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モラハラ被害者によるモラハラ考察③認知の歪み【後編】
さて前回に引き続き、「認知の歪み」の【後編】の解説をさせて頂きます。
※前回をご覧になっていない方は下記のリンクより前回をご覧になる事をお勧めします。
拡大解釈、過小解釈
Wikipediaには
「針小棒大に言う」ともされる。失敗、弱み、脅威について、実際よりも過大に受け取ったり、一方で成功、強み、チャンスについて実際よりも過小に考えている。
と書いてありますが、前回にもお伝えしていた「認知の歪みが外に働く」場合は少し違う様な気がします。
ほぼ、間違いは無いと思いますが、モラルハラスメントの加害者の場合には、上記の思考とは全く逆の現象が起きます。
人の失敗や弱みなら大袈裟に反応し、それに対して攻撃を始めますが、自分の失敗や弱みは、何でも無かった事になります。
成功やチャンスに対しても同じで、人の成功やチャンスには過小評価で、自分の成功やチャンスなら大袈裟に、まるで勝ち誇ったかの様に振る舞います。
兎に角あらゆる情報は自分にとって都合の良いものに捻じ曲げられ、都合の悪い真実は無かった事にされてしまいます。
感情の理由づけ
感情の理由づけ(Emotional reasoning)とは、単なる感情のみを根拠として、自分の考えが正しいと結論を下すこと。ネガティブな感情は、物事の真実を覆い隠し、人間に、その感情にリンクした考えのほうを現実らしく経験させる。感情によって作り出された「認知」が、正しいかどうか常に検証することにより、この「心の監獄」から抜け出すことができる。
Wikipediaより引用
物事に対しての結論が、考えたり検証したりして結論を出すのでは無く、「自分がこんなに悔しい気持ちになっているのだから、こんな気持ちにさせたアイツは、許す事の出来ない極悪人だ!全部アイツが悪いに決まってる!」という風に「自分の感情=結論」の様な極端に短絡的な思考です。
冷静になって考えると、かなり聞き分けの悪い子供の様ですが、実際はそんなにかわいいものでは有り得ませんし、強引に意味のわからない理論を暴言にしてぶつけてくる訳ですから、余計に理解出来なくなります。
また、時間がある時に、モラハラに対する対処方みたいなことも書くかも知れませんが、かなりエキサイトしてる時に「感情の理由づけ」が始まったなら基本的には相手にはこちらの声は全くまともに聞こえてない状態だと思われますので、こちらは出来るだけ感情的にならずに、とりあえず相手が落ち着いてこちらの話を聞ける状態になるまでクールダウンさせた方が良いと思われます。
ここで、あまりこちらが感情的になっても、返って火に油の様な状態になってしまう可能性が高いでしょう。※場合によってはこの時がチャンスになる場合もありますが、それはまたの機会に。
〜すべき思考
他人に対し、その人が直面しているケース(状況・状態)に関係なく、彼らは道徳的に「すべきである」「しなければならない」と期待すること。
Wikipediaより引用
よく見て下さい。これ「他人に対し」って書いてありますが、自分を含む全ての人に対してならば、「物凄く責任感や使命感が強い人」となるのですが、残念ながら“他人限定”です。
自分の事は棚に置いてある状態で、
「○○○は◇◇◇すべきである」
「○○○は◇◇しなければならない」
「絶対にミスをしてはならない」
と本気で言ってしまいます。
普通なら、自分が出来ない事に対して他人に「絶対それはすべきだ」とは言えないと思うのですが、普通にそれを言ってしまいます。
とある事情で加害者の心には平穏はなく、常に不安に追い詰められている状態なので、他人に対しては異常な程の警戒心を持っています。
普段は上手にそれを隠していますが、感情の箍(たが)が外れ易いのはそれが主な原因で、加害者は「いざという時」の為に相手の「弱み」を握ってやろうと画策する訳ですが、普通に生活している人間にそこまでの「弱み」なんてありません。
そこで加害者は、強引な手段で無理矢理相手の「弱み」を増産していく訳です。
※この辺りの加害者の思考は僕の個人的な憶測ですが、多分本人は無意識のうちにそれをやっていると思います。逆にこれを意識してやっているとしたら、もはやそれは人では無く、“純粋な悪”だと思います。
その加害者が「弱み」だと思っている思考が既に破綻している事にも全く気付く事なく…
レッテル貼り
「認知の歪み」【前編】でもお伝えしていた「行き過ぎた一般化」をさらにパワーアップさせた思考で、これも【前編】でご紹介した「スプリッティング」で判定を下し、「脱価値化」した対象に対して、二度と覆ることの無い「レッテル」を貼り付けます。
基本的に、モラハラの加害者は、ストレスがあればそのストレスを誰かに吐き出さなければ生きて行けません。
問題なのはその「吐き出し方」で、例えば会社で嫌いな上司に注意されて、むしゃくしゃして家に帰ったとします。
健全な心の持ち主ならば、きっとその上司に対しての愚痴をパートナーに「ちょっと聞いてよ〜、今日さ〜」と聞いて貰う事で何となくスッキリしたりするかも知れません。
ところがモラハラの加害者は、基本的に自分はミスはしない人間と言う理念に従って生きているので、まず怒られた時点での感情が違います。
きっと加害者の心理は、「怒られた原因は自分では無い」と思ってるはずです。そして「上司に注意される自分」と言うもの自体を認める事が出来ません。
なので、家に帰っても誰にも上司から注意を受けたと言う事実は無かった事になっているので話す事はありません。
ですが、“ストレス”自体は消化されている訳ではありません。そこで、加害者から見ると「ダメダメで生きて行く価値も無い人間」という「レッテル貼り済み」のパートナーにモラハラを行っていくのです。
まるでルーティンのように…
謝った自己責任化(個人化)
これは、何でもかんでも自分の責任なんだと思い込む思考なのですが、普通なら「自己責任化」なのでこう思うのが普通だと思いますが、度々お伝えしてます「認知の歪みが外に働く人」の場合は、「何でもかんでもあいつの責任だ」という思考になります。
ここでは「何でもかんでも」と言う所がポイントで、加害者にとって都合の悪いことは全て被害者の責任になってしまいます。
被害者にとっては、とても理解出来ない理不尽な理由であっても、加害者からすると、当然のように主張して来るので尚更意味が分かりません。
しかし、加害者はそんな被害者の「意味の分からない」と言う心理状態さえもまともには受け止められないので「しらばっくれてる」などと言って攻撃の手を緩める事はありません。
その考え方は間違っていると、例え疑いようの無い証拠を目の前に出されたとしても「そんなもの作り物だ」といって間違いを認める事は決して無いでしょう。
「認知の歪み」まとめ
いかがでしたか?「認知の歪み」普段の生活の中でリンクしたりする事がありましたか?
途中で幾度となく言わせて頂いておりますが、「認知の歪み」が内と外、どちらに向いているかでその歪んでいる方向が180度違うので、「認知の歪み」=「モラハラの原因」と言う訳ではありませんし、プロでは無いのではっきりとは言えませんが「認知の歪み」自体は治療出来る場合も充分にある様です。
ただ、モラルハラスメントの加害者は、もっと根深いところにある、その加害衝動の根源のロジックによって「認知の歪み」を「魔法の思考」の様に使いこなし、常に自分に都合の良い様に現実を捻じ曲げ、被害者を混乱に落とし入れようとしているのです。
前回の【前編】と今回の【後編】でご紹介させて頂いた「10の思考パターン」は、実際はもっと複雑に絡み合っていて、網の目のようになっています。
その「10の思考パターン」のネットで取りこぼさない様にじわじわと追い詰めて行くのが「モラルハラスメント」だと思います。
ただ、複雑に絡み合っている様に見えても、その思考は万能では無く(加害者は万能だと思っていますが)、とにかく、「加害者に都合よく作り変えられた現実」なので、冷静になって見てみると、あちこちで綻びが出ていて今にも崩壊しそうな状態なのがわかるはずです。
今回と前回に渡り「認知の歪み」について簡単にでは有りますが解説してきて、少しは知識として理解して頂けましたでしょうか?
ど素人のする解説なので、理解し辛い所も多々あったとは思いますが、「認知の歪み」と言う特殊な思考パターンが有り、それが現実を捻じ曲げ、加害者にとって「都合の良い世界に作り変えられている」という事実を正しく理解する事が出来れば、現在モラルハラスメントに悩み、苦しんでる方々一人一人の考えは決して間違ってる訳では無く、「自分は正しい」と自信を持って思って頂けるはずです。
モラルハラスメントは、時間と共に精神を擦り減らし、被害者の心、自信、尊厳を粉々にして行きます。
これは「被害者」になった経験のある人じゃ無いとわからない感覚だと思いますが、加害者の心理を知る事で「被害者」は強くなれます。
たまたまこんな解説を書かせて頂きましたが、今の時代、スマホさえ有れば誰でも幾らでもその情報を探す事が出来るし、過去に経験した人の体験さえも知ることが出来ます。
「知識は力なり」以前は今ひとつ意味の分からない言葉でしたが、今なら分かります。
知る権利を放棄せず、知る努力をしていきましょう。知る事で強くなり、諦めず足掻いて行きましょう。
その先に“幸せ”が待ってると信じて。
※一応前回と今回で引用させて頂きましたWikipediaのリンクを貼っておきますので、より詳しく知りたい方はそちらを参考にして下さい。
このWikipedia内のリンクからも様々な有益な情報に辿り着けますので色々とおすすめです。