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【入門SaaS KPI】意味はわかった…でもどう使うの?
本記事は2023年6月にPrimary(前企業データが使えるノート)企画・編集・監修、Primaryコンテンツパートナーのいちのせさんが執筆を行ったコンテンツの再掲となります。noteの仕様上、Primaryメンバーシップの方がこちらの記事を閲覧できないため、改めて掲載をします。
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はじめまして、スタートアップコンテンツプロデューサーのいちのせれいです。
スタートアップ関連のお仕事の中でSaaS企業を取材することが多くなるにつれ、日々、分からない単語と格闘しています。
特に、ARR、チャーン、MRR、LTV、、、これらはどうやら「SaaS KPI」と呼ばれているらしい。
SaaSで使われる用語はいくつもあって、それぞれの意味はググればわかります。でも、その言葉がビジネス上で何を示すのか、どんな意味が含まれるのか、どれぐらい重要なのか。
こんな”ニュアンス”を捉えるためにはネット上の情報だけでは難しい。
時間をかけて実践を重ねないと理解できないのでは…?
こんなモヤモヤを抱えていたタイミングで、国内唯一のSaaS企業分析特化メディア「企業データが使えるノート」を運営する早船さんと出会い、SaaS KPIのリアルを根掘り葉掘り聞く機会がありました。
「これをコンテンツ化すればこれからSaaS企業に入社する人に役に立つ記事になるのでは!?」
そんなアイディアから「新入社員・転職者に向けたSaaS入門」を企業データが使えるノートマガジン完全監修のもと、月1本程度のペースで作成していくこととなりました。
ライターとして記事を担当するなかで「SaaSは美しい」という言葉に出会いました。いわく、企業の文化がプロダクトに、サービス全体に反映される点が美しいんだそうです。
ユーザーが求める価値を提供し、日々のフィードバックをプロダクトに反映させる。その結果として対価を得るSaaSには、たしかにビジネスモデルとしての美しさを感じます。
私はこれまで10年間、美容・ヘルスケア系のEC業界にいましたが、ビジネスモデルに「美しさ」を感じたことはありませんでした。元々、組織のあり方に興味がある私。組織のあり方が顕著に反映されるSaaSの姿に、気づけばすっかり魅了されてしまいました。
これをお読みいただいている方はSaaSのどこに魅力を感じていますか?
SaaS初心者の皆様、一緒に、SaaSについて学びを深める仲間になってくださると嬉しいです。
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SaaSマスターになるべく、初回は、分かるようで分からない、SaaS KPIについてお届けします。
ARR100億は何がすごい?ARRはSaaSの今と未来の収益なんだ!!
いちのせ:先日、企業データが使えるノートで「SmartHR ARR100億円突破」という記事を目にしました。100億という規模が偉業であることはわかるのですが、ちゃんと捉えられている自信がありません。
今後こういったニュースを見たときに、意見が持てるようになりたいので教えてください。
早船:まずはARRの意味を基本から捉えていきましょう。
通常、SaaSは毎月新たな契約が発生していくため、MRR(Monthly Recurring Revenue)と呼ばれるサブスクリプションサービスを契約している顧客の月次売上高をベースにビジネス目標を管理しています。
ARRはAnnual Recurring Revenueの略ですので、「サブスクリプションサービスを契約している顧客から一年間に得られる収益」を指し、MRR×12ヶ月がARRとなります。
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SaaS企業を評価する上で最も基本的な指標と言えます。
いちのせ:だからSmartHRのニュースに限らず、SaaS企業のニュースやプレスリリースで目にする機会が多いのですね。
早船:上場企業であってもARRを開示する義務は特にありませんが、投資家も重視する指標であるため、四半期ごとの決算に公表する企業が多いです。未上場のSaaSスタートアップでも順調な成長を示すために自主的に開示を行うケースもあります。
いちのせ:うーん、ARRではなく、「売上」で規模を示さないのはなぜですか?
早船:それは、ARRにこそSaaSビジネスの魅力があるからです。
SaaSを提供する上ではサブスクリプション型の料金設定を行う企業が大半を占めます。この形態は「将来の収益予測」を見込みやすい特徴があります。
たとえば、Netflixのベーシックプランは月額990円です。仮にこのプランしか存在せず、100万人が契約している場合、ARRは円換算で「990円✕100万人✕12ヶ月= 118億8000万円」となります。
* NetflixはいわゆるSaaSではありませんが、サブスクリプションサービスの例として挙げます
Netflixが1億人を熱狂させるようなコンテンツを毎年作り続けられれば、解約は発生せず、毎年118億8000万円の収入が発生し続けることになります。
何かしらの営業活動を行わなくても毎年チャリンチャリンと売上が発生するのは効率の良い稼ぎ方ですよね。
「売上」よりも、継続収益を示す「ARR」を使うことで、将来収益の見通しを示すことができます。
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世の中的にも売切りや一過性のビジネスモデルから、継続的な収益を生むビジネスモデルが指向される流れがあります。
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