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タミル・ナードゥでミールスを食べた

タミル・ナードゥでは、4つの場所でミールスを食べました。そのうち3か所がマドライ、1か所がカライクディです。
マドライでは1か所のレストランで、市内在住の女性に食べ方を教えてもらいながら食事しました。
また、ステイ先でホームメイドのミールスをいただく機会があり、家族に食べ方を教えてもらいながら食事しました。
それと、旅行中に知り合った日本企業で働くインド人から実家を紹介してもらい、彼のお母さんにホームメイドのミールスをつくってもらいました。
カライクディでは、チュッティナード料理が名物のホテルに滞在し、料理教室の先生に説明を受けながらミールスを食べました。


Hotel Sree Sabarees- Veg Restaurant

West, Mela Perumal Maistry St, Madurai Main, Madurai, Tamil Nadu 625001 india.

Meals

▼ミールスの構成
1 big bowl of ponni rice、2 sambar、3 carrot poriyal、4 keerai kootu、5 puri kari、6 mor kuzhambu、7 vatha kuzhambu、8 rasam、9 curd、10 fried chilli、11 lemon pickle、12 appalam、13 payasam

▼食べ方
同席になったマドライ在住のカップルに食べ方を教えてもらいながら食事しました。
バナナリーフがテーブルにセットされ、アッパラム、ポンニライス、キャロットポリヤル、キーライクートゥー、プリカリ、サンバルとライス、フライドチリ、レモンピックル、パヤサム、カードがサーブされます。
まず、サンバルとライス、クートゥーやポリヤルなどを食べていきます。
サンバルを食べ終えたら、ライスとワッターコロンブがサーブされます。
その次がライスとモールコロンブで、ピックルやプリカリとのコンビネーションを楽しむよう勧められました。その次がライスとラッサムです。
その後、やっと〆のカードライスです。フライドチリやピックルと一緒に食べるよう勧められました。
最後が甘味のパヤサムです。

何杯ライスをサーブされたか、どのくらいライスを食べたかわからなくなりますね。主役はライスでそのための料理というか。

基本的に、サンバルやラッサム、コロンブなど複数の汁気のある料理は混ぜないが、クートゥーやポリヤルはサンバルやラッサム、コロンブに混ぜても良いとのことでした。

Criston home stay

12-5-23 Sastha Nagar, 1st St, Mudakathan, Tangamanal Nagar, Madurai, Tamil Nadu 625017 india.

meals(home made)

▼ミールスの構成
1 ponni rice、2 drumstick sambar、3 carrot and beans poriyal、4 chow chow kootu、5 green banana varuval、6 rasam、7 curd、8 appalam、9 salt、10  banana

▼食べ方
ホームステイ先の家族に教えてもらいながら、ミールスを食べました。
サンバルとライス→ラッサムとライス→カードとライスの順に食べ進めていきます。
ステイ先の子供はグレービーとライスにポリヤルやクートゥ―を混ぜながら食べていました。おばさんは、副菜を少し食べてからグレービーと混ぜるとのことでした。人によって好みの食べ方があるようです。
ちなみに食べ方ではないですが、料理を配膳するバナナリーフは細い方を向かって左にセットします。料理を食べ終えたら半分に折ります。

The Bangala

3Q58+978, Devakottai Rd, Senjai, Karaikudi, Tamil Nadu 630001 india.

Meals

▼ミールスの構成
1 lemon rice、2 soy kofta biryani、3 raita、4 appalam、5 butter beans mandi、6 cauliflower fry、6 mango jaggary pachadi、7 bean stuff、8 keerai stuff、9 beetroot masala poriyal、10 mutton uppu kari、11 fish fry、12 sambar、13 rasam、14 lemon pickle (spicy/sweet)

▼食べ方
後日開始する料理教室の打ち合わせをしつつ、ミールスを食べました。たくさんの料理がのったミールスは、もともと祭りの食べ物で日常的に食べるものではないとのことです。食べ方は、副菜をつまみつつ、グレービーとライスを食べていきます。

マドライの友人宅

meals(home made)1
meals(home made)2

▼つくってくれた料理
1 rice、2 drumstick and mango sambar、3 dal rasam、4 vatha kuzhambu、 5 bean poriyal、6 bean kootu、7 carrot poriyal、8 gourd poriyal、9 lady finger poriyal、10 mango pickle、11 appalam、12 payasam

▼雑感
べンガルールのクラフトビールが有名なバーで、仲良くなったインド人の実家を訪ねました。バナナの木やカレーリーフが生い茂る庭には、鶏が走り回っていて、大都市マドライの喧騒とは無縁の場所に思えました。
友人と話した感じでは、あまりたくさんの料理は作れないだろうという話で、3、4種類のタミル料理を学べたらと思っていましたが、お母さんががんばってくれて、あっという間になんと12種類の料理をつくってくれました。ありがたや。
vatha kuzhambu(ワッターコロンブ)をつくっているときに、健康にいいから食べてみなさいと材料のワッタルを一粒渡されました。口の中に入れてみると、苦みが結構強かったので、これが材料で大丈夫かと思いましたが、完成した料理は酸味と苦みが混じり合った濃厚な味わいでした。
料理は全体的に塩をしっかり効かせ、味の輪郭がはっきりと際立っていました。多くの料理にココナッツがつかわれており、素材の味わいを引き立てていました。マドライの家庭料理の一端が垣間見えた貴重な料理体験でした。

まとめ

タミル・ナドゥーでは、レストランや家庭で食べ方を教えてもらいながらミールスを食べる機会に恵まれました。
マドライやカライクディで食べたミールスは、地域・民族的な違いから料理の種類や品数、料理自体の風味は異なるものでした。

食事の作法をみると、マドライのレストランや家庭で食べたミールスは、サンバルとライス→ラッサムとライス→カードとライス=カードライスの順序で食べる流れが共通していました。また副菜をグレービーに混ぜることが特徴だと思います。
カライクディのミールスは、ホテルに併設されたレストランということもあり、料理の数が多く洗練された味でした。
料理の食べ方は、その品数に応じて複雑になる気がしましたが、このレストランではタイミングよくサーブしてくれるので問題ありませんでした。

マドライのホームステイ先やカライクディの料理教室で、本来ミールスは日常的な食事ではなく、まつりの食事であるという話を聞きました[1]。
ミールスになぜ、料理を食べる順序があるのかという仮説として、アパデュライの記述をみていきましょう。アパデュライは、ヒンドゥー教の日常的な食事と、まつりの食事の違いをこのように区別しています。

日常的な食事では、ライスやチャパティなど主食に添える汁気のある料理の種類やチャトニなどの種類は違っても、ほぼ一度にすべての料理が運ばれてくる。一方で、祝祭の食事はコース料理のように時間的な規範をもって配膳される。

(Appadurai1988)

ミールスが本来どういった食べ物なのかということと、料理を食べる順序については、引き続き調べていきたいと思います。

ミールスを食べたシリーズは今回でおしまいです。
全体を通してもっとも伝えたかったことが3つほどあります。
一つは、地域に違いがあること。二つめは、食べ方に順序があることです。

最後に、もしタミルでライスを食べすぎて、おなかがいっぱいになったらポードゥンと言ってみましょう。店員さんがライスを盛る手を止めてくれるはずです。
タミル語で、もういらないという意味らしいです。ほんとかな?

脚注
[1]他の地域もそうであれは、各地のミールスがどんな祭りをルーツとするか、詳細な調査が必要だと思いました。

参考文献
Appadurai, A. 1988 How to Make a National Cuisine: Cookbooks in Contemporary India. Comparative Studies in Society and History Vol. 30(1), pp. 3-24. Cambridge University Press.

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