「2月の名前のない珈琲 手に負えなくなるまえに」
この風船を空に飛ばさなくては。
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2月の名前のない珈琲:Ethiopia
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生豆を手に取り、その甘く華やかな香りをかいだ。
生豆を焙煎機に投入し、徐々に火をいれていくと、湿った香りに続いて、香ばしい香りが漂う。
でも、焙煎が終わり、釜の蓋を開けた途端に飛び出してきた焙煎豆は、手に負えないほどの甘い香りを飛ばしていて、私を驚かせるのだ。
まるで、風船だ。
あいさつ、笑い声、ひそひそ話、憂鬱なため息。
すべてがごちゃ混ぜになって、この空間を満たしているのだと感じた。
まるで、風船を膨らませているみたい。
どの声の感情も、今、この空間に必要なモノなのだろう。
この空間=風船
声の感情=ヘリウムガス
声が聞こえるたびに、風船が膨らんでいく。
しかも、面白いことに、風船の色はレインボー。
なんとも愉快な色合い。
これは、声の感情が反映されているからに違いない。
喜怒哀楽。
その他諸々。
このまま、どんどん声を溜め込んでいったら、いつか、風船が破裂してしまう。
手に負えなくなるまえに、空に飛ばさなくては。
手に負えないほどの甘い香りを飛ばすEthiopiaにそんなことを思った。
目の前で、風船が破裂してしまわないように。
「手に負えなくなるまえに。」
2月の名前のない珈琲は、こんな名前。