「7月の珈琲 Rwanda:今を飛び出せ」
パスポートの有効期限は、とっくに過ぎていた。
Rwanda:今を飛び出せ
旅のしらせが舞い込んだ
聞きなれない名前に
耳がこそばゆくなる
一線を越えて
ここからどこかへ
今を飛び出せ
軽く飛び出していく酸味
押入れをがさごそと片付けていたら、人生初めてのパスポートを見つけた。
有効期限をとっくに過ぎたパスポートを作ったのは、14年前の夏のことだ。
それまで、海外とは無縁の生活を過ごしていた。
子供の頃からの怠け癖は、学生時代を経て、大人になっても身に染み付いていたから、言語の習得もイマイチのままだった。
「海外旅行へ行く。」
だから、そんな旅のしらせが舞い込んだとき、とても驚いたのだ。
しかも、知らされた旅先は、今までに聞いたことのないもので、どきどきする心が消化不良を起こして、耳がこそばゆくなった。
そして、同時に、気がついた。
パスポートを作らなくちゃ。
ここではないどこかへ行くために必要不可欠なパスポート。
これを持ったなら、今までの自分をひょいと軽く飛びこえていけるに違いない。
旅のしらせは、それだけで、一気に心を軽くするのだと知った。
押入れから見つけたパスポートがそんな14年前の夏のことを思い出させた。
パスポートの有効期限はとっくに過ぎているけれど、心が一線を越えて、今を飛び出す期限は、いつまでも有効だ。
7月の珈琲「Rwanda:今を飛び出せ」の軽く飛び出していく酸味にそんなことを感じた。
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