高田賢三回顧展の話
しとしと雨が降る中、十数年ぶり?!に足を踏み入れた文化。
高田賢三回顧展
私が高田賢三さんを最後にお見かけしたのは、3年前にとある講演で講師をされていたとき。
70年代に単身パリへ船で(!)渡ったことや、ブティックの壁に自分でペイントしたこと、生地が手に入らなくて和服の反物を使って洋服を作ったことなど…ニコニコしながらとても楽しそうに話していたことを思い出す。
あの時は亡くなってしまうなんて思いもしなかった、というか今もまだ信じられないんだけど…
そんなことを思い出しながら観ていたから、今回の展示はかなりグッとくるものがあった。
ごく一部の人にしか凄さがわからない緻密なパターンや繊細な手仕事ではなく(まぁ実際には職人の技が集結されたものだとは思うけど)、専門的な知識の無い人でも一目見てわぁ!っと気分が高揚するような、誰もが一発で楽しくなるような洋服たちばかり。
日本人がまだ世界のファッション界で活躍していなかった70年代パリに渡り、日本人の世界進出の礎を築いたこと。当時は無地がトレンドで、花柄と言えば小花柄の生地しかなくて大柄の花柄の生地を探すのに苦労したこと。
マリクレールの編集長に「色彩の魔術師」と称されたこと。
この柄の合わせ方や色彩感覚、東洋と西洋、さまざまな国のフォークロアの絶妙なMIX感覚は船旅の途中で立ち寄った国々からインスピレーションを受けて作られたもの。見ているだけで、イッツアスモールワールドみたいな、世界一周したような気持ちになった!
装苑やハイファッションの掲載ページもたくさん展示されていて、さすがの文化出版!
(初期の装苑賞はオーバーコートとかサマードレスとかの課題があったのね。)
洗濯機をイメージしたトンチキな服もびっくりしたけど…
(ちょいちょい出てくるコシノジュンコの存在感よ…)
一家に一枚はあるであろう(?)KENZOの花柄のハンカチを床に敷き詰めたスペース、かわいかったなぁ。
賢三さんの作る服はとにかくハッピーに溢れていた。
ショーをお祭りみたいにしちゃうのとか、モデルもすごく自由で楽しそうで。
色々難しく考えがちな最近だけど、やっぱりファッションには夢があるよ。
だから私は服が好き。そんなふうに思えた展示だった。たくさんの人に、こんな日本人がいたんだということを知って誇りに思ってほしい。
期間は27日まで!