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「2024年5月の珈琲 Uganda:川の上のホーム」
Uganda:川の上のホーム
乗った列車はスピードをおとし
川の上のホームへと吸い込まれていく
進行方向とは反対に
帰り路を急ぐ人が一人二人橋をいく
カタンと止まった列車から放り出され
夕暮れに流れていく川へとダイブする
やわらかい夕暮れのような甘さ
初めて、訪れる町からの帰りは、住宅街から繁華街へと向かう方向だったからか、列車に乗る人は思っていたよりも少なかった。
おかげで、疲れた身体を座席に預けることができ、わたしは、そのまま、まぶたを閉じた。
いくつの駅を通り過ぎたのかもわからなかったけれど、たぶん、繁華街にだいぶ近づいてきていたのだと思う。
大きな川にかかる橋を列車が進んでいるような揺れを感じて、まぶたを開けた。
列車はスピードをおとし、川の上のホームへすべるように吸い込まれていく。
線路に沿った道路には、列車の進行方向とは反対方向へ行く人が一人二人と列をなして、歩いていた。
どの人も前だけを見ていて、その足は早い。
きっと、帰り路を急いでいるのだろう。
その証拠に、太陽は1日の終わりを名残惜しそうにしながらも、川の先へと沈んでいく途中だった。
フラミンゴのような色をしたやわらかい夕暮れ。
フラミンゴが片足をつっこんでいるかのように、夕暮れにまっすぐに流れていく川。
橋を行く人たちには日常の風景にわたしが入りこんでいるという感覚にとらわれる。
そして、そんな感覚にとらわれたわたしは、カタンと止まった列車から、いとも簡単に放り出され、夕暮れに流れていく川へダイブしたのだった。
初めて、訪れる町からの帰りに見た夕暮れはとてもやさしくやわらかなものでした。
そこにダイブしてしまったのは、昔、住んでいた街でいつも見ていた風景に似ていたからだと思います。
この感覚を表現するには、すこしの華やかさとやわらかい甘さのある珈琲がいい。
そこで、選んだのは、Ugandaの珈琲でした。
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生産国:ウガンダ
品種:SL14、SL28
精選方法:ナチュラル
風味:ベリーのようなやわらかい甘み
煎り加減:中
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