「2024年3月の名前のない珈琲 Indonesia:アンノウンワールド」
表舞台を見ているだけでは気付けないアンノウンワールド。
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3月の名前のない珈琲:Indonesia「アンノウンワールド」
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春の嵐は庭の隅に一列に咲いた水仙をなぎたおしていった。
台風一過の青空のような空の下、頭をもたげて元気のない水仙を横目にカラスノエンドウが庭を征服する勢いで、横へ横へと陣地を広げていた。
たった1日やそこらで、草刈りをしなければと思わせるほどの緑に庭は覆いつくされてる。
そして、この緑がはびこりはじめると、昆虫たちの弱肉強食な世界が目に見えるようになるのだ。
畳のうえで大の字になり、天井を見つめていたら、足先をふわりとした足取りで愛猫が通り過ぎていった。
手をそろえ、ちょこんと座り、庭を真剣に見つめている。
庭に何かが来たのだろう。
その真剣な眼差しに、わたしの野次馬根性がくすぐられた。
視線の先には、カラスノエンドウを揺らすてんとう虫が1匹、2匹…。
てんとう虫がいるということは…。
いたいた、てんとう虫の幼虫。
そして、てんとう虫親子がいるということは…。
ほらほら、アブラムシ。
アブラムシがいるということは…。
やっぱり、アリもいるよね。
アブラムシを食べるてんとう虫に、アブラムシがつくる甘い液のためにてんとう虫からアブラムシを守ろうとするアリ。
そこに広がるのはよくよく目を凝らさなければ、見落としてしまうアンノウンワールド。
このアンノウンワールドは、実はわたしのまわりにも広がっている。
華々しい表舞台だけを見ていては気付けない裏舞台。
そこには多くの人の底力がカラスノエンドウの緑のように根付いている。
3月はそんなアンノウンワールドを垣間見たひと月で、3月の名前のない珈琲であるIndonesiaの味わいにとても似ていると感じた。
懐の深いコクにキリッとしまる苦味。
土台にふさわしいその味わいは、アンノウンワールドにいる縁の下の力持ちにふさわしい。
ということで、2024年3月の名前のない珈琲は「アンノウンワールド」。
おかげさまで、知らない世界を垣間見た1ヶ月となりました。
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