つまりダニエル・マルディーニはどんな選手なのか?
Ciao!ドドン小西です。ダニエル・マルディーニを見続けて5年。待ちに待った瞬間がやってきました。しかし、彼は依然としてベールに包まれ、何がどう凄いのかよくわからないから説明しろ!との声をいただいたので、マジかよ!じゃあ説明してやんよ!と筆をとった次第です。
では、さっそくいってみましょう。
マルディーニ。イタリア代表へ
ついにダニエル・マルディーニがイタリア代表デビューを果たした。
祖父チェーザレ、父パオロ、そしてダニエル。イタリア史上初の快挙だ。
パオロ・マルディーニのイタリア代表での最後の試合から22年と118日、チェーザレ・マルディーニの最後の試合からは61年と1日。
アッズーリに「マルディーニ」が戻ってきた瞬間が先日のイタリア×イスラエル戦だったのだ!
そんなダニエル・マルディーニのストロングポイントとはなんなのか?おそらく、わかりにくいだろう彼の良さを深堀してみたい。
スタッツだけではわからない
24-25セリエA第7節終了時点で特出すべきスタッツは
・被ファール20(2位)
・ドリブル成功数12(5位)
・枠内シュート6(14位)
・枠内シュート率54.5%(6位:シュート総数が10以上の選手のみ)
・シュート11内エリア外から10
・空中戦勝率53%
上記のスタッツから警戒されてなお、高い攻撃能力を発揮している選手であることはわかる。ただし、1G0Aと個人的な数字を積み重ねるまでには至っていない
※スタッツはfbref.com参照
モンツァでのプレーが読み解くヒントになる
彼の場合スタッツだけではわからない凄みがある。そこを理解するために、モンツァの戦いぶりを見てみよう。
監督であるネスタはマルディーニに対して強い信頼を示しており、中心選手の1人として重用している。
第7節終了時点で4分3敗と勝ちがなく18位に低迷。9失点(全体で6位)と極端に多いわけではないが、5得点(16位)とゴールが生まれないことが大きな要因だ。
セリエA公式マッチレポートを参考にモンツァを粗掴みしていく。
攻撃面
ここまでのモンツァは3-4-2-1のフォーメーションを基盤に、攻守のバランスを重視したプレースタイルに落ち着いている。
当初はGKと3CBでボールを動かしプレッシャーライン突破を試み、無理ならCFや2シャドーを目がけて蹴っていくというものだったが、長いボールを多用することが増えた。
マルディーニはモンツァの3-4-2-1フォーメーションにおいてCF(主にジュリッチ)と連携して攻撃を組み立てている。
彼はCFの近くでプレーし、ボールを保持しつつ、ジュリッチやキリアコプロスらWB、彼らを追い越す動きをみせる選手へパスを供給し、攻撃的な連携を促進する。
守備面
チームの守備時の振る舞いはしっかりと構えて自陣の高い位置、サイドでボールを奪うことを念頭に置いている。
前の3枚は相手の中盤を背中で消しつつ、じっくりとCBへプレッシャーをかけていく。
押し込まれた場面では3バックを中心にコンパクトなブロックを形成し、中央を固める。
パブロ・マリが守備の要。脇をイッツォとカルボーニらが固める。
サイド攻撃にはWBと連携して守り、中盤のペッシーナやボンドが守備ブロックの前で広範囲をカバーし、相手の攻撃の起点を封じる役割を果たしている。
ただし、CBが高齢化しており怪我や疲労によるトラブルが懸念される。
守備から攻撃への切り替え
サイドや中盤でボールを奪った選手が素早く前線の選手にパスを供給する形が多い。
中盤のペッシーナやボンドがボールを奪取すると、すぐに前線のジュリッチや脇のマルディーニにボールが送られ、カウンターが展開される。
中盤の要
中盤のペッシーナとボンドは、ヒートマップ上でも特に中央からサイドにかけて広いエリアをカバーしながら、ボール回収や攻撃の起点となる役割を担っている。
特にペッシーナは攻守のバランスを取るために広範囲で動き、相手のカウンターを防ぐために中央にポジショニングすることが多く、ボンドはより積極的に前線に顔を出す。
2列目の役割
マルディーニは直近7試合すべて先発しており、明確な役割を与えられている。
・ジュリッチと連携が取れるポジショニングをとること
・ビルドアップの受け皿になること(ジュリッチへのマークが厳しい際にはマルディーニもロングボールの基準点となる)
・サイドからのクロスに対してマイナスのポジションをとりゴールを狙うorセカンドボールをゴールにつなげること
マルディーニの相方であるダニ・モタやカプラーリはより縦志向の強い動きが求められる。
ジュリッチやマルディーニを追い越し、裏をとる動きやサイドへ流れて幅をとり相手を広げる役割を担う。
ナポリ戦などは同ポジションをペッシーナが務めたが、やはり攻撃が単調になってしまう(相手にあわせた守備強化の面があったとはいえ)
ダニ・モタがマルディーニの相方にとしては最適だが怪我が多くコンディショニングに苦労している。
モンツァでの役割とスタッツから見えてくる凄み
マルディーニの担う役割とスタッツをあわせて見ると彼の価値の高さがうかがえる
激戦地で発揮されるテクニック
ジュリッチの近くでサポートし攻撃を組み立てる。一言で言ってしまうと簡単だが、その場所は相手のCBとMFが密集する激戦地である。
その上で
・被ファール20(2位)
・ドリブル成功数12(5位)
・空中戦勝率53%(ジュリッチは75%)
ドリブリで一枚剥がしパス供給する場面は多くみられる。テクニックとキレで抜き去る。その際にファールをもらうことが多いのだ。
もちろん、そのまま中央やサイドを突破して決定機をつくることもできる。
またジュリッチへのマークが厳しい際は、ロングボールの基準点にもなる。
188cmの長身と落下点を見極める早さで屈強なCBとも互角以上の勝負ができている。
ポジショニングが高いキック精度を活かす
サイドに展開したあと、マルディーニはペナルティエリア内と逆サイドの敵味方の様子を確認する。状況を見てエリア外に留まる。
相手選手がボールと他の選手を見た瞬間にフリーになるのだ。
・シュート11内エリア外から10
・枠内シュート6(14位)
・枠内シュート率54.5%(6位:シュート総数が10以上の選手のみ)
放ったシュートはほぼエリア外からのシュートであるのはその証左である。
フリーで受けてゴールを狙うか、クロスや他の選手のシュートのこぼれ球を狙う。
そして、高い確率で枠内にシュートを打ち込む。
未だ1Gであるのが不思議なくらいだが、今後に期待の持てるスタッツである。
チームでもプレスキッカーを務めており彼のキック精度はチームメイトからも一目置かれている。
フィオレンティーナ戦のゴールはその全てが詰まっている。
試合を見て確認してほしいこと
一度、モンツァの試合で彼の動きをずっと追うことをおすすめする。イタリア対イスラエル戦でも良い。
これまで紹介したもの以外の特徴が彼にはあと2つある。
彼についてよく言われる「優れたビジョン」「創造性」が発揮されるのだ。
どこにいたら良いか知っている
マルディーニのポジショニングは彼の際立った特長の一つ。
彼はしばしばライン間でプレーし、相手の守備陣の間にスペースを見つけてボールを受ける動きが抜群に上手い。
モンツァ対ローマ戦でのヒートマップからも、彼が自陣と敵陣で積極的に動き、パスを受けてカウンターアタックを仕掛ける姿が見られた。
また、全体が素早いカウンターを行うなか、メッシのようにジョギングをしていることがある。
敵味方全員がゴールに向かう中で、自らのスピードを落とすことでフリーの状態を作り出すプレーもよく見られる。
守備の隙間をうまく利用する頭脳的なポジショニングは攻撃時のトランジションにおいて重要な役割を果たしている。
敵と味方を動かしボールを前進させる
彼はしばしば、意のままに敵味方を動かす。
例えばサイドで、キリアコプロスやボンドなどがボールを持ったときに、彼が中央からゆっくり寄ってくるシーンが見られる。
当然マーカーを引き連れてくるので、彼にパスは出せないし、敵味方がひしめく密集地となってしまうため、ボールホルダーも難しい状況に追い込まれる。
そこでマルディーニは一旦、CBやアンカーの選手にボールを下げさせる。
するとボールを受けた選手の前には、マルディーニが敵DFを引き連れて開けたスペースが広がっているのだ。
そこからチームは中央や逆サイドに攻撃を展開していく。
その後の彼の動きも注目だ。
前線の様子を確認し判断をくだす。
マーカーを置き去りにしてエリアに向かってスプリントするのか、逆サイドに目が行ったマーカーの視界から消えてしまうのか、よりゴールの確率が高い方を選んで動き出す。
このように彼は自身を餌に敵を動かし、一見すると困難な状況を味方につくりだすことで、別の選択肢を示すことができる。
「優れたビジョン」「創造性」とは針の穴を刺すようなパスを通すことや思いもよらないプレーをすることだけではないのだ。
まとめ
ダニエル・マルディーニについてはさまざまな人物がコメントを残している。
ネスタやスパレッティはもちろん、カッサーノやカペッロなどだ。
全員が同じことを口にする
クオリティが高く
テクニックに優れ
広い視野を持ち
素晴らしいキック精度を誇る
これらのコメントが決して過大評価されているものではないということがわかって頂けると幸いである。
彼の夢は
ミランのユニフォームを着て、ビックイヤーを掲げること
以前、インタビューにこう答えている。
我々はいつでも、マルディーニを待っている。
▼ダニエル・マルディーニ関連の過去記事はコチラ
それでは、このへんで
Forza Milan🔴⚫️🔥