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「2024年6月の珈琲 Brazil:海街カタツムリ」

Brazil:海街カタツムリ
ビキニ姿で寝そべるヒト
ステージから聞こえる歌声
足の裏にはりつく砂
もう暑い海の街を背に路地裏へ
路肩に咲いたあじさいで
カタツムリがツノをだす
誰も知らないゆるやかであまい時間

海はまだ見えていないし、磯の香りだってまだしもしない.。

かすかな波の音さえも耳に届かないのに、近づくにつれ、心はドキドキと高揚しはじめる。

海街の雰囲気は独特だ。

時が流れる速度は地球上のどこにいても24時間で、決まりきったもののはずなのに、海街ではその速度がとてもゆったりしたものとなる。

きっと、次の予定がなければ、いつまでも、海を眺めて、ぼーっとしてしまうだろう。

それはわたしだけではないはずだ。

だって、砂浜にいるあのお姉さんたち。

暑いとはいえ、まだ6月なのに、まだ白い肌の二人のお姉さんは、なにを気にすることもなく、ビキニ姿で寝そべっている。

その横にはラジオ局主催のイベントが開催されていて、ステージでは、バンドが夏にラジオから流れる歌を歌っていた。

砂浜に足を沈めて、イベントに来る人や砂でイルカがつくられる様子を見ていたら、1時間単位で時間は過ぎていた。

名残惜しさは募ったけれど、泣く泣く足の裏にはりついた砂をはらい、もう暑い海の街を背にして、路地裏へ行く。

路地裏では路肩に咲いたあじさいの葉のうえに、最近は見かけなくなったカタツムリがツノを出しながら、のんびりと前進していた。

にぎやかな砂浜とはうってかわって、そこには誰も知らないゆるやかで甘い時間が流れていた。

にぎやかさもゆるやかさも全てが詰まった海街時間。

その様子を表現したくて選んだ珈琲豆は軽い甘酸っぱさもあるけれど、深いコクのある甘さも兼ね備えたBrazilでした。

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生産国:ブラジル
品種:ムンドノーボ
精選方法:ナチュラル
風味:赤ワインのような甘み
煎り加減:中

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