良い詩との出会いを祝って

(借景、それからつま先に従うこと)

甘噛みされた無邪気な沈没を讃えあうぜ
(春風のフリして飛び乗った船?)
絹織のモーメント
その破片が肺に突き刺さって、君の喘息は少し良くなった。

楕円の図書館が臨月を迎えて
(気絶してた夏はまだ幼いままの姿)
羊を攫っていく夕闇いっぱいの比喩です。

泥と山靄、踊りと雨は相似であると知った
(嗅ぎ分けると、秋)
冷たい風に吹かれて気づいた。
頬の傷、怪電波の剥製みたい。

間違えて この街の全部が水に翻訳されていく朝
(冬の一族が海に帰っていく)
聡明な食器たちに訊ねよ。空からほろけてゆく陽の光は、昼にはきっとまるびあう犬です。

、ひとつきごとにアーカイブを眺めて
そのひとつひとつにふりがなをふる

季節はゆくせひととおりの短編集ではなかったから
せめて、そのみなしごたちと愛称で呼び合えたらな、って思った

季節を巡礼して生きている
季語に縁取られた体で立っている

幽体コミュニケーションズ
「季節を巡礼して生きている 季語に縁取られた体で生きている」