
「2024年10月の珈琲 Peru:水平と垂直」
Peru:水平と垂直
水面ギリギリで行われいたのは
サカナとトンビの戦い
水平に猛スピードで泳ぐサカナ
垂直に猛スピードで挑むトンビ
白波がその戦いを翻弄していた
夕暮れせまる海でのできごと
疾走感のある酸味と果実感
波が大きいほどおもしろい。
その感覚は、どうやら、魚も同じらしい。
日本列島のはるか南に台風が生まれると、その進路によって、鎌倉の海にやってくる波はその影響を受けて、形を変える。
その日は、まさに波が台風の影響を受けていた日で、沖からやってきた波は岸に近づくにつれ、高くなり、そして、割れていた。
何度もテイクオフに挑んでは、高く割れる波にボードをあおられ、身体はまっさかさまに水中へと放り投げられる。
それでも、また来る波に乗れるようにとボードに飛び乗り、波を超えていく。
そして、そんな大きな波に挑んでいるのは人だけではなかった。
グイグイと一列になって、押し寄せてくる波のトップを凝視すると、右から左へ猛スピードで駆け抜けていく影がひとつふたつ…、いや、もっと?
よく見れば、いつもは水面の上を跳ねている魚たちが、大波のトップの水面スレスレを水平にものすごいスピードで泳いでいるではないか。
波の乗りこなし方(実際は水中だから、乗りこなし方というのはおかしいけれど。)は、魚たちの方が一枚も二枚も上手。
身体を揺さぶり、波の中がグイグイと楽しそうに泳いでいる。
そのたくましい姿に唖然としていたら、その少し先で、トンビが垂直に海へとダイブした。
水面ギリギリで遊ぶ魚を狙って、トンビが果敢にも大波の海に挑んでいる。
こちらもまた、たくましい。
たくましさのぶつかり合うその戦いは白波に翻弄されていた。
もちろん、テイクオフのままならないわたしも白波に翻弄されていたひとりで、乗れそうな波がくれば、必死にもがいていたので、その戦いの勝敗の行方は見守ってはいない。
この夕暮れ迫る海でのできごとを珈琲で表現したいと思い、焙煎したのが、2024年10月の珈琲 Peru:水平と垂直だ。
あの日から、ずっと、海に行くと、波のトップを泳ぐ魚たちの姿を探してしまう。
>>>>>>>>>>
生産国:ペルー
品種:カトゥーラ、ティピカ
精選方法:ナチュラル
風味:オレンジや黄桃のような酸味と果実感
煎り加減:中
>>>>>>>>>>