
中島みゆき「糸」と行列式-後編
前編の続き。
今回はこの歌詞を線形代数の上で解釈します。
縦の糸はあなた 横の糸は私
織りなす布は いつか誰かを
暖めうるかもしれない
ここで以下のように定義します。
わたし、あなた:ベクトル1、ベクトル2
布:ベクトルによって張られる四角形
ベクトルとは大きさと方向を持っている矢印です。
わたしとあなたが直交する場合(歌詞の通り)
あなたを縦、わたしを横にして図にしてみます。
大きさは適当に5にしました。
この時、布は正方形で面積は25です。

わたしとあなたが同じ方向を向いた場合
次にわたしとあなたを同じ方向にして描いてみます。
この時、布はできません。布の面積は0。
ベクトルの大きさにかかわらず方向が同じだと布はできません。

わたしとあなたが直交でもなく同じ向きでもない時
次は直交でも同じ向きでもない時を考えてみましょう。
この場合、布はできますが形は平行四辺形。

このときの布の面積はいくつになるでしょうか?
ベクトルで張られる四角形の面積は行列式の絶対値
この面積は先人たちの知恵により簡単に計算できます。
2つのベクトルを行列に詰めまして、その行列の行列式というものの値が面積に相当します。(前掲したグラフ内に記載されているDeterminant(det)は行列式のことでした)
行列式の値がゼロではないとき、各ベクトルは1次独立(線形独立)。ゼロのとき、1次従属(線形従属)と言います。
行列式は各ベクトルの関係を示す指標になっています。
これ以上はヨビノリさんにお任せしましょう。
わたしとあなたと娘
私にはひとり娘がいます。
わたし、あなた、娘で3本のベクトルとして布を描いてみます。
この時、布は平行六面体となります。(もはや布とは言えないけれど)

最近私が常に考えていることは、わたし、妻、娘でどんな布が織れて誰を暖めうるかということです。
娘の成長に伴って、より大きく素敵な布が織れると思うと楽しみで仕方がありません。(私が縮んで布がしょぼくならないように頑張らないと)
数学の拡張性
数学は本当によくできていて、このようにベクトルの数が増えてもへっちゃらです。2つ3つといわず100でも1億2千万でも81億でも論理的には破綻することはありません。
3を超えると直接絵には描けなくなりますが、行列式の値は計算できます。数がふえると計算は大変だけど。
30年前の自分へ
今回の記事は大学1年生の私に捧げます。
今回も作図のプログラムはAIに作ってもらいました
今回の作図のためのプログラムを以下に置いておきます。2x2,3x3までベクトルを好きに変えて作図できます。
今回もAIにさっと作ってもらいました。自力だとたぶん1時間、AIだと1分。
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