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【直球取材】トップランナーkubellに聞くBPaaSは本当に「儲かる」のか?
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2025年は「BPaaS元年」となるのか ―――。
都市圏や大企業ではバックオフィス向けSaaSや営業・マーケティングツールの導入比率が上がる一方、地方の中小企業では、DXの進捗が芳しくない。
社内IT人材の不足によりSaaSの導入が進まないといった要因に加え、単価が低く、導入コストが高い中小企業は、ITベンダー側としても魅力の少ないマーケットだ。
ただ、そのような「DXの恩恵に与ることができない企業」は日本経済を形成するマジョリティであることも事実だ。
人手不足に伴い労働生産性向上の必要性が叫ばれるなか、IT活用が進まなければ企業の衰退は避けられない。
この国家的とも言える課題に対しBPaaSと呼ばれる「業務プロセスそのものを提供するクラウドサービス」で解決を目指すSaaS企業が増えている。
2022年からBPaaSを次の事業の柱として掲げたkubell(旧Chatwork)、電話受付代行の「fondesk」を提供するうるる、キャスターとの資本提携を行ったマネーフォワードなど、上場SaaS企業が相次いで取り組みを行なっている。
「BPOを拡張したモデルで利益が確保できるのか」と収益性を不安視する声も聞かれるなか、果たして、BPaaSは儲かるビジネスなのか。
本記事では、kubell(旧Chatwork)でBPaaS事業の立ち上げを担った執行役員を務める桐谷氏、kubell BPaaSファンドパートナーの森氏に直撃取材を行い、その詳細を明らかにしていく。
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桐谷 豪 | 株式会社kubell 執行役員 兼 インキュベーション本部長
大学在学中より創業フェーズのスタートアップに参画し、ジョイントベンチャー設立や複数事業の立ち上げに従事し、ユニコーン企業へ。その後、AI系ベンチャーである株式会社ABEJAへ入社し、データ関連サービスの事業責任者を担う。2020年10月にChatwork株式会社(現 株式会社kubell)に入社し、BPaaSのサービス立ち上げ責任者を務めたのち、2024年1月より執行役員に就任。
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森 雅和 | 株式会社kubell 投資・アライアンス部 マネージャー 兼 kubell BPaaSファンドパートナー
2002年フューチャーベンチャーキャピタル入社。インフォネット取締役管理本部長、ウィルグループCVCを経て、2022年1月Chatwork株式会社(現 株式会社kubell)入社。2023年3月に経営企画室室長 兼 Chatworkスーパーアプリファンドパートナー(現 kubell BPaaSファンドパートナー)就任。
SaaSスタートアップによるBPaaSへの取り組みが加速中
この1年、SNS上のみならず、上場SaaS企業の決算説明資料でも「BPaaS」という文言を目にする機会が増えた。
新しいコンセプトであるため、企業により用語の使われ方や定義が異なっているが、ここではkubell社が提示する内容に沿って話を進めていく。
BPaaS
「ソフトウェアの提供ではなく、業務プロセスそのものを提供するクラウドサービスであり、クラウド経由で業務アウトソーシング(BPO)が可能」
また、この説明だけではイメージが湧きづらいため、業務におけるより具体的なシーンでBPaaSを理解してみたい。
例えば、従業員200名ほどの中小企業の総務部門において、請求書受領から金額データ入力までの業務を想定してみる。
これまでは、日々、取引先から送られる数百枚の請求書を経理担当者が回収し、その内容の入力を派遣社員に依頼、入力されたデータを顧問の税理士に渡すことで、経費計上するフローをとっていたとする。
総務部の部長としては、月末に作業が集中し、残業が多発することや派遣社員が入れ替わる度に一から作業を教えなければいけないことに加え、派遣単価も月額25万円ほどかかるコストに不満を感じている。
そこで、知り合いの社長が使っているというクラウド型の請求書の受領システムを使えば、業務効率化があがり、派遣社員も雇わなくて済むのでは、と検討するも部署内のメンバーはいずれも50代を超えており、導入の目処がたたない。
かと言って、システム導入のためだけに、新しく社員を雇うほどの予算も取れず、しかたなく、従来のやり方を続けている。
あくまで仮定ではあるが、中小企業ではありえそうな光景だ。
このような悩みを持つ企業がまさにkubellが想定するBPaaSの提供先企業となる。
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現在、同社が提供している「Chatwork アシスタント」では「請求書データの入力」といった単純な作業から「請求書受領SaaSの選定から、社員に対するオペレーションのレクチャー、税理士とのシステム連携」といった一気通貫の依頼まで、対応可能だという。
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このような経理や労務などのバックオフィス業務だけでなく、WEB制作や営業関連など多岐に渡る業務をビジネスチャットツール「Chatwork」のインターフェース上から依頼が可能となることで、中小企業の生産性を高めることができる。
サービスの提供可能な範囲は異なるが、kubell以外でもさまざまなSaaSプレイヤーが、マジョリティ層の開拓に向けた動きとしてBPaaSに取り組みを始めており、2025年以降もこの動きは加速していくことが見込まれる。
ここからは、桐谷氏、森氏により具体的なBPaaS戦略の詳細を聞いていく。
現在進行形でkubellが作り上げているBPaaSのポイントとは
――― kubellの決算説明資料では、2026年頃には、BPaaSを含めたプラットフォーム事業の本格的な収益貢献が読み取れます。現時点においては、BPaaSは事業はどのような段階にあるのでしょうか。
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桐谷氏: kubellのBPaaS事業としては、去年の6月に「Chatwork アシスタント」という名称でサービスリリースを行いました。業績については、セグメントを分けての対外的な公表を行っていませんが、勢いをもって伸びている状況ではあります。
リリース後の反響からシンプルにBPaaSへのニーズを感じており、事業としてもかなり伸びています。
持続的なグロースを可能にするためにオペレーションや自動化の整備をしながら事業展開をしています。
プロダクト観点では、私たちが構想しているBPaaSを現時点では、全て表現できてはおらず、例えば、「Chatwork」を通じてよりシームレスにBPaaSの依頼ができるよう開発を行っています。
――― BPaaSのビジネスモデルをどのように確立していくのでしょうか。SaaSのようにリカーリング収益が積み重なっていくことを想定されていますか。
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