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「モンクバッグ(monk bag)」製作日誌:ウッドリング編01-信州と森

こんにちは、イトウでございます。

肩の下あたりにある特徴的なモンクバッグの木の輪っか。
長さを調節したり、持ち手としても活躍してくれます。

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-サンプルの段階のウッドリング-

リングには長野県内で育ったコナラの木の間伐材を使用し、リングの形状への加工も県内で行われています。

「カバンに木の輪っかをつけたい。」
そう思ったはいいものの、木工とは普段の仕事から縁遠い私たちは
木のことなんてほとんど何も知らないところからのスタートでした。

とはいえ、木のことなら木曽の方面に違いない。
木の輪っかをつくっていただけませんか?と相談し
引き受けてくださったのが木曽路の途中にある酒井産業株式会社さんでした。

今回は、製作いただいた酒井産業さんと楯木工製作所さんのご紹介をするまえに、序章として「信州と森」についてお話させていただきますね。

▼森と生きる

国土の三分の二(67%)を森林が占める日本。

では、唐突にクイズです。
土地に対する森林の割合を占める森林率は、世界で何番目だと思いますか?





答えは…
フィンランド、スウェーデンに次いで第3位となっております。
(得意げに書いていますが、私は知りませんでした。)


そんな森林率の高い日本の中でも長野県は県土の約8割を森林が占めています。
こちらも日本の中で3番目の森林率となっていて、ちなみに一位北海道、二位岩手県だそうです。

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確かに長野県は山間を縫うように走る道が多く、地元の方々は山を物ともしない地理感覚をもっています。山の向こうのことをまるで今実際に見えているかの如く説明してくれます。
山という存在が隔てるものとして存在している感じがありません。

▼「木曽路は全て山の中である」

島崎藤村が「夜明け前」にそう記したように県内でも特に
長野県南西部に位置する木曽地域は森林資源に恵まれたことから、木工の工芸品が古くから生み出されてきました。
初めて目にした木曽路。木曽谷のほんの数キロの谷間に川が走り、線路が走り、国道が走り、山の裾野に家々が並びそれを山々がそれらを包む姿はまさに全て山の中でした。

木曽郡の上松町には「上松技術専門校」という県の運営する木工の訓練校もあるんです。
巷では木工の東大と呼ばれているそうな。
全国から集まった学生が、木工の腕を一年間磨き上げていくのですが
機会あって見せていただいた卒業生の作品は、細部まで作りこまれた美しいものでした。
生徒さんのブログが面白かったので勝手にご紹介。
普段の生活や制作活動を垣間見ることが出来ますよ。



こんな感じで、木の文化の根深いここ長野県。
長野県に限ったことではありませんが、森林大国日本が今抱えている問題があります。
それはこんなに豊かな森林資源があるのに、安価な輸入材におされて活用ができていないこと。

木材の自給率は37.8%(2019年)。
自給率は少しずつ上がってきているのですが、
一方でまだまだ手入れもされず放置された山が目前に多くあるのが現状です。
国産材を切り出していくことがないと、産業の担い手や地域の作り手も追いやられてしまう。

でも自然のものなんだから使うために木を切り出すより、そのままにしておいたほうが森を守るということなんじゃないか?
そんな風に私自身考えていたのですが、そうではなかったんです。

▼切る、育てる

ひとくちに森といっても、原生林、天然林、人工林に大別されます。
「原生林」は伐採されたことのない手つかずの森林、
「天然林」は伐採が行われても自然の力で維持されている森林、
「人工林」は木材生産を目的として植林伐採が行われる森林。

中でも人工林は人間の手が入らなければ、健康な森には育ちません。

植林時は、1ヘクタール(100m四方)に約3000本の苗木が植えられます。
木のてっぺんに光が当たり木がまっすぐ育つように密に植えこみます。

その後、20年ごとに3000本の三分の一ずつ間伐を行います。
こうしてまっすぐ育った木に光を当てて、太い幹にしていきます。

最終的にはおよそ500~600本になるように間伐を行います。
ですので、植林された3000本のうちの約80%は間伐をされることになります。

ところが、国内の木材の需要が大きく減った今、
間伐が行われずに放置された森林がたくさんあります。

間伐されず放置された森林は、過密状態で足元に光が届きません。
光が届かないと、木の根が浅く脆い土壌になります。
また、地面に光が届かないと草木が育たず栄養に富んだ土壌になりません。

そんなこんなで、
森が健やかに続いていくために手をかけて間伐するのはとても大切なことなんです。

今回、モンクバッグに使用するウッドリングも長野県黒姫のC.W.ニコル・アファンの森で間伐された木材を使用しています。

日本にある多くの人工林は、現在間伐の限界を迎えていると言われています。
木材需要を見込んで植林された木々たちが育つ何十年の間に取り巻く環境は変わりそのまま放置されてしまった。
間伐も行われないまま放置されてしまうと先に上げたように土壌が丈夫に豊かにならない以外にも、木そのものが材として使用できないほどに脆弱に育ちます。

国産の間伐材を使用することは、国内の森林資源をうまく活用することだけでなく、適切な間伐を促すことにつながるはずです。

手のひらほどの大きさのウッドリングではありますが、
そんな背景に目を向けてみるきっかけになりましたら幸いです。

また後日、アファンの森についてもお伝えしていければと思っていますので楽しみにしていただけると嬉しいです。

つらつらと書いてしまいましたが、今日はこのくらいで、、!
次回は酒井産業さんについてご紹介させていただきますね


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