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喫煙所

整体に行ったけど安いラブホみたいな、つまりおじさんとタバコみたいなにおいがした。帰ってからすごく寝てしまったがそういうものらしい。



人生は今、平日と土日しかない。


終電間際のホームはゲロくさくて、人が多すぎて空気の逃げ場もないので、じんわりゲロの香りがする空気に加湿される。広告の文字が目に入って頭の中で騒ぐことがあり、そうなるともう乗ってられないから、各停で寝ながら帰っている。起きていると息ができなくなる。なんとかして帰って、何かあった気がするけど思い出せないまま過ぎていく。


会社にいた唯一の友だちがいよいよ辞めるらしい。もちろん私も辞めたいが、今の会社の唯一いいところに騒がしいというのがあり、寂しい人間なので辞められない。私はまだ前の会社の上司のことを考えている。


ハチ公前でパンを食べていたら、メガネをかけていて私と背が同じくらいのキャッチに話しかけられ、「食べるのも喋るのも遅いね」と言われた。私は本当に色々遅いのかな、と思う。30分前に終わった話の続きとかしてしまうし。キャッチは最後に「モデルとか興味ある?」と聞いて、ないと言うとそれだけでどこかに行った。



私はまだ彼のことも考えている。好きじゃない人のことでも、考え続けるのは怖い。



何か大切なものが見つかって、それが一気にすべてを解決することなんてできるんだろうか?


辞めたとしたら役所で働くのもいいよなあと思う。平日になんかの書類を取りに行かなきゃいけなくて役所に行ったら、おじさんの警備員が机も背もたれもない簡易的なソファで何か食べてるなと思ってよく見たら、雪見だいふくだった。


一気に暑くなってきて、窓が開いている家が増えてきた。家からはテレ東の番組の音が聞こえる。匂いが目的で蚊取り線香を焚いたら、地震が来た。

肩を押されながら「好きな季節はなんですか?」とだしぬけに聞かれて、「夏です」と答えた。



会社の飲み会で、隣にいた女性が酒を足にこぼしてしまったので、寒かろう…と思って上着を貸したら私の上着に水もこぼしていて面白かった。笑おうと思ったらその人は気づいていなかったので、黙ってクリーニングに出した。


飲み会はお開きになり、何か忘れ物をして会社に戻ると、隣の席の人がまだ残っていた。買った缶チューハイを飲みながら、本当に中身のない話をした。結婚とか、束縛とか、最寄駅とか…


なんか缶を捨てに行ってから戻ったらまだいたんだけど、寂しかったのかな、


まあ寂しいか、と思って一緒に帰った。喫煙所に寄るらしい。おやすみなさい。

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