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「新たな季節へバトンを渡す9月の珈琲」
遊泳客のいなくなった砂浜では海の家の解体作業がはじまった。
一向になくならない台風は稲光と雷鳴を誘い、夏の終わりの太陽を閉め出している。
さみしさの残る夏の終わりが新たな季節へバトンを渡す9月の珈琲。
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2024年9月の珈琲
Ethiopia / India / 名前のない珈琲
Ethiopia:グッバイサマー
食べていたかき氷は
いちご色の液体に変わりつつある
からだを溶かすほどの暑さに
ほんの少しのスキマが生まれ
小さなサヨナラが聞こえた気がした
グッバイサマー、また来年
後ろ髪をひかれるような余韻のある甘味
India:ハリケーン回遊
電柱から飛び出した何本もの電線が
暴れる風に揺れている
右から左へ流れる雲の速さが
嵐の到来を知らせていた
そんなことは知ったことかと
回転する風を逆手にとり遊び狂う鳥たち
芳醇なコクと苦みに翼をゆだねる
名前のない珈琲
この珈琲にはまだ名前がありません
この珈琲を味わい、感じた思いを
形にしてみてください
自由に…
思いのままに…
そして、この珈琲に名づけてあげてください
あなただけの珈琲のできあがりです