「2024年6月の名前のない珈琲 Kenya:とんびのかぎ爪」
幸運の女神には前髪しかない。
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6月の名前のない珈琲:Kenya「とんびのかぎ爪」
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優雅に円を描いているようで、虎視眈々と狙っている。
それは、海街に住むとんびたちだ。
「とんびに注意!」という看板は見ていたけれど、背中越しに、わずか15cmくらいの間で手渡そうとしたスコーンを持って行かれるとは思わなかった。
しかも、その体に見合うがっしりとしたかぎ爪は的確にスコーンをつかみ、大きな翼は頭の上をかすめただけであたりもしなかった。
そのときに思い出したのは、レオナルドダヴィンチの幸運の女神には前髪しかないという言葉だ。
ちなみに、幸運の女神はフォルトゥーナのことで、出会った人が捕まえやすいように髪が前に垂らされていて、後ろには髪のない好機の神カイロスは男神。
幸運は女神。
好機は男神。
どうやら、幸運の女神と好機の男神が混同されてしまったらしい。
どおりで、好機の神カイロスを検索すると、男神の姿が出てくるわけだ。
とんびは優雅に円を描きながら空を飛んではいるけれど、海からの風を予測しながらその羽に風を受けて飛ぶというのは、こちらからしてみれば難しいように思う。
それでも、狙った獲物を捕らえるほんのすこしのチャンスは逃さないその姿勢は、ぜひ、見習いたいものだ。
6月の名前のない珈琲を飲みながら、そんな海街のとんびのことを思っていた。
悠々と、すっきりと、すっと懐に入ってくるKenyaの珈琲にそっくり。
海街のとんびから、この珈琲には「とんびのかぎ爪」と名付けたいと思う。
ちなみに、とんびにスコーンを奪われたことを忘れられず、とんびが悠々と飛んでいる場所で食べ物を口にするときは日傘をさすか、場所を変えることにした。