLIXで話題の『サンクチュアリ』の流行りに乗ったようなダサいものではない。
その先輩は大学時代からお世話になっていて、学生時代にバックパックを背負い、東南アジアを2度ほど周遊した。先日、アメリカメキシコと旅をしてきた私であるが、海外バックパッカーの原点旅は間違いなくこの先輩との東南アジア旅だった。バイタリティに溢れ、激しく魂を燃やす先輩の姿に心を打たれたこともあり、呆れたこともあり、怒ったこともある。
2人で約1ヶ月ほどの旅をすると、良くも悪くもその人の影響を大いに受けることになる。その当時の思い出を少し振り返りたい。東南アジアというバックパッカーとしては割とイージーなものだったが、それはそれは刺激的でワクワクするものだった。そのワクワクの対象が私と先輩で分かれてしまっていたことがこの怒りの原因だったように思う。(役割分担や気にするポイントが違かったのも大きい。)
先輩は食事に対する興味関心がものすごく、私は現地人の考え方や生活、モノに興味関心があった。例えば道を歩いていて、屋台が立ち並んでいるのだが、先輩は一つ一つ隈なく目の前を陣取り、どんな食べ物なのか、材料は何か、どんな作り方をするのか、いくらなのか、各屋台一つ一つ確認をする。その上でついさっきの屋台で食べたばかりでお腹一杯なのにも関わらず、「お腹すいてないけど、初めてみたし、気になるから買うか。お前もほしいっしょ?」と言ってくる。それもすべての屋台で。
人はNOと立て続けに言われると、その人は自分のこと全てを否定してくるように思ってしまうのだろう。途中から、「なんで食べないの?せっかく来たのに、日本に戻ったらこんなローカル料理食べられないぞ」等と言ってくる。そりゃもちろんわかっている。わかっているが、今はいらないのである。数メートル前の屋台でたらふく食べたのだから。それより屋台4軒ほどみてるけど、さっき食べたところからまだ数メートルしか進んでないっすよ。先に行きましょう といった感じである。
私は私で、お土産屋や現地の人が何に興味があるのかが気になる。客引きがどんな言葉を持って私の興味をひこうとするのか、どんな商品をお勧めしてくるのか、買う気がないのにやりとりを長引かせてしまう。お土産屋の細かな職人技を見るために一つ一つ手にとり、じっくりといろんな角度から楽しむ。一つ一つ手作りのために風合いが違っていたりする。それを見ていると、「これは竹で、こっちは〇〇からできている」「この色もあるぞ」と色々と出てくる。「どこから来たんだ」という問いに日本だというと「オートモダチー!メニーメニーニホンジントモダチ!」とニホンジントモダチ安心感作戦を決行されたりする。
先輩の顔を見ると、もうこの店には飽きていて、すぐ横のローカル飯屋台が気になっている様子。
こういった小さなすれ違いにより、旅に出て2日目か3日目くらいから口数が減って逝ったのを覚えている。今となっては良い思い出であり、とても良い教訓として私の中に残っている。『旅は自分のペースでするべきだ』ということである。
前置きが長くなったが、そんな先輩とは大学を出て、東京に就職した後もよく遊んでいた。渋谷や六本木で酒を浴びるように飲み、相撲をとった。私の記憶が正しければ全線全勝だったはずだ。体格差、運動神経、センス、何をとっても相撲において負ける要素がない。
『サンクチュアリ』で私が一ノ瀬ワタルだとした先輩は染谷将太である。
そんな染谷先輩が結婚をし、立派な結婚式を挙げた。前日にLINEで、二次会でこれを着てもらうからと届いた画像には相撲セットという回しが写っていた。
当日の式中には新婦の紹介ムービーが流れ、相撲が好きだということがわかった。なぜ先輩がそこまで相撲にこだわるのか、そこで合点が入った。新婦の好きな決め手は「けたぐり」だと言っていた。
二次会が始まり、暖かい雰囲気の中、染谷先輩はベロっベロに酔っ払っていた。
テキーラの入ったショットグラスが数十個乗っているお盆を持ちながら、軽快な音楽に合わせ思いっきり体を前後左右に振って、ほとんどのグラスが倒れていた。
厨房の方で例の画像で送られていた相撲セットがあった。さっきまでベロベロだったはずの先輩はパッキパキの目を真っ直ぐこちらに向けて、「よろしくな!」と言ってきていた。お互いの回しを結び合い、いよいよ入場の時が来る。
会場では六本木の夜の街で相撲をとり先輩を投げ飛ばした動画が流れている。
まずは私の入場。入場曲はMykko Montanaの『Do It』だ。
続いて千歩愛はDiddyの『Bad boy for life』で入場してくる。
四股をを踏み、静寂の時に耳を澄ます。先輩の目はパキッたまま、私とは目が合っていない。「ハッケヨーイ ノコッタ!」と同時に先輩が突っ込んでくる。
先輩の力をそのまま利用した形で私はくるりと体をかわしながら、足をかけ、先輩の上体を思いっきりぶん投げる。ふわりと軽くなった先輩の体は見事に飛んでいく。勝負あり。
新婦の好きな決め手「けたぐり」での一本である。
あいにく主役に花を持たせるといったことは私にはできない。ここまで全身全霊でぶつかってきた先輩だからこその恩返しである。感謝の握手と共にテキーラが出てくる。乾杯をしているといつの間にか、もう一回の流れになっていた。新婦から気合いを注入された2回目。同時に倒れ込みドローとなる。さらにテキーラを乾杯し、新婦から気合を注入された先輩は明らかに強くなっていた。地面からの力をしっかりと腰を基点として構え、上体はぶれず、軽やかに技を繰り出してくる。私が最後に見た景色はお店の天井だった。
そんなこんなで最高な結婚式だった。
最後に先輩の新婦への愛を歌ったラップで締めくくりたいモノだがYouTubeにあるかわからないので、またの機会にしたい。
おめでとうアビさん乾杯!
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