
SixTONESのユニット曲、出揃いました
5枚目のアルバム「GOLD」で、SixTONESのユニット曲の組み合わせが一巡した。
“このペアならこう来るだろう”という期待どおりの曲もあれば、“なるほどこう来たか!”と思わせるような意外な曲もあり、毎回とても楽しませてもらっている。
せっかくなので、ユニット曲について思ったことをまとめておきたい。
1.「1ST」
※ユニット曲は7’37’’頃~
●「EXTRA VIP」ジェシー×田中樹
この頃はまだSixTONESを追っていなかったので、「音色盤」「原石盤」はいまだに手元にない(大泣)。音源だけはレンタルで確保したが、MVをフルで見る機会がなく、昨年ようやくスト担仲間の生肉さんに見せてもらうことができた。
J2のパブリックイメージであろうイケイケな雰囲気をぐっとアダルトに、重厚感のある音に落とし込んだ曲で、これを初めてのアルバムでやっているのが信じられない。誤解を恐れずに言うと生意気すぎる。
“on eST”ライブでは客席のペンライトが赤と青、真っ二つに割れ、座って歌う演出になっていた。こういう曲を体の動きなしで持たせられるのが単純にすごい。
●「My Hometown」髙地優吾×森本慎太郎
温かく、心地よく、どこかノスタルジックなサーフ系チルソング(というらしい)。横浜育ち&多趣味という共通点のある2人の明るい声質によく合っている。
MVはフィルムっぽいわざと画質を落としたような映像で、ホームビデオを見ているような懐かしい雰囲気。一曲を通して音の高低差があまりないのも、聴き心地の良さに繋がっているのかもしれない。
それから、ラスサビ辺りにかかってくる慎太郎のフェイクがめっちゃいい!軽やかでふわっと上に乗っかるような声なので、6人曲でも全然フェイクできると思う。穏やかな風に吹かれながら野外で聴きたい曲第1位。
●「ってあなた」京本大我×松村北斗
山ほど語りたいことがある曲(笑)。この頃リアルタイムで追いかけていれば、MV含めてこの曲に狂いまくるスト担が見られたのに……(面白いものを見逃した感)。
これでもかと重たい湿度感を表現しきれているのは、舞台と映像作品という、ジャンルは違ってもそれぞれのフィールドで表現力を磨いてきたきょもほくの実力に他ならない。
① 1サビ→きょもメロディ&北斗下ハモ
② 2サビ→きょも上ハモ&北斗メロディ
③ 転調後のラスサビ1回し目→きょもフェイク&北斗メロディ
④ ラスサビ2回し目→きょもメロディ&北斗下ハモ
一つの曲に4回出てくるサビで、役割が入れ替わり立ち替わり変化していくので、最後まで飽きずに聴くことができる。そして特筆すべきは2人の声の相性の良さ!
6人の歌声をざっくりと声質分けした時に、かなり近い立ち位置にいるであろう2人。声に芯があり、よく伸び(持続力がある、ロングトーンに強い)、言葉がクリアで聞き取りやすい。ハモった時にお互いの良さを何倍にも引き出せる。
“on eST”ライブでは「離れた場所で座って」歌っていたが、普通は「近くで立って」歌う方がずっと歌いやすいので、よくあの距離で歌えるなと思って映像を見ていた。それとも気まずくてあの位置だったんだろうか。今の雪解けきょもほくだったらもう少し近くで歌うのかな。どうかな。
2.「CITY」
●「LOUDER」ジェシー×森本慎太郎
きょもほくは声の立ち位置が近いところにあると書いたが、逆に6人の中で元々の声が最も遠い位置にあると勝手に思っている末ズ。
明るい音色(おんしょく)に硬めのクリアな声質が慎太郎。
暗めの音色にふんわり柔らかな声質なのがジェシー。
それでもキャラクター(性格)が似通っているからなのか、水と油という感じではなく、いい具合に補い合って声が混ざっている印象を受ける。
「この2人には踊ってほしい」という音楽スタッフの意向があったそうだけど、確かに全ユニット曲の中で一番踊っている(『RIDE ON TIME』にあった、GANMIさんに振付してもらっている末ズのシーンが大好き)。
“Feel da CITY”ライブではストライプスーツでガシガシにダンスバトルをする2人がめちゃくちゃかっこいいので、バラエティの末ズしか知らない人に見てほしい!といつも思う。
●「真っ赤な嘘」松村北斗×髙地優吾
正直、初聴きではあまりピンと来なかった曲。こういうジャンルの曲に触れてこなかったこともあり、少し難解な印象だった。
がらりと覆ったのは、“Feel da CITY”ライブでの演出を見てから。ポジティブとネガティブをテーマに、相反する感情を舞台演劇のように表現する髙地と北斗を見て、この曲の解像度が一気に上がった。対極にいる2人の男なのに、どんどん境目がなくなっていって最終的には一人の人間の中にあるポジとネガの相反する感情に見えてくる。
歌に関しては、アルバム制作のドキュメントで結構細かく歌い方をディレクションされていたのが印象的だった。髙地の“見つめる先が 愛に変わった”の部分、“先がー”の伸ばした“あ”母音が、そのまま次の“愛に”に繋がっている。普通は少し隙間を開けて“愛に”と言い直すのに、わざとするっと繋げるように指示されていた。円盤で髙地が歌うその部分を楽しみにしていたのに、当の本人が歌詞を間違えて映像に残らなかったというオチもついた(笑)。
●「With The Flow」京本大我×田中樹
速すぎず遅すぎず、肩の力が抜けるようなテンポ感が心地いい曲。“Feel da CITY”ライブできょもにマイクを向け、でれっでれの顔でニヤつく樹の印象が強い(可愛い)。
歌とラップというそれぞれの最強の武器を振りかざすのではなく、もっと気軽に音楽を楽しもうという2人の姿が見事にハマっていて、“そうだ、音楽ってもっと身近でラフなものなんだ”と思い出させてくれる。特にサビやCメロできょもがファルセット(裏声)を多く使っているのも、この曲のいい意味での“抜け感”に繋がっているように思う。
3.「声」
●「OPA!」森本慎太郎×田中樹
陽キャ!チャラい!女はべらしてる!(笑)
ポルトガル語の、“ワオ!”みたいな感嘆詞がそのままタイトルになっている。ラテンぽいノリのリズムで、慎太郎の弾むような軽やかな声と、樹の錆びたようなざらついたチャラ声がどハマり。クラブで流れていても違和感なさそうなくらい、聴いているだけで勝手に身体が揺れる。
“慣声の法則”ライブでオーラスの東京ドームに入った時は、それぞれがイソギンチャクみたいなトロッコに乗ってアリーナを回っていた。2人が近くにいようといまいと、ペンラを振って踊っていたスト担の波を覚えている。私のいた位置の近くを慎太郎が乗ったトロッコが通っていったが、めちゃくちゃ笑顔で楽しそうに歌っていて、見るだけで寿命が延びそうな生命力に溢れていた。
●「ラ・ラ・ラ・ラブストーリー」京本大我×髙地優吾
最年長コンビがユニット曲でいっちばん“可愛い”に振り切ってるってどういうこと?最高なんだが??
MVの雰囲気がとにかくオシャレで凝っていて、そのまま舞台の一幕を見ているかのよう。衣装の色味とか振付とか2人のコミカルな表情とか、何回見ても飽きない映像になっている。ユニット曲の中でもしかしたら一番“6人ではやらなそうな曲”かもしれない。
この曲が出来た時点では恐らく決まっていなかったと思うが、昨年の髙地の舞台「Come Blow Your Horn~僕の独立宣言~」の、ちょっとレトロでカラフルポップな雰囲気と近しいものがある気がする。純日本人なのに外国人設定の役がなぜか違和感なくハマるきょもゆごには、ぴったりの曲だと思う。
●「愛という名のベール」ジェシー×松村北斗
“KinKi Kidsっぽい”と本人たちも言っていたが、確かに少し昔の歌謡曲を思わせるような曲調になっている。大男集団のSixTONESの中でも、特に高身長の2人なので立ち姿がとにかく映える。
この曲を聴くといつも、北斗のブレない真っ直ぐな声をジェシーの柔らかい声が包み込んで遠くまで響いていくイメージが浮かぶ。
歌ってみると意外なほど難しくて、特に“あなたの笑顔 あなたの声が”の“あなたの”という部分!“あ・あ・あ・お”の母音が続き、細かい16分音符の下降音階は言葉も音も滑りがちで本当に難しい。ジェシーはこういう言葉の処理が上手いなぁと思う。
4.「THE VIBES」
●「Blue Days」ジェシー×髙地優吾
もはや聴くと条件反射で泣くようになってしまった大好きな曲。いい意味で予想を裏切られた。SixTONESの太陽ジェシーと「日々笑顔」の髙地なら、もっと能天気(と言うと語弊があるが)な感じのポジティブハッピーな明るい曲が来るかと思っていたのだ。
2人がブログやインタビューで時々見せる本音の部分。思っていること。言いたくても言えないこと。そういう思いを、決して暗くならずに、だけど切実に訴えてくる曲だ。
声質が優しくて柔らかく、相性の良い2人。音源では交互に歌っているが、“VVS”ライブではラスサビをユニゾンで歌う演出に変えてくれて嬉しかった(入れなかったので円盤のみで我慢)。
“いたずらな日々に冷たくされても 誰かを恨むなんてしないでほしい
この歌でなかったことにならないって分かってるよ
それでも届くように歌を歌うよ”
この2人が歌うからこそ意味があると思える歌詞。書いててもう泣く。
●「希望の唄」京本大我×森本慎太郎
Mrs. GREEN APPLEが好きなきょもと、SUPER BEAVERが好きな慎太郎が組むとこうなるのか!ととても納得がいった、青春チックな爽やか直球邦楽ロック。バンドを始めたばかりの中高生だったら絶対やってみたくなっただろう。
とにかく楽しそうに歌う2人が印象的で、特にきょもはバンドサウンドに負けないよう、パーン!と届く芯のある強い声に振り切っているように思う。まだ声変わりもしていない少年の頃から人の前に立つ仕事をしている2人が、大人になった今だから歌える歌になっている。
●「スーパーボーイ」松村北斗×田中樹
これこそ、この2人にしか歌えない!リトルストーンことラジオリスナーにはたまらない、想像もしていないタイプの曲が来たと思った。語りとラップの間のようで、一度でもつまずいたら総崩れになりそう。スト担大信頼の佐伯さんによる曲と知って唸った。この方の引き出しの多さはどうなってるんだ。
結構な量の歌詞を喋っているが、2人とも滑舌が良いので一言一句ちゃんと聞き取れる。想像と現実を行ったり来たりするようなMVも見るのが楽しく、幅広いジャンルを歌うSixTONESにおいてもかなり異色の曲だと思う。
生肉さんと「ユニット曲のシャッフルをやっても面白いかもね」と話したことがあるが、この曲に関してはほくじゅり以外には無理かもしれない(『ラ・ラ・ラ・ラブストーリー』を歌って踊るJ2はすごく見たい)。
5.「GOLD」
●「PARTY ANIMAL」髙地優吾×田中樹
アルバムフラゲ日のゆごじゅりインスタライブで、「最初は違う曲をやろうとしてたけど、他2組とのバランスを考えてこの曲に変えた」と話していた。初聴きの時から大好きな曲!
スト担なら、パブリックイメージと実際の彼らにかなりギャップがあることをよく分かっていると思うけれど、あえて「俺らってこういうイメージでしょ?」という強気を押し出すようなアッパーチューンになっている。
声について言えば、元々の声質がかなり近く相性が良い2人だと思っている。合唱人から見るとどちらも「ハモリ向きの声」。上ハモでも下ハモでも、メロディを邪魔せず柔らかく寄り添える声。ここ2年ほどで舞台経験を経た髙地が歌においてもぐんぐん表現力を磨いているから、この曲でも伸びやかな歌声を楽しめる。
今年の“YOUNG OLD”ライブは福岡ドーム1日目に入ることができたが、「THE BALLERS」~「GONG」~「PARTY ANIMAL」の流れでドーム中が踊り狂っているのが楽しすぎた。メンバーが近くにいるとかいないとか関係なく、ただただ音楽に身を委ねて楽しむスト担、さすがだ。
●「Don’t Know Why」松村北斗×森本慎太郎
北斗自身も「どういうユニットになるのか一番見えなかった」と雑誌で語っていた組み合わせ。慎太郎も、「ほくしんは踊るんじゃないかと思っていたけど、あえて落ち着いた大人の表現にしてみた」そうだ(もしかして20歳そこそこのほくしんだったらがっつり踊る曲だったのかも)。
言わずもがなお芝居ツートップの2人だけあって、MVはナチュラルな表情をたくさん見ることができる。そして“YOUNG OLD”ライブでは、くっついた椅子に座ってくるくる回りながら歌う演出。生バンドを従えているから、ライブハウスで聴いているみたいだった。一緒に見ていた旦那は、結構速く椅子が回るので、遠心力で2人が吹っ飛んでいくんじゃないかとハラハラしていたらしい。
●「You are the only one」ジェシー×京本大我
恐らく本人たちもプレッシャーがあったのではないかと思うくらいの大本命ユニット。あえて期待を裏切らず、みんながイメージするような直球バラードで勝負に出た。単なる恋愛の歌ではなく、家族や友人などの大切な人への歌、何より一緒に歌うことをお互いに願う「京ジェのメインテーマ」。
きょもがXで「ジェシーの隣で一生歌っていたい」と呟いた日は「京ジェ記念日」としてスト担の心に刻まれたと思うが、それに対するアンサーソングと言っても過言ではない。
“You are the only one この先もずっと 君の居場所は僕の隣だ
分かち合おう 喜びも悲しみも 真っ直ぐに向き合っていくから”
泣く。
“YOUNG OLD”ライブでは、赤とピンクに染まった景色を前に、圧倒的な安定感で歌い上げてくれた。
以前にもどこかで書いた気がするが、普通だったら一番ライバルとしてグループ内でバチバチするのが京ジェだと思う。メインボーカルが2人、偶数人数だからこそのセンター割りの立ち位置。歌の配分にしても何にしても、「自分の方が上手い」「自分の方がもっと多く歌いたい」となってもおかしくない(実際、若い頃はそういう気持ちもなくはなかったのかもしれないし)。
けれど10年の年月の中で、もともと近くはない声質の2人がお互いの歌にリスペクトを持ち、懸命に努力して擦り合わせ、積み重ねた努力の形がこの曲なんだと思う。この2人が他のグループにいたらと思うととんでもない脅威だ。SixTONESでいてくれて本当にありがとう。
以上、ユニット曲について語ってみた。どのユニットも「これが正解の形」と思えるような名曲を生み出してくれて本当に音楽の幅が広がっているし、一周した次のアルバムではどんなことを企画しているのか楽しみにしている(ユニットもう一周でもいいし、3人ずつの組み合わせも聴いてみたい……)。