敷地から読みとくべし!
陽気な人、慎重な人、やさしい人、厳格な人。
人にも個性があるように建物を建てようとする土地や周辺環境にも個性があります。そこに根付いた歴史的な価値があるかもしれません。機械的・物理的に地盤が特有だったりするかもしれません。日中日陰ができてしまうけれど風光明媚な場所なのかもしれません。
何がよくて何が悪いのか。一長一短で判断も人それぞれ。もうそれは「気が合う」とか「惚れてまうやろ」とかの判断になるのかもしれません。山の緑を心地よく思う人もいれば、忌み嫌う人がいたり、町中の喧騒や下町の人情を懐かしく感じる人もいればうとましく感じる人も。 朝日が好きな人もいれば、夕日が好きな人がいたりして。
個人的な好きな場所を押し付けるわけにもいかないですし。
たまに、間取りを見せられて「これ、どう思います?」と聞かれることがあります。しかし、平面図だけの情報では、「何もわからない」というのが正直なところです。わかるのは構造的なことくらいでしょうか。実際、その場所に行って周辺状況から、どんな生活ができるのか?とか、道路はどっちにあって、車や人通りはどうなのか?とか風はどっちから吹いてきて日差しはどのあたりにどう落ちるのか?一番気持ちのいい場所はどこなのか?じゃ、そこで何をして過ごすのか?など、敷地を見ないと判断できないのです。実際、間取りはよくできていても、お隣さんのお風呂の窓がリビングに面していた、とかなるとお互い気まずいですよね。(のっぴきならない仲ならそれもまたいいのかもしれませんが。)
それに、法規的なところも、敷地と関係が深いので、合法なのか判断つきにくい部分が多くあります。
なので、やはり計画をするにあたっては敷地をベースに建物を考えるのがベストなのです。
設計するにあたって、設計士は、イヤ私だけかもしれませんが「癖が強い!」敷地が好物です。挑みがいがあるってもんです!
造成された敷地は、比較的簡単に設計できてしまいます。建物を建てることを想定して造成していますし当然、法的なこともクリアできています。でも、ちょっと物足りない(笑)
きっとその土地の「癖」がなくなっているからなのかもしれません。当然、歴史的なことも踏みにじってしまっている気もしてしまい、なんだか少しもったいないなー、なんて思ってしますのです。
「癖の強い」敷地は値段も安いものです。
その分、手続きが二重三重にかかってしまったとしてもその土地の良さを見つけ出し最大限引き出してあげないと!、などと思っているのです。
人間だって、短所ばかり見て否定するよりいいところを見つけて引き出すほうが魅力を発揮できるものだと、私は信じています。うん。
最近、多くの人が均一化されていて、何か起こると一変にヒステリックになっている気がしています。
「癖が強い」他者を受け入れる度量が人にも建物にもあっていいと。
いや、そうあるほうが世の中面白いと、そんなことをお伝えして締めくくりたいと思います。(おちが見つからなかった(笑))