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「5月の珈琲 Colombia:雨が透ける」
2022年5月の珈琲
強い雨だったから、知れたこと。
Colombia:雨が透ける
夕方から降り出した雨は
風にぐいぐいと押されていた
遊歩道の街灯が
窓に貼りついた雨粒を照らす
白いカーテンに
夜の雨が透けている
闇のようなコクに透ける酸味
開け放たれた窓から風が勢いよく入り込んできた。
それは、とても冷たい風だった。
夕方の始まりよりも暗い空に遊歩道の街灯が灯り、大粒の雨が落ちてくる。
ヒュルルヒュルルと吹く風が、雨粒をぐいぐいと押しているようで、窓を叩く雨の音が鼓膜に響く。
耳から知ったことだけでも、強い雨が降っていることはわかっていた。
白いカーテンに見慣れない模様があることに気がついたのは、部屋の明かりを消したときだった。
街灯が窓に貼りついた夜の雨を照らし、その輪郭が白いカーテンに映る。
夜の雨が透け、その存在を私に知らせていた。
5月の珈琲「Colombia:雨が透ける」の闇のようなコクに透ける酸味のように。