「12月の珈琲 Tanzania:こころが鳴る(前編)」
私は、けっして、器用ではない。
2016年12月、コーヒーショップで働きはじめた。
それが、はじまり。
来る日も来る日も、珈琲をハンドドリップで淹れて、お客様に提供していた。
そのコーヒーショップで提供していたのは、たった1種類の珈琲豆。
そのことに、少し物足りなさを感じたのは、2018年10月のことだった。
だから、はじまりのコーヒーショップをやめ、新しいコーヒーショップで働くことに決めた。
新しいコーヒーショップでは、たくさんの生豆を焙煎した。
けれど、焙煎といっても、私は焙煎機のボタンを押すだけだった。
焙煎している感覚は少しも感じられなかったから、2019年2月、焙煎を学ぶために、老舗の珈琲会社の門をたたいた。
そして、2019年10月、小さな珈琲豆屋「珈琲くるる」をぽつりと開いたのだ。
Tanzania:こころが鳴る
登りきった坂道のうえ
つよくつよく漕いだペダルから
足をはなした
ここから一気に駆けぬける
そう思ったら
こころが鳴った
力強いコクと苦味を酸味が変えていく
>>「12月の珈琲 Tanzania:こころが鳴る(後編)」につづく。