「落ち着きが加わる10月の珈琲」
朝、小さな庭に面する窓を開けはなつと、ひんやりとした風に金木犀の香りが混じっていた。
その香りを懸命に記憶しようと大きく大きく深呼吸する。
ぎゅっとしたこころが次第に開いていくことを感じた。
こころに落ち着きが加わる2022年10月の珈琲。
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Colombia 100g / Indonesia 100g
名前のない珈琲 50g
Colombia:裏側の世界
金木犀が香る夜
閉まる雨戸の隙間から
するりと部屋に滑りこむ
みじかく、ほそく、やわらかい
窓に張り付いていた小さな家守
背に光を浴び、闇夜へ帰っていった
ガラス越しに交わるコクと酸味
Indonesia:爪先の記憶
視線は爪先に注がれていた
そこに残るうっすらとした記憶
ちぐはぐに並んだパステルから
選んだのは欠片となった黒のパステル
閉園前の15分
みじろぎひとつしないペリカンを描く
瞳の奥でコクとまろやかさが手を結ぶ
名前のない珈琲
この珈琲にはまだ名前がありません
この珈琲を味わい、感じた思いを
形にしてみてください
自由に…
思いのままに…
そして、この珈琲に名づけてあげてください
あなただけの珈琲のできあがりです
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