「今」と伝統と
母のかたみの着物は
小紋、大島紬、ウールの3着あります。
どれもサイズが小さいですが、何とか着れる範囲。
着物は、多少のサイズ違いは着方でカバーできてしまいます。
。。。よくできていますね。
ですが、そでの長さだけはどうにもなりません。
身長のわりには腕が長い私は、ここ(裄と言われる部分)だけは、サイズ直しが必要です。
それで、大島紬と小紋を仕立て屋さんに出しました。
ウールのものは普段着で、上から割烹着で覆ってしまうことも多いので、そのままで。
先日、小紋の方が出来上がってきました。
あずき色に、一面の細かいお花模様。私が着るには少し勇気がいります。
去年結婚したばかりの姪が「欲しい」と言ったら譲ったのですが、そうは言わなかったので、
私はこれを、自分で着ようと思います。
お洋服だったら絶対に無理なこの色・柄。
さて、どんな帯や羽織、髪飾りを合わせようか、、、
そんな「いい年をした乙女心」で頭がいっぱいの私です。
アンティークの花柄着物の上に、ぜんぜん違う花柄羽織を・・・
あるいは、今の時代のニットやカットソーと合わせる、
という今風の着方は、ゾクゾクするほど素敵に見えます。
ですが私が自分で着たいものとは、方向性が異なります。
「そういうものを着たくない」というのではありません。「素敵だけれど、自分には似合わないと思う」ということなのです。
自分には無理だと思う、今風の現代的な着物を着ている方々に拍手を送りつつ、
自分の着物の着方を模索していこうと思います。
「自分はこうする」を主軸に置いて「それ以外の範囲」としてまわりに置いておく。
そうやって自分の世界、すなわち新しい世界を作っていきます。
私は家の中で着るのならともかく、
外に着て行くときは「今までこうだったから、こうするべき」と言われる最低ラインは守りたいという思いが自分の中にあります。
ですがよく考えてみると、そういうことに厳しい目を持っている友人も身内もおらず、
身内の家やや女子会に着て行けば
「着物?!」と珍しがられる、というレベル。
なので、結局は「あるもののなかで好きなものを適当に着る」になるような気がしています。
自分サイズに直した小紋、これに合わせる帯が、母のかたみの中にはありません。
それで、帯は自分で買おうと思っているのですが、
選べば選ぶほど、アンティーク・古典柄・日本伝統の文様が含まれているものに目が行き、
現代的なものを選ぶ気がしません。
古くから残っているものには、それだけの価値がある。
だからこそ、残っている。
ときには一人で伝統文様に向かい、心静かにじっと見つめてみる
それだけの価値がある。
・・・のだと、
心に浮かぶままに、書いておきます。